私が橋渡し役!?時代を逆行した世界でそんな大役できません・・!?

すずなり。

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ビートの気持ち。

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リズ「え・・っと・・・・」

ビート「?」

リズ「あのね、アンダーに戻るには・・・ビートが必要なの。」

ビート「・・・・?」




私はしゃがみ、ビートと目線を近くした。

ベンさんが言ってた・・・

『この世界に来るときにビートのエネルギーを使ったこと』と、『帰るためにはビートのエネルギーだけじゃ足りなこと』を説明した。

私よりも頭の回転が速いビートは瞬時に理解をして・・・私とロディをスキャンし始めた。




ロディ「?」

リズ「?・・・なんでスキャン?」

ビート「・・・・なんでもなイ。」

リズ「?」




カイル「さぁ、城の中に戻ろうか。」





カイルさまの言葉に、私とビートたち、ゼオンさんたちも一緒にお城に戻った。





ーーーーーーー






ーーーーーーー







この日から私とビートとロディは私の部屋で一緒に暮らすようになった。

数日経つとビートはロディに聞いて、この世界のことを覚えていき、二人で城下町に繰り出すようにもなっていった。

私はというと・・・お城でお手伝いをしたり、ビートたちと一緒に城下町にいったり・・・機械の国に行ったりして過ごしていた。

今はお城でお洗濯の手伝いをしてる真っ最中だ。






リズ「ビートを見つけてからもう2カ月経つのかー・・早いなぁ。」




この世界に来てから4カ月。

始めは戸惑うことも多かったけどもうだいぶ慣れていた。

食材の名前を覚えたし料理もマナーも覚えた。

ナイフもフォークもスプーンも上手く使えるようになり、お箸だってお手ものだ。




リズ「シーツ干したら・・・ビートとロディを探しにいこうかな。」




洗濯が上がったシーツを両腕からこぼれんばかりに抱きかかえながら廊下を走る。

脱水機が無いからダッシュで走らないと廊下が水浸しになってしまうのだ。





リズ「急がなきゃ・・・!」




思えば体力もだいぶついたものだ。




ベン「お、リズ―。」




名前を呼ばれて私は声のする方を見た。

シーツが邪魔だから身体ごと捻って辺りを見回した。



リズ「あ、ベンさん。どうしたんですか?」

ベン「ビートは?」

リズ「多分城下町じゃないですかね。これ干したら行こうと思ってますけど・・・伝言ありますか?」

ベン「あぁ、頼む。・・・『ゲート』の用意はできたからいつでもいいぞって伝えておいてくれ。」




ベンさんの聞きなれない言葉に私は聞き返した。




リズ「・・・『ゲート』?」

ベン「あぁ、異世界の『ゲート』。帰るんだろ?お前だけ。」

リズ「・・・え!?」



じっと立っていたからか・・・私の足元にシーツから漏れ出た水がぽたぽたと落ち始めていた。

それは私の足元を濡らしていってたけど・・・ベンさんの言葉が気になってそれどころじゃない。




ベン「?・・・ビートのエネルギーとロディのエネルギーでリズは帰れるって・・・ビートが言ってたぞ?だから夜中にビートと研究してたんだが・・・もしかして知らなかったのか?」

リズ「・・・知りません・・でした。」





全く知らなかった。

私が知らないということは・・私が夜、眠った後にビートはベンさんの研究室に通ってたんだろう。




リズ「その話・・・保留にしてもらえますか?」

ベン「それは構わないが・・・。」

リズ「ビートに聞いて来ます。」





私はシーツをベンさんに押し付けた。

そのまま踵を返して走り始める。





リズ(勝手に決めるなんて・・・。)




ベンさんの話では『私だけ』帰るって言ってた。

その言い方からビートは一緒じゃないことになる。





リズ(それに・・・ビートとロディのエネルギーを使ってってことは・・・ビートのエネルギーを全て使うということだ。)




それはビートの『死』を意味する。





リズ(ちゃんとビートと話しないと・・・!)





城下町に向かって足を進め始めた私の後ろでベンさんが呟いたことは・・・だれも聞いてなかった。








ベン「俺が干すのか・・・・。」










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