溺愛彼氏と軟禁生活!?~助けてくれた彼に私が堕ちるまで~

すずなり。

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彼女と男の過去。

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「あ!社長!お戻りですね!!」


社に戻ると佐伯がタブレットを片手に駆け寄ってきた。

自社ビル30階にある仕事用の部屋でパソコンを置いてある机の椅子に腰かける。


「あぁ、あの男と彼女、どこまでわかった?」


締めていたネクタイを緩めながらパソコンの電源を入れると、佐伯はタブレットをスクロールしながら淡々と話し始めた。


「男の名前は『鈴木 慎太郎』。年は26です。バンドマンとして活動をしてるようで定職は無し。今から2年前に22歳の『桜庭 桃』さんと出会ったようです。」

「2年前・・・。」

「付き合い始めてから半年後、同じアパートで同棲をしていたようですが桜庭さんが同棲解消を申し入れてそれを承諾。その後すぐに桜庭さんはこっちに引っ越してきたみたいですね。」


付き合った後、合わなくなって同棲を解消したり別れたりすることはあることだ。

引っ越しもあることだと思うけど、あの怯えようが理解できなかった。


「じゃあなんで昨日みたいなことに?」


そう聞くと佐伯はタブレットを大きくスクロールした。


「えーと・・・あ、鈴木の性的嗜好が問題のようです。」

「性的嗜好・・・・?」

「はい。鈴木は行為の最中に首を絞めることを好んでいるようです。過去に関係のあった女性全員が『気絶するまで首を絞められた』と言ってました。」

「は・・・?」


俺は今、佐伯が何を言ったのか理解できず、聞き返した。


「え?え?・・・なんて?」

「だから、行為の最中に首を絞めて気絶させるのが好きな男なんですよ、この鈴木ってやつ。」

「首絞め・・・・」

「桜庭さんは前の職場の人にこのことを相談したあと仕事を辞めたそうです。それが今から1年前です。」


この話を聞いて、俺は彼女が怯えていた理由がわかった。

命の恐怖を感じた相手が自分の前に現れたなら、怯えるのは仕方のないことだったのだ。


「そういうことか。」


計り知れない彼女の恐怖を知った俺はどうしたらいいのか悩んだ。

それと同時に彼女にそんな非道なことをしてきたあの男に怒り以上のものを覚える。


「・・・俺と付き合ったら、また首を絞められるようなことになると思ったのか。」


そんな最低なことをすることはないけど、彼女は俺のことをあまり知らない。

知ってるのはおそらく、この見た目と名前、あと・・・よく買うコーヒーくらいだろう。


「『付き合って欲しい』って言ったとき、顔を赤くしたんだよな・・ならまだ諦める段階じゃない。」


あの時の赤い顔は『恥ずかしい』や『告白されて困った』ような顔だった。

もう少し距離を詰めれれば、考えも少し変わってくれるかもしれない。


「・・・よし、佐伯。」

「はい?」

「仕事はできるだけ夜に回してくれ。夕方まではフリータイムだ。」

「へ!?」

「あと、うちの会社の傘下にいる女性物の服屋・・・20代に人気のところ3店舗を『ホテル・ルミエール』のエントランスに呼んでくれ。今から2時間後集合な。」

「はい!?」

「よろしく。」


そう言って今入れたばかりのパソコンの電源を落とした。

ネクタイを締め直し、部屋の扉に向かって足を進める。


「ちょ・・!社長!どこ行くんです!?」

「彼女のとこ。向こう1ヶ月は仕事は夜にするからよろしくな。」

「えぇぇ!?」


優秀な秘書に後を任せて会社を出た俺は、彼女が喜びそうな場所をスマホで検索した。

アクアリウムに海、公園におしゃれなカフェ、レストラン・・・

夜景なんかも好きそうで、どこに連れて行けば喜んでくれるか考えるだけで笑みがこぼれてくる。


「選んでもらったら断られるかな。二択ならいけるか?」


そんなことを考えながら彼女がいるホテルに向かい、俺はエントランスのソファーに腰かけた。

呼びつけた3店舗が来るのを待ちながら、勝負であるこの1ヶ月でどう攻めるかを思案していく。


(彼女が男に求めるものってなんだ?金・・じゃなさそうだし、ルックス・・・でもないよな。)


彼女が働くカフェでしばらくパソコンを触ってたことがあるけど、アルバイトの子が浮いた話を持ち掛けても彼女は乗ったりしてなかったことを思い出した。

あの時、アルバイトの子に『どんな人が好みか』と聞かれて『安心できる人がいい』と答えていた記憶も同時に蘇ってくる。


(・・恐怖を覚える環境にいたのなら、安心を求めるのは当たり前だよな。)


俺の腕の中にいてくれるならどんな時でも守ると誓えるけど、彼女は俺の腕の中にいたいとは思ってくれていない。

それどころか常連の分際でホテルを取って住まわせるとか、軟禁に近いようなことをしてしまってることに今更だけど気がついた。

でも・・・


(ホテルに戻ることを了承したのは彼女だ。あの男から逃げれる場所はここしかないと思ったんだろう。)


ならここは絶対に安全な場所じゃなきゃいけない。

さらに徹底してこの場所をあいつに知られないようにするにはどうするかと考えたとき、呼びつけた3店舗の店員が揃って俺の前に現れた。


「結城社長、お呼びいただきましてありがとうございます。」

「社長、本日はどうされましたか?」

「ご要望、お聞きいたします。」


現れた3人の店員は全て女性。

佐伯が勘を働かせて『女性』を指名してくれたのかもしれない。


「来てくれてありがとう。実は頼みがあって。」

「?」

「?」

「?」


俺は3人を連れて彼女がいる25階の部屋に向かった。




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