溺愛彼氏と軟禁生活!?~助けてくれた彼に私が堕ちるまで~

すずなり。

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見たこともない筋肉。

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結城さんと海に行ったあと、ホテルに送られた私は部屋のソファーで膝を抱えてぼーっと座っていた。

『仕事があるからここまで』と言ってエレベーターの下まで送ってくれた結城さんは、扉が閉まるまでにこやかに手を振ってくれ、私は俯き加減で振り返した記憶がある。


「『落ちてもらう』って・・・なに!?」


ずっと好きだったとは聞いたけど、『落ちてもらう』という言葉は初めてだ。

振り向くまで諦めないと言われたようで、胸のどきどきが止まらない。


「待って待って・・もうすでに惹かれてるんですよー・・・。」


あんなに優しい結城さんに好きだなんて言われて気にならない女性なんていない。

今日、『結城さん』という人をまた少し知れて、ますますいい人だということが分かってしまったのだ。


「でも・・・」


私が結城さんのことを好きだと伝えれば、お付き合いに発展する。

そうなれば夜の行為も当然やってくるわけで・・・


「お断り・・なんてできないよね。ならやっぱり一人がいいって思っちゃうよ・・。」


疲れたからか、悩みに悩みながら私は膝に顔を埋めてそのまま眠りについていった。




ーーーーー



その翌日、朝からホテルの人がたくさんの荷物を持って部屋にやって来た。

昨日来てくれた店員さんたちが用意してくれた服や小物たちがリビングを占領していく。


「わ・・!マニキュアもある・・・!」


全部の荷物が置かれてホテルの人たちが帰ったあと、『THREE BERRY』ブランドが展開するマニキュア全色が同梱されてるのを見つけた私は黒いマニキュアを手に取って足の爪に塗り始めた。

飲食業だから手の爪にマニキュアを塗ることはできないけど、足の爪ならいくら塗っても大丈夫なのだ。


「もうすぐサンダルが似合う季節だし、足の爪は週替わりくらいで塗っていきたいなぁ。」


そんなことを思いながら塗ってると、部屋のインターホンが鳴った。


「は・・はーい・・・!」


塗った部分が床の絨毯につかないようにおかしな歩き方をして扉に行き、がちゃっと開ける。

するとそこに結城さんが立っていたのだ。


「おはようございます。桜庭さん。」

「あ・・おはようございます・・。」

「入ってもいいですか?朝食持って来たんで一緒に食べましょ?」

「あ・・はい、ありがとうございます・・。」


リビングに戻ろうと、結城さんに背を向けてひょこひょこと歩いていくと、急にふわっと体が浮いたことに気がついた。


「ふぁっ・・・!?」

「ケガでもしたんですか!?歩き方がおかしいですよ!?」

「えっ・・・?あ・・!ちっ・・違うんですっ・・!」

「とりあえずリビングまで行きましょう!」


お姫様のように抱きかかえられたことに赤面してる私の足を心配しながら、結城さんは急ぎ気味にリビングに向かっていった。

優しくソファーの端っこに座らされ、彼は私の足をじっと見てる。


「捻ったんですか?昨日不安定な浜辺を歩いて捻りました?」

「やっ・・・違いますって・・・!」


私はペディキュアのことを説明しようと思い、足の指に手を伸ばした。

その時、塗ったはずのペディキュアが剥がれてしまってることに気がついて・・・・


「え・・・どこで剥がれたんだろ・・・?」

「『剥がれた』?何がですか?」

「さっき塗ったペディキュアなんですけど・・・・」


部屋の壁にでも擦ってしまったのかと思ったとき、結城さんのワイシャツの端に黒い線が入ってることに気がついた。

その線は・・・私が塗ったペディキュアだ。


「~~~~っ!?わっ・・・!すみません・・・!」

「え?・・・あ!そういうことだったんですか・・・」


ぐちゃぐちゃになってしまってる私のペディキュアと、ワイシャツについた黒い線で結城さんは何があったのか察してくれたようだった。

そしておもむろに立ち上がり、内線電話があるところまで行ってフロントに電話をかけ始めた。


「あ、185㎝のワイシャツってあります?あったら持ってきて欲しいんですけど・・・あ、そうですか。じゃあお願いします。」


そう言ったあと電話を切り、また私の前に戻って来た。


「替えがあるので大丈夫です。・・・それよりすみません、せっかく塗ってたのに台無しにしてしまって・・・」

「いえ、大丈夫です。私こそ誤解を招くような歩き方して・・・すみません。」


頭を下げて謝ると、部屋のインターホンが鳴った。

もう代わりのワイシャツが来たようだ。


「ちょっともらってきますね。」


そう言って結城さんはホテルの人からワイシャツを受け取り、またリビングに戻って来た。

そして汚れたワイシャツのボタンを一番上から外していく。


「!?・・・こっ・・ここで着替えるんですか・・・っ!?」

「?・・・はい。上だけなんですぐですよ?」

「やっ・・!すぐとかそういう問題じゃなくて・・・!」


私の言葉も聞かず、結城さんはバサッとワイシャツを脱いだ。


「~~~~っ!!」

「ふぅー・・・。」


シャツの上からでもわかるくっきりと分かれた筋肉が目に飛び込んできて、私は思わず両手で顔を隠した。

見たことも無い逞しい体に、胸のどきどきが止まらない。


「既製品はやっぱりちょっとキツいな・・・。」


そう言いながら結城さんが着替え終わるのを顔を隠して待ってると、ソファーの隣がぐっと沈む感覚を感じた。

そっと手を離して見てみると、そこに結城さんが座っていたのだ。


「!?!?」

「ちょっとは意識してくれました?」

「~~~~っ!」

「顔、真っ赤。俺のことを好きって言ってくれたらこのままぎゅって抱きしめれるのに・・・。」


そう言いながら結城さんは私の頭を一撫でした。


「さて、朝食食べたら出かけましょうか。今日も天気がいいので動物園とかどうです?」

「動物園・・・・」

「とりあえずそのペディキュアを塗り直して乾いてからにしましょうね。黒でいいんですか?」


結城さんは部屋を見回し、テーブルに置いてあった黒いマニキュアを見つけた取ってきてくれた。

それを私に手渡してくれたけど、乾くまでの間の時間を待っててもらうことなんてできない。


「いえ・・リムーバーで落とします。」


そう言うと結城さんは驚いた顔をしていた。


「え?落とすんですか?」

「はい、また夜にでも塗るので・・・とりあえず落とします。待っててもらうなんてできませんし・・。」

「俺はいつまででも待ちますけど・・・。」

「そんなわけにいかないですよ。」


私はマニキュアが入っていた箱からリムーバーを取り出し、コットンに染み込ませた。

さっき塗ったばかりだからかまだ色移りもなく、スムーズに落ちていく。


「すみません、俺が気づいていたらこんなことには・・・」

「いえ、本当に気にしないでください。夏の間は週替わりで色を塗り替えますし、他の色も試したいんで・・・」


しゅんっとしてしまった結城さんの姿は珍しく、私は手で口元を押さえながらクスクス笑ってしまった。


「ふふっ・・・」

「あ、今、笑いましたね?」

「!!・・・笑ってません。」

「笑いましたよ?」

「笑ってませんよっ・・・・ふふっ。」


クスクス笑いながらリムーバーで落としていってると、結城さんは持ってきてくださった朝食をテーブルに並べ始めた。

もう気にしてはなさそうだ。


「プレーンのワッフルをいくつか買ってきたんです。お口に合うといいんですけど・・・。」

「!!・・・ワッフル好きです!あ、お支払いします・・・!」


私は全てのペディキュアを落とし、ソファーから立ち上がった。

昨日入れ替えた新しいバッグから財布を取り出し、結城さんのところに行く。


「おいくらですか?」






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