救助隊との色恋はご自由に。

すずなり。

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再会。

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数日後・・・



純弥side・・・




この前、モールのエレベーターに閉じ込められた子がわざわざお礼を言いにきてくれた。

お礼を言いに来てくれる人は珍しくないけど・・・。



弓弦「純弥ー、そろそろ行くぞー。」

純弥「おー。」


考えごとしてたらあっという間に出る時間になってた。

今日は幼稚園に出張して消防車の中を見せてあげる日だ。



森川「子供ってかわいいよなー。」

宮下「突然何言い出すかわかんないけどな(笑)」

笹井「ストレートに言ってくるし(笑)」



先輩方はこの幼稚園のイベントを楽しみにしてる。

毎年冬が近づいてくると、近隣幼稚園から依頼がきて、忙しくない日で対応する。

それが恒例だ。




弓弦「ほら、着くよー。」



到着した幼稚園は天河幼稚園。

天河消防署から車で5分の距離にある。

園児数、約100人。




純弥「・・・結構な数の子供がいる。」

森川「まぁ、先生方もいるから大丈夫だろ。順番に消防車に乗せていくか。」

弓弦「だね。」




俺たちは園庭に消防車を止めて、先生たちに予定を聞いた。




笹井「今日はよろしくお願いいたします。」

園長「こちらこそ、お忙しいのにありがとうございます。」

笹井「今日はどういった順番でしましょうか。」

園長「そうですね、小さい子たちからお願いしてもいいですか?」

笹井「はい、大丈夫ですよ。」




笹井さんと園長先生の話がついて、小さい子たちから順番に乗せていくことになった。




園長「じゃあ、ひよこ組さんからお願いします。」




園長先生に呼ばれてひよこ組の子たちがぞろぞろと歩いてくる。



ほたる「よろしくお願いしま・・・・!?」

弓弦「!?」

森川「!?」

宮下「!?」

笹井「!?」

純弥「!?・・・え、なんでここに?」



子供たちを引き連れてきたのは、この前モールのエレベーターに閉じ込められてた子だ。

エプロンをつけて子供たちの手を引いてる。



弓弦「・・・幼稚園の先生だったの?」

ほたる「・・・まぁ。」



思いがけない再会に、俺たちが固まってると、子供の一人が話しかけてきた。




園児「・・・のってもいい?」

純弥「え?・・・あぁ、いいぞー。」



先頭にいた子を抱えて運転席に座らせる。

それを見た他の子どもたちが我先にと押し寄せてきた。



園児「ぼくも!」

園児「わたしもー!」



もみくちゃにされる消防署員たち。

俺も例外じゃない。



弓弦「ちょ・・順番ね?」

純弥「押すな押すな!」



てんやわんやになりかけたとき、びしっとした声が聞こえてきた。



ほたる「ほらっ!さっきのお約束は忘れちゃったのかなー?」



その声で子供たちの動きがピタッと止まった。



純弥「?」

弓弦「?」

ほたる「もうすぐしたら、みんな、おおきい組さんになるのに・・・ちゃんと順番守れないのかなぁ?」



思い出したかのように一列に並んでいく子供たち。



園児「おぼえてるもんっ。」

園児「わすれてないもんっ。」

ほたる「忘れちゃったかと思っちゃった。みんな覚えてて偉いねっ。」


子供たちに笑顔で話しかけるその子に、一瞬心臓が跳ねた。




純弥「---っ!」


園児「ねぇ、ほたるせんせ?まぁだ?」

ほたる「あ、すみません、次の子いいですか?」


固まってしまってた俺。

慌ててまた、子供たちを消防車に乗せ始めた。




純弥(え・・なんだこれ・・・一瞬胸が締め付けられた・・。)



さっきのことを理解できなくて、俺は流れ作業のように子供たちを消防車に乗せ続けた。







ーーーーーーーーーー







園長「ありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。」

笹井「こちらこそ、かわいい子供たちに元気を頂きましたよ。また来年、ご連絡お待ちしてます。」





無事に園児たちを全員乗せ終えて、俺たちは署に戻ることにした。





森川「あの子、ここの先生だったんだな。」

宮下「びっくりー。」

弓弦「しっかりした先生だったねぇ。」

純弥「あぁ、ほんとに。」




車内はあの子の話でもちきりだった。




森川「あの子・・・かわいいよな。」

宮下「お前も思った?」

弓弦「え、全員思ったんじゃない?」

純弥「思うだけな。もう会わないだろ。」



俺の一言にみんなが押し黙った。



森川「そうだな。」

宮下「来年会えたら声かけよっかなー。」

弓弦「遠い話だな。」

宮下「だって次にあの幼稚園行くのって来年だし。」

純弥「そうだな。次、幼稚園で会えたら署に遊びに来てとでもいうか。」



そんな話をしていると、一番年長の笹井さんが次の予定を言い出した。


笹井「色恋は自由だけど、明日、天河南幼稚園だからなー。」

弓弦「了解。」




来年を楽しみに、明日からの仕事を頑張ろうとみんなで思ったのに、まさかなことが明日起きるなんて思いもしなかった。












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