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告白。

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どくどくと心臓が嫌な音が立てる。

その音は俺の気持ちを・・・教えてくれてる。



千秋(あそこにいた男と・・・かざねが・・・?)




『男』と一緒にいるかざねなんて見たくない。

ましてや誰かと唇を重ねたりとか・・・誰かの腕の中で啼く姿とか・・・。



想像するだけで嫉妬にかられた。




千秋(・・・かざねは・・誰にも渡さない。)




俺は仕事をさっさと終わらせ、かざねを探しに車を走らせた。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






かざねside・・・





ピアノを弾き終わった私は、ユウトさんのもとに行った。



作曲者も時代もバラバラに弾いた曲たち。

指揮者さんからみたら怒られそうな演奏だ。




かざね「あの・・・ユウトさん・・?」

ユウト「いや、ほんとすごいね。」




思ってた言葉じゃない言葉が来た。




かざね「え・・・?」

ユウト「楽しそうでよかったよ。」

かざね「・・・怒らないんですか?」

ユウト「怒る?まさか。『自由に』弾いていいんだからさ。」

かざね「ありがとうございます・・・。」




怒られなかったことにびっくりしてる中、ユウトさんは歩き始めた。

私も一緒に歩き出す。





かざね「あ、ピアノのこと、教えてくださってありがとうございました。」

ユウト「・・・どういたしまして。」




笑顔で話しかける私とは違って・・・どこか浮かない表情のユウトさん。




かざね(やっぱりあの演奏はマズかったかな・・・。)



楽譜がないとちゃんと弾けない私。

暗譜もしてあるけど、似たような曲調のときに違う曲にすり替わってしまうことが多いから、ちゃんと弾けないのだ。





かざね「あの・・・・。」





とりあえず謝ろうと思って声をかける。

でも私が悩んでたことと全く違うことをユウトさんは考えていた。





ユウト「ピアノのこともあるんだけどさ、かざねちゃんに・・聞いて欲しい話があって・・・呼び出したんだよ。」

かざね「私に?・・話?」

ユウト「ずっと・・・気になってた。かざねちゃんのこと。」




その意味は・・・私でもわかる。



ユウト「最初はかわいい子が入団してきたなー・・くらいにしか思ってなかったんだけど、小さい身体なのに・・・迫力のある演奏。その『音』に一気に引き込まれた。」

かざね「そんな・・・。」

ユウト「今、特定の誰かがいないなら・・・俺と付き合ってくれないかな。」




す・・・っと手を差し出してきたユウトさん。

この手を取れば、付き合うことになる。





かざね(ユウトさんとはもう1年、一緒に活動をしてる。)





優しいユウトさん。

音楽団のみんなに優しい話し方で接してるのを知ってる。

怒ってるところなんて見たことない。

プライベートは知らないけど、きっとこのままの姿の人だって簡単に想像はついた。

でも・・・




かざね(私が好きなのは・・・ちーちゃんだ。)



ちーちゃんは怒る。

怒るけど、それは私を思って怒ってくれてる。

優しいことも知ってる。

でも実らない想いだ。




かざね(この手を取れば・・・ちーちゃんを忘れられる・・?)



誰かと結婚していくちーちゃんを見なくて済む。

私がユウトさんを愛しさえすれば。




そう思って私は手を伸ばした。





その時・・・




ユウトさんの手に触れる直前、私の後ろから手が伸びてきて、体が後ろに引かれた。



かざね「うわっ・・・・!」

ユウト「!?」




身を捻って後ろを向くと、そこにはちーちゃんの姿があった。




かざね「・・・ちー・・ちゃん・・?」

千秋「ダメだ。・・・かざねはやらない。」



寒空の中、コートも着てないちーちゃんが私を抱きしめてる。




ユウト「・・・あなたは?」



ユウトさんが怪訝な顔でちーちゃんに聞いた。



千秋「幼馴染だ。」

ユウト「幼馴染には関係ないんじゃ?」

千秋「関係ある。」





ちーちゃんは私の身体をくるっと回して両肩を持った。

体をかがめて私と目線を合わせる。



千秋「かざねが好きだ。」

かざね「・・・・・え?」




ちーちゃんの口から思ってもない言葉が出てきた。

望んでないようで望んでいた言葉。

その言葉は私の中でとどまることを知らないように通り抜けて行ってしまった。




かざね「な・・んて・・・?」

千秋「10年前・・・別れた時にはもう好きだった。」




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