溺愛彼氏と軟禁生活!?~助けてくれた彼に私が堕ちるまで~

すずなり。

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外れる結城の読み。

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ーーーーー



「わぁ・・・すごくきれいですね・・・」


高速道路の途中にある橋の展望台にやって来た私たちは眼下に広がる夜景を見ていた。

まばらにしかいない人の中、一角が貸し切りのように見えてくる。


「橋の上にあるから結構な高さから一望できるしね。」

「なるほど・・・」


まだ寝静まってない街は明かりが煌々とついていて、とてもきれいだ。

手を伸ばせばぎゅっと掴めそうなくらい小さな光だけど、あの光の中で誰かが笑って幸せに過ごしてると思ったら笑みがこぼれてくる。


「・・・話、聞かなきゃだめ?」

「え?」


夜景に見惚れる私を見ながら、少し悲しそうな顔で結城さんが聞いてきた。


「5日後じゃだめ?もうちょっと時間くれたら俺・・・桜庭さんを振り向かせれると思うんだけど・・・」

「どういう・・意味ですか・・?」


結城さんは展望台の手すりに腕を置き、自分の手をぎゅっと重ねながら話し始めた。


「自分が犠牲になればいいとか思ってるんでしょ?」

「それは・・・」

「そしたら俺にも迷惑かからないとか、仕事の為になるとか・・・考えてるんじゃない?」


さっき考えていたことを当てられ、私は返す言葉が思いつかなかった。


「あと5日くれたらそんな考え吹き飛ばせれると思うんだけど・・・だめ?」

「・・・。」


結城さんは私が慎太郎のところに捕まりに行くと思ったようだった。

自己犠牲が好きなわけではないけど、誰もが傷つかなくて済むのなら、私が代わりに・・・とは思うことはある。

でも・・・私だって幸せになりたいと願う権利くらいあるハズなのだ。

結城さんは私の考えが変わったことに気がついてない。


「・・私が5日も待てないんです。聞いてもらえますか?お返事・・・。」

「・・・。」


結城さんは聞きたくなさそうに顔を背けたけど、すぐに私の目を見てくれた。

こういう大人なところが慎太郎とはまた違うところだ。


「私のこと、好きだと言ってくれてありがとうございます。」

「・・・。」

「結城さんさえよければ・・・これから先もずっと・・私を愛してもらえませんか・・・?お願いします・・。」


そう言って私は深く頭を下げた。

私のことを結城さん以上に大事にしてくれる人はこの先、現れることはない。

『今』を生きてる以上、私は私の幸せのために与えてくれる結城さんの想いを、この身に吸収したいと思った。

そして頂いた想いは上乗せしてお返しして、結城さんにも幸せになってもらいたいと思ったのだ。


「・・・え?」

「ちゃんとお話しするようになってまだ数日ですけど、もう1年以上の知り合いなんですよね、私たち。・・・好きです、結城さん。」

「---っ!!」


精いっぱいの笑顔で伝えると、結城さんは私の体をぎゅっと抱きしめてきた。


「ふぁっ・・・!?」

「断られると思った・・・。あいつのところに行って我慢するつもりなんだと思った・・・」

「!!・・・ふふ、嫌ですよ。慎太郎のところに戻ったら私、1年以内に死んじゃう自信ありますもん。」

「そっか・・・。」


ぎゅっと抱きしめてくれてる腕は力強いようで優しかった。

きっと結城さんの中でいろんな気持ちが入り混じってるのだろう。

そんな中で私が潰れないように抱きしめてくれてることに結城さんの優しさを感じる。


「名前で呼んでいい・・・?桃って呼びたい・・・」

「!!・・・もちろんですよ。」

「桃・・・好きだよ、愛してる。」


私の名前を呼びながら、結城さんは手を重ねてきた。

結城さんの左手と私の右手が重なり、ぎゅっと指を絡めていく。

そして反対の手は私の体を支えるようにしながら手のひらで後頭部を包んでいく。

真上を向かされるように体勢を取られ、私はそのまま結城さんと唇を重ねた。


「んっ・・・・」


ちゅっ・・ちゅと音を立てながら結城さんは唇を重ねたり離したりを何度も繰り返していく。


「桃、口開けて・・?」


言われるがままに少し口を開けると、結城さんの舌がねじ込まれてきた。


「んぅっ・・・・」

「口の中、狭いな・・・」


ちゅくちゅくと口の中を弄ぶように動く結城さんの舌。

応え方がわからずに必死に息をしてると、結城さんの舌が私の上あごを擦った。


「んぅっ・・!?」


腰の辺りに電気が走ったような感覚を覚え、私は繋いでいない手で結城さんのワイシャツをぎゅっと握った。


「ここか・・・。」


『見つけた』と言わんばかりに結城さんは私の上あごを舌で擦っていく。


「んぁっ・・・やぁっ・・・んんっ・・・!」

「かわいい声・・・でも他の人に聞かれるのは嫌だからここまでにしようか。」


絡めていた舌は上あごを擦ることを止め、何度かついばむようなキスをしたあと熱い唇が離れた。

自分の知らない感覚を教えられた私は上手く力が入らず、結城さんにもたれかかってしまってる。


「はぁ・・はぁ・・・・」

「落ち着くまでこのままでいいよ?」


ぎゅっと抱きしめながら私の背中を擦る結城さん。

私は荒い呼吸が落ち着くまで身を預けながら、今日ちゃんと返事できたことに安堵したのだった。




ーーーーー



ーーーーー



その展望台の帰り道、私は助手席で顔を赤くしていた。

その理由は・・・結城さんがずっと私の手を握ってるからだ。


「あの・・・運転・・・」

「ん?・・・あぁ、大丈夫。自動運転搭載してるから片手で充分だから。」

「そ・・そうですか・・・・」


恥ずかしすぎるこの状況をどうしたらいいのか困ってると、結城さんは前を見ながら今後のことを話し始めた。


「桃、あいつ・・・きっと諦めてないと思うからさ、ホテルの生活はこのまま続けた方がいいと思うんだけど・・・どう思う?」

「あ・・・諦めてはないとは思いますけど・・・ホテルはやっぱり高いんで・・・」

「だから支払いは気にしなくていいって。俺、稼いだお金は使うことなかったから全部残ってるし、使ってくれた方がむしろ助かるんだよ。」

「え・・そんなことってあります・・?」

「あるある。できれば出勤もしないほうがいいんだけど・・・明日も出勤する気?」

「それは・・・・」


車の中の密室空間ということもあり、私は今日のことを結城さんに話すことにした。

アルバイトの子やパートさんの事情を酌めず、嫌がらせのような発注をして店のせいにしようとしていたことを。

そして仕事をしたくなさそうな本社の人には任せてられないと思い、今日から復帰すると伝えてしまったと。


「なるほど。そういう事情だったのか・・。」

「常連さんたちともちょっと合わなかったようで・・・なので復帰はしたいんです。無理でしょうか・・・。」


言った手前、それを取り消すことはできない。

また慎太郎が来たらどうしようとは思うけど、やっぱり仕事は放棄できないのだ。


「・・・わかった。ちょっと考えとくから桃はいつも通りに仕事して?」


その言葉を聞いて、私は思わず聞き返した。


「え・・いいんですか?」


てっきり『だめだ』とか言われるかと思ったのに、結城さんはすんなり了承してくれたのだ。


「桃が望むのなら・・ね。・・・ただ、送迎だけは俺か社のやつに頼むから一人で外に出ないで。いい?」

「はい・・!」

「いい返事。」


そう言って結城さんは繋いでる手を持ち上げ、私の手の甲にちゅっとキスをした。

さっき舌を絡めてしたキスを思い出してしまい、顔が熱くなっていくのを感じる。


「~~~~っ!」

「ははっ、そんなかわいい顔されたら仕事に戻れなくなりそうだな。」


結城さんは終始笑みをこぼしながら私をホテルまで送り届けてくれた。

いつもならエレベーターまでだけど、今日は部屋の中までついてきてくれた。


「桃、ぎゅって抱きしめていい?」


両手を広げてそう言う結城さんはこれが目的だったようだ。

何度も何度も伝えてくれていた気持ちが、もう溢れ出て仕方ないらしい。


「・・・喜んで。」


私は荷物を置き、両手を広げてる結城さんの胸にそっと抱きついた。

大きい腕にふわっと閉じ込められ、手を結城さんの背中に回す。


「・・・へへ。」

「!!・・・あんまかわいいことしないで、耐えれなくなるから・・。」


結城さんは私の大きさを確かめるように何度も腕をぎゅっと回してくれていた。

その逞しい腕に何回か私の体が宙に浮くことがあったけど、別段怖くもなく、むしろ安心して身を任せれることに心の中で驚いていた。


(慎太郎が私の体を持ち上げるときは、私をベランダから落とそうとする時だったから怖かったなぁ・・・。)


言うことを聞かなかった時にそんなことをされたことが何回かあったことを思い出した。

寝ていてもふわっと体が浮く感覚を感じたときはハッと目を開けたものだ。

思えばあのころから命が危険にさらされることがたくさんあったのかもしれない。


(あの頃は麻痺しちゃってたからわかんないや・・・。)


そんなことを考えてると、結城さんが私をじっと見てることに気がついた。

逞しい腕に閉じ込められたままだけど、じっと私を見ていたのだ。


「?」

「今、なんか考えてたでしょ。」

「!!」

「ほら図星。何考えてたのか教えてくれる?」


結城さんには私が考えてることがバレてることに驚きながら、こんなこと言えるものじゃないと思って首を横に振った。

殺されかけてたなんて・・・言えるものじゃないのだ。


「なんでもないですよ?」


そう言うと結城さんは私の頭を一撫でした。


「・・・言いたくないならいいんだけど。」

「・・・。」


そして少しの時間が流れたあと、結城さんは仕事に戻らないといけない時間になってしまったようでホテルの部屋から出て行った。

残された私はソファーに座り、今日のことを思い返す。


「仕事はしても大丈夫。送り迎えは結城さんがしてくれる。一人でホテルから出ない。」


守らなきゃいけないことを確認しながら、私は怒涛のような一日を終えていくのだった。






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