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リズの気持ち。
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リズ「・・・ビート!!」
お城から馬車を出してもらった私は城下町につき、ビートの姿を見つけて叫んだ。
ビートは町の人たちの手伝いをしてたのか、お店の棚に乗っていた。
足をぷらぷらさせている。
ビート「リズ!どうしタ?」
リズ「ベンさんから伝言・・・『ゲートの用意はできた。いつでもいい』。」
ビート「!!」
リズ「ねぇ、どういうこと?『帰る』なんて話してないよね?」
ビートは棚から下りて、私に駆け寄ってきた。
私はビートを抱え上げて・・肩に乗せた。
ビート「・・・お城、戻ろウ。」
リズ「お城で話してくれるの?」
ビート「うン。」
私はビートと一緒に馬車に乗った。
お城までの道は・・・ビートは無言で何も喋ろうとしない。
リズ(ビートは・・・私のためにベンさんと調べてたんだよね・・・。)
無駄なことはしないビート。
それは『ロボット』だからできることだ。
ビートも私もこの世界のものではない。
だから『家』に変える方法を探していたのだと思った。
リズ(でも勝手に話を進めるなんて・・・。)
少しだけ・・・ほんの少しだけビートに怒りを感じながら、馬車に揺られてお城に戻った。
ーーーーーーーー
リズ「さぁ、説明してもらいましょうか。」
ビート「・・・・。」
お城に戻ってきた私はビートと一緒に部屋に入った。
ベッドにビートを座らせて、私も隣に座る。
座った時、ちょうど侍女長のアリスさんがノックをしてくれた。
コンコン・・・
アリス「失礼します。なにかお飲み物でもお持ちしましょうか?」
リズ「・・・いえ・・・あ、ベンさんに伝言をお願いできますか?」
アリス「どのようにお伝えしましょうか。」
リズ「あとで・・・ビートとお話があります・・・と、お願いします。」
アリス「わかりました。」
アリスさんが部屋を出て行ってから・・・私はビートを頭を撫でた。
リズ「で?どういうこと?」
そう聞くとビートは自分の丸い手をこしこしと擦り合わせながら話始めた。
ビート「ここハ・・・リズの世界じゃなイ。」
リズ「それはそうだけど・・・・・」
ビート「だかラ・・・アンダーに戻らないト。」
リズ「でもそれにはビートのエネルギーを使うんだよ?その意味・・・分かってるでしょ!?」
ビートのエネルギーを使うということはビートの死を意味する。
私にとっての家族であるビートを失うなんて・・・それは嫌だ。
ビート「俺ハ・・・リズに幸せになって欲しイ。だかラ・・・・」
リズ「あのね?ビート・・・私、この世界で暮らしていきたいの。」
ビート「・・・・エ?」
リズ「アンダーの世界じゃ体験できなかったことが・・・ここではできる。食べ物を食べたのも初めてだったし、太陽の下にも出れた。ここは・・・アンダーでは手に入らないものがあるの。」
アンダーにはたくさんの人がいたけど・・・あまり会話はなかった。
みんな自分のロボットがついてるし、誰に聞かなくてもわからないことはロボットが答えるかウィンドウを開けば探いものは見つかる。
適正温度、適正栄養補給・・・安定供給の世界は居心地はよかったけど・・・ここに来て足りなかったものが満たされるような感じに心が躍った。
大事な家族を失ってまで・・・アンダーに帰る必要はない。
リズ「私と・・・この世界で生きてくれる?ビートのパーツはなさそうだから・・・もう修理はできないかもしれないけど・・・・」
アンダーに帰れば、ビートの修理はできる。
でもアンダーに帰るにはビートのエネルギーを使うことになる。
そうすれば修理どころじゃない。
ビート「俺モ・・・リズと一緒がいイ・・・。」
リズ「壊れるまで・・・一緒にいてくれる?」
ビート「任せロ!!」
リズ「・・・ありがとう。」
私はビートを抱え上げて肩に乗せた。
そのまま部屋を出て・・・ベンさんの研究室に向かう。
ビート「ベン・・・怒るかナ。」
リズ「うーん・・・どうかな・・。」
ベンさんはこの世界の発展のために私の世界に来たがっていた。
それをビートと話を進めて・・・もう完成まで来ていた。
リズ「カイルさまはアンダーの技術は使わないって言ってたし・・・まぁ、がんばって納得してもらうよ。」
そう言って私たちは廊下の突き当りまで歩いて来た。
つきあたりを左に曲がって・・・スロープを下っていくと・・・ものすごい音が聞こえ始めた。
ガンッ!!ガンッ!ガッシャーーーンッ・・!!
リズ「!?」
ビート「何の音?」
この先はベンさんの研究室しかないことを、私とビートは知っていた。
私とビートは顔を見合わせた。
リズ「・・・急ぐよ!」
ビート「うン!!」
ビートは私の頭にしがみつき、私は走った。
走ってスロープを下っていく度に音はどんどん大きくなっていく。
いつもなら閉じられてる研究室の入り口が・・・今日は開いてるのが見えた。
私とビートはその入り口から・・・研究室の中に飛び入った。
リズ「ベンさん!!」
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