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本当の家族。
まさかな話。
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「・・?なに話してるの?」
そう聞くと二人は話を止め、一瞬で私を見た。
お兄ちゃんはバツが悪そうに後ろ手で頭を掻き、一木さんは笑顔で私を見てる。
「亜子ちゃん!ちょうどよかった!実はキミに頼みがあってね・・・」
笑顔の一木さんが一歩ずつ私に近づきながらそう話始めた。
「ちょ・・!誰が亜子に聞いていいなんて言った!?」
それを止めるようにお兄ちゃんも近づいてくる。
「え・・?え?何?一体・・・。」
よくわからないまま二人を見てると、一木さんが話始めた。
「今、夏休みだろ?病院の中で七夕祭りするんだけどさ、BGM担当のやつが来れなくなってさー・・ピアノ、弾いてくれない?」
「・・・ピアノ!?」
「そ、軽くでいいからー・・・、お願い。お祭りの内容はさーーーー」
一木さんの説明によると、お祭りは入院してる子供たちに向けてするものらしかった。
がやがやと人の声は多いだろうけどBGMがないと寂しいということで何か音楽をという話になったらしいけど、電子機器はコードの加減で無理だったそうでピアノになったとか。
で、その人が当日無理だと連絡が入ったそうだ。
「あ、なるほどー。」
「30分くらいだと思うからさ、頼まれてくれない?」
お世話になってる一木さんの頼みごとなんて断るハズがなかった。
「大丈夫ですー、しますー。」
「!!・・助かるよ!ありがとう!詳しいことは後で話すから!」
そう言って一木さんは私の勉強の合間に、お祭りの詳細を教えてくれた。
屋台のようなものも出て、看護師さんたちが色々準備してるとのことだった。
時間にしておよそ1時間。
そのちょうど間の30分間、音楽が欲しいとのことだった。
「予定ではどんな曲だったんですか?」
「僕は知らないけど・・・明るい曲をお願いしてたと思うよ?特に指定はないと思う。」
「そうですか。・・・それで・・いつなんですか?」
色々話は聞いたけど、肝心の日にちをまだ聞いてなかった。
「あー・・・ごめん、明日・・・。」
「・・・へ!?明日!?」
「うん・・・。もともと明日は亜子ちゃん来る予定だっただろ?その時間なんだよ・・。」
「なるほどー・・・。」
一木さんは私の時間を把握してる。
私が断らないのをわかってて持って来た話だとすぐにわかった。
「今度お礼にクレープごちそうするからー。」
一木さんの言葉に、私は目を輝かせた。
「・・・クレープ!!」
「そ。美味しいとこ、知ってるからさ。」
テレビや雑誌で見たことのあるクレープは、バナナやイチゴのフルーツにチョコやカスタードの甘いソースをかけて、もちもちの生地で巻いたものだということは知っていた。
施設を出てからたくさんの物を食べさせてもらったけど、クレープは最近知ったものだ。
まだ食べたことがない。
「食べたいです・・!」
「言うと思った(笑)女の子はみんな好きだし、亜子ちゃんは・・・もうちょっと体重が欲しいからね。」
「楽しみーっ。」
「じゃ、明日よろしくね?」
「はいっ。」
詳しい時間を聞き、私は病院をあとにした。
最近の勉強は軽くするくらいのもので、復習をしたり、ちょっと先のことを習ったりする。
話を聞いたり質問することが多くて、時間も特に『何時まで』とかいう縛りが無くなっていた。
だから今日は・・・帰りに楽譜屋さんに寄ろうと思ったのだ。
「えーと・・・確か電車で10駅向こうに大きい楽譜屋さんがあったハズ・・・。」
持たされてるケータイを開いて検索し、ルートを確認する。
家から病院までの道は覚えてるけど、他の・・全く知らないところに一人で行くのは初めてのことだ。
でも明日の為にも楽譜が欲しい。
「できれば音源があれば助かるけど・・・。」
耳で聞いたものを弾くのが得意な私は楽譜はあまり読まない。
元々読めなかったけど、お兄ちゃんたちが教えてくれて少し読めるようになった。
動画とかを繰り返し見て、自分なりに色々学んで・・難しくなければなんとか楽譜だけでも弾けるようになってきたところだった。
「とりあえず行ってみて、そっから考えようっ。」
そう決めて、私は電車に乗った。
そう聞くと二人は話を止め、一瞬で私を見た。
お兄ちゃんはバツが悪そうに後ろ手で頭を掻き、一木さんは笑顔で私を見てる。
「亜子ちゃん!ちょうどよかった!実はキミに頼みがあってね・・・」
笑顔の一木さんが一歩ずつ私に近づきながらそう話始めた。
「ちょ・・!誰が亜子に聞いていいなんて言った!?」
それを止めるようにお兄ちゃんも近づいてくる。
「え・・?え?何?一体・・・。」
よくわからないまま二人を見てると、一木さんが話始めた。
「今、夏休みだろ?病院の中で七夕祭りするんだけどさ、BGM担当のやつが来れなくなってさー・・ピアノ、弾いてくれない?」
「・・・ピアノ!?」
「そ、軽くでいいからー・・・、お願い。お祭りの内容はさーーーー」
一木さんの説明によると、お祭りは入院してる子供たちに向けてするものらしかった。
がやがやと人の声は多いだろうけどBGMがないと寂しいということで何か音楽をという話になったらしいけど、電子機器はコードの加減で無理だったそうでピアノになったとか。
で、その人が当日無理だと連絡が入ったそうだ。
「あ、なるほどー。」
「30分くらいだと思うからさ、頼まれてくれない?」
お世話になってる一木さんの頼みごとなんて断るハズがなかった。
「大丈夫ですー、しますー。」
「!!・・助かるよ!ありがとう!詳しいことは後で話すから!」
そう言って一木さんは私の勉強の合間に、お祭りの詳細を教えてくれた。
屋台のようなものも出て、看護師さんたちが色々準備してるとのことだった。
時間にしておよそ1時間。
そのちょうど間の30分間、音楽が欲しいとのことだった。
「予定ではどんな曲だったんですか?」
「僕は知らないけど・・・明るい曲をお願いしてたと思うよ?特に指定はないと思う。」
「そうですか。・・・それで・・いつなんですか?」
色々話は聞いたけど、肝心の日にちをまだ聞いてなかった。
「あー・・・ごめん、明日・・・。」
「・・・へ!?明日!?」
「うん・・・。もともと明日は亜子ちゃん来る予定だっただろ?その時間なんだよ・・。」
「なるほどー・・・。」
一木さんは私の時間を把握してる。
私が断らないのをわかってて持って来た話だとすぐにわかった。
「今度お礼にクレープごちそうするからー。」
一木さんの言葉に、私は目を輝かせた。
「・・・クレープ!!」
「そ。美味しいとこ、知ってるからさ。」
テレビや雑誌で見たことのあるクレープは、バナナやイチゴのフルーツにチョコやカスタードの甘いソースをかけて、もちもちの生地で巻いたものだということは知っていた。
施設を出てからたくさんの物を食べさせてもらったけど、クレープは最近知ったものだ。
まだ食べたことがない。
「食べたいです・・!」
「言うと思った(笑)女の子はみんな好きだし、亜子ちゃんは・・・もうちょっと体重が欲しいからね。」
「楽しみーっ。」
「じゃ、明日よろしくね?」
「はいっ。」
詳しい時間を聞き、私は病院をあとにした。
最近の勉強は軽くするくらいのもので、復習をしたり、ちょっと先のことを習ったりする。
話を聞いたり質問することが多くて、時間も特に『何時まで』とかいう縛りが無くなっていた。
だから今日は・・・帰りに楽譜屋さんに寄ろうと思ったのだ。
「えーと・・・確か電車で10駅向こうに大きい楽譜屋さんがあったハズ・・・。」
持たされてるケータイを開いて検索し、ルートを確認する。
家から病院までの道は覚えてるけど、他の・・全く知らないところに一人で行くのは初めてのことだ。
でも明日の為にも楽譜が欲しい。
「できれば音源があれば助かるけど・・・。」
耳で聞いたものを弾くのが得意な私は楽譜はあまり読まない。
元々読めなかったけど、お兄ちゃんたちが教えてくれて少し読めるようになった。
動画とかを繰り返し見て、自分なりに色々学んで・・難しくなければなんとか楽譜だけでも弾けるようになってきたところだった。
「とりあえず行ってみて、そっから考えようっ。」
そう決めて、私は電車に乗った。
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