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大きすぎる力は敵を生む。

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俺が戦線離脱してか2か月の時間が流れた。

まだ健太は生き残ってるようで、毎日戦況を教えてくれてる。

そんな中、俺の住んでる国は国土譲渡の話が次から次にやってくるようで、毎日ニュースはその話でもちきりだった。


『えー・・緊急速報です。国土拡大を続けてるわが国ですが、今度はネタダイン国が申請をしたようです。申請を受け入れた場合、これで5か国分・・・元々の国土のおよそ20倍にまで膨れ上がることになります。』


「・・・すげぇな、どうなっていくんだ?この国の未来・・。」


どんどんと国土は広がっていき、世界で一番国土面積のデカい国に近づいていく。

人口も増え、前まで1億人くらいだったのに今は9億人。

領土となった国は基本言語を揃えるために変えていってる。

国の特産なんかが安く販売されるようになり、異国のものであった物が今では自国の特産品に。

すると他の国からも注目されるようになっていき、観光客は莫大に増えていった。

とてつもないスピードで経済が回り、俺たちを取り巻く環境が変わっていったのだ。


ーーーーー



『速報です。政府は学校に関わる費用の無償化を発表しました。大学卒業までの保証です。』

『速報です。政府は税金の免除を発表しました。』

『速報です。政府は1家庭につき月30万の配布を決定いたしました。』

『速報です。-----』


領土拡大によってもたらせたものは大きかったようで、今まで金がかかっていたものが次から次へと無償になっていった。

大人たちは喜んでるようだったけど俺たち高校生にはあまりわからないこともある。

俺はあの無料配信ゲームがどこまで進んでるのかが気になっていた。


「健太はまだ生き残ってるんだよなー。最近ゲームの話聞いてないし、ちょっと聞いて見よ。」


そんなことを思いながら外を歩いてるとき、『キーン』と音域の高い音が聞こえてきた。

モスキートーンに近いような音だ。


「なんだ?」


どこから音がしてるのか確かめようとしたとき、辺りが急に明るく光った。

目を閉じてしまうくらいの閃光のような光が辺り一帯を照らしたのだ。


「うわっ・・!?」


俺は思わず腕で自分の顔に影を作った。

それでも目は開けることができず、しばらく閉じてしまっていた。


「一体何なんだ・・・?」


その光が落ち着き、目を開けれるようになったのを感じて開いた。


「何が起こったんだ・・・・?」


何が起こったのか確認しようと辺りを見回す。

けどなにも変わったことがなかった。

回りにいた人たちは俺と同じように突然の光に驚き、しゃがみ込んだり周りをきょろきょろ見てる人はいる。

でも他に何も変わった様子はなかった。


「?」


よくわからないまま歩き出そうとした時、遠くで俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。


「おーい!修二ーっ!!」


声のした方を見るとそこに健太の姿がある。


「健太?」

「ついにできたぞーっ!!」


手に何か持ちながら走ってくる健太。

その手にあったのは・・・VRゴーグルだった。


「え・・お前マジで作ったの?」

「作った!!ポータブル機にもあのゲーム繋いできたからさ!ちょっと一緒に見ようぜ!」


そう言って健太はポータブルのゲーム機を起動し、VRゴーグルをつけた。

嬉しそうに周りを見回し、俺に焦点をあてた。


「あれ・・・・?」

「どうした?」

「修二、青い帽子ルビってかぶってたか?」

「は?・・・俺、帽子なんてかぶってな・・・・」


そう答えようとした瞬間、俺と健太のスマホの警告音が同時に鳴った。

地震系のアラートかと思って覗くと、そこに恐ろしい文章が書かれていたのだ。


『わが国は他国からの攻撃を受けました。黄色のロボットが銃を持って攻めてきます。手の甲にバーコードが現れてる人は狙われますので武器を持って戦ってください。』


その文章を見た俺と健太は二人で顔を見合わせた。


「は・・?どういう意味だ・・?」

「わかんねぇ・・・」


一体何の誤爆かと目を疑ってるとき、さっきの健太の言葉が引っかかった。

『青い帽子をかぶってたか?』という言葉だ。


「!!・・・おい健太!そのゴーグル貸せ!」

「え?あ・・あぁ、いいけど・・・。」


強引に奪い取るようにしてゴーグルを取り、覗いてみる。

すると帽子なんかかぶってなかった健太の頭上に青い帽子が見えたのだ。


(この帽子・・・もしかしてあのゲームの・・・!?)


見覚えのある帽子はあのP portの配信ゲーム内で見た敵の帽子にそっくりだった。

それどころか健太の姿が少しアニメのように加工されていて、ゲーム内そのものだったのだ。


「!?・・・お・・おい!修二!!」


ゴーグルを覗いてる俺の腕を掴み、健太は激しく揺さぶった。

グラグラ揺れる視界にゴーグルをあてれなくなった俺は、ゴーグルを外した。


「なんだよ!健太!」


思いついてしまった仮説に驚きや焦り、他の感情も入り混じってしまい、俺は怒り口調になってしまった。


「これ・・・・」


そんな俺に健太は青ざめた表情で自分の手を差し出してる。


「ば・・バーコードがあるんだよ・・・!」

「!?」


見せられた手には確かにバーコードの印字があった。

まさかと思って自分の手の甲を見てみると、健太と同じバーコードが浮かび上がってきていたのだ。


「俺たち狙われるのか!?」


パニックになりそうな健太。

俺は健太にVRのゴーグルをかぶせた。


「聞け!健太!!」

「!!」

「そのゴーグルから見える帽子・・見たことあるだろ?」

「見たこと・・・?」

「あぁ、俺たちがプレイしていた・・・P portのゲームだ。」

「え・・・?」

「恐らくさっきの光・・・あれが攻撃だったんだろう。あの光を国中に降り注がせ、対象となるものに『印』をつける。そしてあのゲームを起動させ、襲わせるんだ。」

「は・・?おま・・何言ってんの・・・?」

「・・・。」


俺は健太に説明しながらも内心ではゾッとしていた。

今までゲームの中のキャラだと思って殺してきた相手が実は人間だったのかもしれないのだ。


「・・・生き残るには戦うしかない!戦況バー、見てただろ!?青い帽子をかぶってた奴らも抵抗してた!向こうの人口は知らないけど、こっちだってゲーム経験者だ!簡単にやられはしないだろ!?」


そうは言ったものの、今度はゲームじゃなくて自分の命がかかってる。

本当にやられないか不安しかなかったけど、みすみす友達を見殺しに何てできない。

できれがこれが夢か何かであってくれたらと心から願うばかりだった。


「そ・・そうだな・・・!やられなければいいんだ!!」

「そうだ!!」


お互いを鼓舞し合ったとき、バーンっ・・!!という轟音と共に地響きがした。

音のした方に視線を向けると、そこに黄色いロボットがいた。

どうやら轟音と地響きはこのロボットがどこかからか飛んできた着地したようだ。


「・・・待て待て待て・・デカくないか!?」

「てっきり俺たちと同じくらいの大きさだと思ってたのに・・これは反則じゃないか・・?」


赤外線探知で飛んで来たのか、俺たちの目の前にいるロボットは想像より遥かにデカいものだった。

ビル3階建ての建物くらいあるロボットが飛行機くらい大きさがある銃を構えてる。


「に・・逃げろぉぉぉ!!!」

「うわぁぁぁぁぁ!!!」




ーーーーー



ーーーー



ーーー



ーー





「・・・試験的に与えた新しい戦術・・・少し改良の余地がありそうですな。」


無数のモニターに囲まれながら数人の男が会話をしていた。


「そうですね。まさかあの国が5つの国を自国領土にしてしまうくらいコントローラーを使った動きに強いとは思いませんでしたがね。」

「なかなか見ものでしたな。」

「軍事的に制圧すれば、自国民を守るために自ずから国を差し出してくる。」

「攻め入れない国は死刑囚を代わりに裁くと申し出て、報酬をもらう。」

「価値の高い少数民族ばかり集まるところを制圧し、特産物を売る。自国の観光名所にする。まぁ、簡単に想像できることしかしてくれなかったですけどね。」

「確かに。」

「確かに。」


この数人の男たちはP port内に配信できるゲームを作り、それと連動するロボットを作り上げた者たちだった。

政治家たちの手を汚すことない軍隊はコマとしては最高な上、ロボットを操ってるものだから攻撃する側としては人命が失われることはない。

それらを軍隊が扱おうと思ったら動きが悪く、その性能を十分に発揮できないと統計があったから一般人にやらせたのだった。


「しかしあれですな、一つの国にこういう新しいものを与えると他の国も欲しがる・・・まるで子供が他の子供のおもちゃを欲しがるのと同じような感じになりましたな。」

「一つの国に与えたとたん、どこからか嗅ぎつけてきましたものね。」

「せっかく一つの国がどこまで大きくなるか見たかったのに・・・データが取れませんでしたね。」

「まぁまぁ、それはいいですよ。リセットしてしまえばあのロボットたちは消える。」

「あとは侵略をした国を公表すれば・・・100年ほどで元の状態に戻りそうですね。」

「そうですね。」

「そうですね。」


男たちは無数にあるモニターの一つ一つに目線をやった。

そこには世界中で黄色いロボットによる侵略が映し出されていた。

逃げ惑う人、銃で撃たれて血を流す人。

ゲーム上の画面で血がケチャップのように見えるのはゲームを続けてもらうための演出だったのだ。

そうとは知らずに戦い続けるコントローラーを握る側と、現実の武器を握る側。

そのどちらもがたった一つしかない『ライフ』を守るために戦い続けてる。


「うわぁぁぁ!!!」

「ぎゃぁぁぁ・・・っ!!」



ゲームを媒体として行われてる侵略は、近い未来、自分たちの身に起こることかもしれない。



おわり。



ーーーーー



最後まで読んでいただきありがとうございます。

ダメですね、すずなり。はホラー系は向いてないですね。

どちらかというとファンタジー・・・のような気もしないのですが、『新しいことに挑戦!』という意味でホラーのままにさせていただきたいと思います。

やはり溺愛系が好き・・・ですね!王道が一番!

ここまで読んでいただきありがとうございます。


私事ではございますが、先日、迷子の女の子を保護いたしました。
夜遅くに一人で住宅街にいたのですが、気になって近づくと通りかかった人も一緒に保護してくれて、警察にお電話を・・・。

そして近くを車で走り回ると保護者らしき人を見つけたので『女の子を探してますか!?』と聞くと『はい!!』と答えてくださったのでご案内し、女の子は無事保護者のもとに帰ることができました。

子供ってこうやって行方不明になるのか・・・とゾッとしました。地域の連携とか大事ですね。

私事、失礼いたしました。


またお会いできる日を楽しみに。すずなり。
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