私が橋渡し役!?時代を逆行した世界でそんな大役できません・・!?

すずなり。

文字の大きさ
上 下
32 / 33

リズの気持ち。

しおりを挟む



ーーーーーーーーー






リズ「・・・ビート!!」




お城から馬車を出してもらった私は城下町につき、ビートの姿を見つけて叫んだ。

ビートは町の人たちの手伝いをしてたのか、お店の棚に乗っていた。

足をぷらぷらさせている。





ビート「リズ!どうしタ?」

リズ「ベンさんから伝言・・・『ゲートの用意はできた。いつでもいい』。」

ビート「!!」

リズ「ねぇ、どういうこと?『帰る』なんて話してないよね?」




ビートは棚から下りて、私に駆け寄ってきた。

私はビートを抱え上げて・・肩に乗せた。




ビート「・・・お城、戻ろウ。」

リズ「お城で話してくれるの?」

ビート「うン。」



私はビートと一緒に馬車に乗った。

お城までの道は・・・ビートは無言で何も喋ろうとしない。



リズ(ビートは・・・私のためにベンさんと調べてたんだよね・・・。)




無駄なことはしないビート。

それは『ロボット』だからできることだ。

ビートも私もこの世界のものではない。

だから『家』に変える方法を探していたのだと思った。



リズ(でも勝手に話を進めるなんて・・・。)




少しだけ・・・ほんの少しだけビートに怒りを感じながら、馬車に揺られてお城に戻った。







ーーーーーーーー







リズ「さぁ、説明してもらいましょうか。」

ビート「・・・・。」





お城に戻ってきた私はビートと一緒に部屋に入った。

ベッドにビートを座らせて、私も隣に座る。

座った時、ちょうど侍女長のアリスさんがノックをしてくれた。




コンコン・・・





アリス「失礼します。なにかお飲み物でもお持ちしましょうか?」

リズ「・・・いえ・・・あ、ベンさんに伝言をお願いできますか?」

アリス「どのようにお伝えしましょうか。」

リズ「あとで・・・ビートとお話があります・・・と、お願いします。」

アリス「わかりました。」





アリスさんが部屋を出て行ってから・・・私はビートを頭を撫でた。





リズ「で?どういうこと?」





そう聞くとビートは自分の丸い手をこしこしと擦り合わせながら話始めた。




ビート「ここハ・・・リズの世界じゃなイ。」

リズ「それはそうだけど・・・・・」

ビート「だかラ・・・アンダーに戻らないト。」

リズ「でもそれにはビートのエネルギーを使うんだよ?その意味・・・分かってるでしょ!?」




ビートのエネルギーを使うということはビートの死を意味する。

私にとっての家族であるビートを失うなんて・・・それは嫌だ。




ビート「俺ハ・・・リズに幸せになって欲しイ。だかラ・・・・」

リズ「あのね?ビート・・・私、この世界で暮らしていきたいの。」


ビート「・・・・エ?」

リズ「アンダーの世界じゃ体験できなかったことが・・・ここではできる。食べ物を食べたのも初めてだったし、太陽の下にも出れた。ここは・・・アンダーでは手に入らないものがあるの。」






アンダーにはたくさんの人がいたけど・・・あまり会話はなかった。

みんな自分のロボットがついてるし、誰に聞かなくてもわからないことはロボットが答えるかウィンドウを開けば探いものは見つかる。

適正温度、適正栄養補給・・・安定供給の世界は居心地はよかったけど・・・ここに来て足りなかったものが満たされるような感じに心が躍った。


大事な家族を失ってまで・・・アンダーに帰る必要はない。




リズ「私と・・・この世界で生きてくれる?ビートのパーツはなさそうだから・・・もう修理はできないかもしれないけど・・・・」





アンダーに帰れば、ビートの修理はできる。

でもアンダーに帰るにはビートのエネルギーを使うことになる。

そうすれば修理どころじゃない。




ビート「俺モ・・・リズと一緒がいイ・・・。」

リズ「壊れるまで・・・一緒にいてくれる?」

ビート「任せロ!!」

リズ「・・・ありがとう。」



私はビートを抱え上げて肩に乗せた。

そのまま部屋を出て・・・ベンさんの研究室に向かう。



ビート「ベン・・・怒るかナ。」

リズ「うーん・・・どうかな・・。」




ベンさんはこの世界の発展のために私の世界に来たがっていた。

それをビートと話を進めて・・・もう完成まで来ていた。




リズ「カイルさまはアンダーの技術は使わないって言ってたし・・・まぁ、がんばって納得してもらうよ。」




そう言って私たちは廊下の突き当りまで歩いて来た。

つきあたりを左に曲がって・・・スロープを下っていくと・・・ものすごい音が聞こえ始めた。



ガンッ!!ガンッ!ガッシャーーーンッ・・!!




リズ「!?」

ビート「何の音?」



この先はベンさんの研究室しかないことを、私とビートは知っていた。

私とビートは顔を見合わせた。




リズ「・・・急ぐよ!」

ビート「うン!!」





ビートは私の頭にしがみつき、私は走った。

走ってスロープを下っていく度に音はどんどん大きくなっていく。


いつもなら閉じられてる研究室の入り口が・・・今日は開いてるのが見えた。

私とビートはその入り口から・・・研究室の中に飛び入った。




リズ「ベンさん!!」










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

ドラゴン王の妃~異世界に王妃として召喚されてしまいました~

夢呼
ファンタジー
異世界へ「王妃」として召喚されてしまった一般OLのさくら。 自分の過去はすべて奪われ、この異世界で王妃として生きることを余儀なくされてしまったが、肝心な国王陛下はまさかの長期不在?! 「私の旦那様って一体どんな人なの??いつ会えるの??」 いつまで経っても帰ってくることのない陛下を待ちながらも、何もすることがなく、一人宮殿内をフラフラして過ごす日々。 ある日、敷地内にひっそりと住んでいるドラゴンと出会う・・・。 怖がりで泣き虫なくせに妙に気の強いヒロインの物語です。 この作品は他サイトにも掲載したものをアルファポリス用に修正を加えたものです。 ご都合主義のゆるい世界観です。そこは何卒×2、大目に見てやってくださいませ。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

突然伯爵令嬢になってお姉様が出来ました!え、家の義父もお姉様の婚約者もクズしかいなくない??

シャチ
ファンタジー
母の再婚で伯爵令嬢になってしまったアリアは、とっても素敵なお姉様が出来たのに、実の母も含めて、家族がクズ過ぎるし、素敵なお姉様の婚約者すらとんでもない人物。 何とかお姉様を救わなくては! 日曜学校で文字書き計算を習っていたアリアは、お仕事を手伝いながらお姉様を何とか手助けする! 小説家になろうで日間総合1位を取れました~ 転載防止のためにこちらでも投稿します。

異世界に召喚された様ですが、村人Aと間違えられて追い出されましたorz

かぜかおる
ファンタジー
題名のまんま、特に落ちもないので、暇つぶしにフワッと読んでください。

【完結】貧乏子爵令嬢は、王子のフェロモンに靡かない。

櫻野くるみ
恋愛
王太子フェルゼンは悩んでいた。 生まれつきのフェロモンと美しい容姿のせいで、みんな失神してしまうのだ。 このままでは結婚相手など見つかるはずもないと落ち込み、なかば諦めかけていたところ、自分のフェロモンが全く効かない令嬢に出会う。 運命の相手だと執着する王子と、社交界に興味の無い、フェロモンに鈍感な貧乏子爵令嬢の恋のお話です。 ゆるい話ですので、軽い気持ちでお読み下さいませ。

ごめんなさい。俺の運命の恋人が超絶お怒りです。

しーぼっくす。
恋愛
救世主として異世界召喚された少女、里上愛那。 神託により【運命の恋人】の相手だという王太子に暴言を吐かれ、キレた愛那は透明人間となって逃亡する。 しかし愛那の運命の相手は別の人物だった。 カクヨムさんでも連載しています。

ヒロインは修道院に行った

菜花
ファンタジー
乙女ゲームに転生した。でも他の転生者が既に攻略キャラを攻略済みのようだった……。カクヨム様でも投稿中。

処理中です...