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ストリートピアノ。
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それから何日か経ち私の足は完全に治った。
体力も回復して前と変わらない生活を送ってる。
でも少し生活を変えたほうがいいと考えて、『食事』に関してはちゃんとしようと思っていた。
思ってたんだけど・・・
かざね「・・・やっぱり買ってきたご飯じゃダメなのかな。」
ちーちゃんに言われてから、ちゃんとしたご飯を食べてるつもりな私。
・・・どれも買ってきたご飯ばかりだ。
かざね「・・・梅さんのお粥、美味しかったなー。」
また食べたくなるけど、ちーちゃんの家に行くわけにもいかないし。
かざね「私が作る・・・?」
家にあるミニキッチンを眺める。
かざね「・・・火事にしてしまう自信がある。」
『私が作る』という案は却下だ。
腕を組みながら色々考える。
うなりながら頭を捻っていると私のケータイが鳴った。
ピピピッ・・・ピピピッ・・・・
かざね「あ、電話だ。」
ケータイの画面を見ると『ユウトさん』の文字。
かざね「?・・・今度の演奏会のことかな?」
私は電話に出た。
ピッ・・・
かざね「もしもし?」
ユウト「あ、かざねちゃん?」
かざね「はい。どうかされました?」
ユウト「ちょっと演奏会のことで相談があるんだけどさ・・・出て来れない?」
かざね「あー・・今ですか?」
家に置いてある時計を見た。
今の時間はお昼の2時だ。
ユウト「うん。予定があれば今度でもいいんだけど・・・。」
特に何も予定のない私。
返事は決まっていた。
かざね「行きます。どこに行きますか?」
ユウト「じゃあいつものコンサートホールの前で。」
かざね「わかりました。じゃあ。」ピッ・・・
私はコートを羽織り、鞄を持った。
かざね「この前、鍵をかけずに倒れてて、ちーちゃんに助けてもらったんだよね。・・・でもちゃんと鍵はするっ。」
鍵がかかってることを確認して、私はコンサートホールに向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コンサートホールに着くと、入り口のところでユウトさんがもう待っていた。
少し小走りに、ユウトさんの元に向かう。
かざね「すみませんっ、お待たせしてしまって・・・。」
ユウト「ううん、今来たとこだし。」
かざね「ありがとうございます。・・・で、相談って・・・。」
そう聞くと、ユウトさんは少し困ったように話を始めた。
ユウト「えっと・・・その前に謝ってもいいかな。」
かざね「?・・・何をですか?」
ユウト「・・・相談じゃないんだよ。」
かざね「・・・え?」
ユウト「俺さ、かざねちゃんと・・・行きたいとこがあって・・・。」
かざね「?・・・どこですか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユウトさんに連れられやって来た場所は大きな公園だった。
かざね「・・・公園?」
ユウト「そうなんだけど・・・・あ、あっちだ。行こう。」
かざね「?・・・・はい。」
歩き出すユウトさんを追いかけ、隣に並ぶ。
かざね(ユウトさんって・・・ちーちゃんくらい背が高いんだ。)
『隣に立つ』なんてことはそんなにない。
いつもピアノの向こうにいるユウトさん。
大きくタクトを振りながら指揮をする姿はファンもいるほどの人気だ。
かざね(背が高いから手足も長くて大きい指揮が
できるんだなー・・羨ましい。)
背が低い私はどう頑張っても手は大きくならなかった。
小さな手は、目一杯広げても鍵盤を1オクターブしか押せない。
だからできるだけスケールの大きい曲は弾かない。
小回りのきく曲が・・・私の武器だ。
ユウト「あ、あれなんだけど・・・。」
考えごとをしながら歩いてた道。
ユウトさんは指をさしながら私に言った。
かざね「・・・・グランドピアノ?」
公園のカフェの一角に置いてある一台のグランドピアノ。
真っ白のデザインは、周りにある緑の芝生によく映えていた。
ユウト「期間限定のストリートだってさ。」
かざね「ストリート・・・?」
ユウト「『ストリートピアノ』。・・・誰でも自由にどんな曲でも弾いていいピアノだよ。最近増えてるってネットにあがってた。」
かざね「へぇー・・・。」
ユウト「誰も弾いてないし・・・どう?」
かざね「!!」
ユウトさんはこのピアノを私に見せるためにここに連れてきた。
そのことは瞬時に理解できた。
でも・・・
かざね「・・・楽譜を持ってないんですけど。」
一曲丸まる弾くなら楽譜が欲しい。
ちゃんと弾ける自信がないから。
ユウト「言っただろ?『誰でも』『自由に』『どんな曲でも』弾いていいって。」
かざね「うーん・・・・。」
悩みながらも私はピアノに近づいていった。
鍵盤を一つ、指で押してみる。
♪~・・・
かざね「・・・怒りません?」
ユウト「怒らないよ?」
かざね「呆れません?」
ユウト「何を弾く気?」
かざね「・・・・ナイショ。」
私は椅子に座った。
まだまだ寒いこの季節。
『外』ということもあって指は冷たい。
自分の息を手に吹きかけ温めた。
かざね「はぁー・・。」
鍵盤に両手を置き、思い付くままに・・・曲を重ねていく。
体力も回復して前と変わらない生活を送ってる。
でも少し生活を変えたほうがいいと考えて、『食事』に関してはちゃんとしようと思っていた。
思ってたんだけど・・・
かざね「・・・やっぱり買ってきたご飯じゃダメなのかな。」
ちーちゃんに言われてから、ちゃんとしたご飯を食べてるつもりな私。
・・・どれも買ってきたご飯ばかりだ。
かざね「・・・梅さんのお粥、美味しかったなー。」
また食べたくなるけど、ちーちゃんの家に行くわけにもいかないし。
かざね「私が作る・・・?」
家にあるミニキッチンを眺める。
かざね「・・・火事にしてしまう自信がある。」
『私が作る』という案は却下だ。
腕を組みながら色々考える。
うなりながら頭を捻っていると私のケータイが鳴った。
ピピピッ・・・ピピピッ・・・・
かざね「あ、電話だ。」
ケータイの画面を見ると『ユウトさん』の文字。
かざね「?・・・今度の演奏会のことかな?」
私は電話に出た。
ピッ・・・
かざね「もしもし?」
ユウト「あ、かざねちゃん?」
かざね「はい。どうかされました?」
ユウト「ちょっと演奏会のことで相談があるんだけどさ・・・出て来れない?」
かざね「あー・・今ですか?」
家に置いてある時計を見た。
今の時間はお昼の2時だ。
ユウト「うん。予定があれば今度でもいいんだけど・・・。」
特に何も予定のない私。
返事は決まっていた。
かざね「行きます。どこに行きますか?」
ユウト「じゃあいつものコンサートホールの前で。」
かざね「わかりました。じゃあ。」ピッ・・・
私はコートを羽織り、鞄を持った。
かざね「この前、鍵をかけずに倒れてて、ちーちゃんに助けてもらったんだよね。・・・でもちゃんと鍵はするっ。」
鍵がかかってることを確認して、私はコンサートホールに向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コンサートホールに着くと、入り口のところでユウトさんがもう待っていた。
少し小走りに、ユウトさんの元に向かう。
かざね「すみませんっ、お待たせしてしまって・・・。」
ユウト「ううん、今来たとこだし。」
かざね「ありがとうございます。・・・で、相談って・・・。」
そう聞くと、ユウトさんは少し困ったように話を始めた。
ユウト「えっと・・・その前に謝ってもいいかな。」
かざね「?・・・何をですか?」
ユウト「・・・相談じゃないんだよ。」
かざね「・・・え?」
ユウト「俺さ、かざねちゃんと・・・行きたいとこがあって・・・。」
かざね「?・・・どこですか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユウトさんに連れられやって来た場所は大きな公園だった。
かざね「・・・公園?」
ユウト「そうなんだけど・・・・あ、あっちだ。行こう。」
かざね「?・・・・はい。」
歩き出すユウトさんを追いかけ、隣に並ぶ。
かざね(ユウトさんって・・・ちーちゃんくらい背が高いんだ。)
『隣に立つ』なんてことはそんなにない。
いつもピアノの向こうにいるユウトさん。
大きくタクトを振りながら指揮をする姿はファンもいるほどの人気だ。
かざね(背が高いから手足も長くて大きい指揮が
できるんだなー・・羨ましい。)
背が低い私はどう頑張っても手は大きくならなかった。
小さな手は、目一杯広げても鍵盤を1オクターブしか押せない。
だからできるだけスケールの大きい曲は弾かない。
小回りのきく曲が・・・私の武器だ。
ユウト「あ、あれなんだけど・・・。」
考えごとをしながら歩いてた道。
ユウトさんは指をさしながら私に言った。
かざね「・・・・グランドピアノ?」
公園のカフェの一角に置いてある一台のグランドピアノ。
真っ白のデザインは、周りにある緑の芝生によく映えていた。
ユウト「期間限定のストリートだってさ。」
かざね「ストリート・・・?」
ユウト「『ストリートピアノ』。・・・誰でも自由にどんな曲でも弾いていいピアノだよ。最近増えてるってネットにあがってた。」
かざね「へぇー・・・。」
ユウト「誰も弾いてないし・・・どう?」
かざね「!!」
ユウトさんはこのピアノを私に見せるためにここに連れてきた。
そのことは瞬時に理解できた。
でも・・・
かざね「・・・楽譜を持ってないんですけど。」
一曲丸まる弾くなら楽譜が欲しい。
ちゃんと弾ける自信がないから。
ユウト「言っただろ?『誰でも』『自由に』『どんな曲でも』弾いていいって。」
かざね「うーん・・・・。」
悩みながらも私はピアノに近づいていった。
鍵盤を一つ、指で押してみる。
♪~・・・
かざね「・・・怒りません?」
ユウト「怒らないよ?」
かざね「呆れません?」
ユウト「何を弾く気?」
かざね「・・・・ナイショ。」
私は椅子に座った。
まだまだ寒いこの季節。
『外』ということもあって指は冷たい。
自分の息を手に吹きかけ温めた。
かざね「はぁー・・。」
鍵盤に両手を置き、思い付くままに・・・曲を重ねていく。
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