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迷子。
しおりを挟む私は歩き始めた。
お城の中に続く廊下じゃなくて・・・外に通じてる道を。
リズ「大丈夫。ちょこっと手伝って・・・帰ってくる。」
昨日の手伝いが・・・満足いかなくて心残りだった。
もっと私が動けてたら・・・もっとたくさん水を撒くことができたはずだ。
リズ「昨日ほどは時間が無いかもしれないけど・・・それでも行かないよりはいっぱい撒ける。」
さっきお城から見えた道を思い出しながら、私は歩いていった。
ーーーーーーーーー
お城を出て歩いて・・・どれくらいの時間が経っただろう。
真っ直ぐ歩けば城下町につくはずなのに、いつまで歩いても町の影すらみえない。
ルカさんと見たであろう森の木々はなんだか不気味に見えてきて・・・吹き抜けていく風はなんだか寒いような気がした。
昨日馬の上から見ていた景色と・・・どうも違う気がする。
リズ「道・・・間違えた?でも真っ直ぐ歩いて来たと思うんだけど・・・。」
折り返そうか悩みながらも、もう町が見えるかもしれないと、淡い期待を抱きながら歩き進めた。
でも・・・町の姿なんか全然見えないままだ。
太陽だけが傾いていくのが分かる。
それでも引き返すことができずに歩き進めると・・・とうとう太陽は沈んでしまって、薄暗い夜に突入してしまった。
リズ「どうしよう・・・・。」
『さっきのとこで引き返すべきだった』とか『一人で来るなんて無謀だった』とか、いろんな考えが頭に浮かぶ。
でも結果は変えることなんてできない。
私は今・・・迷子だ。
リズ「と・・とりあえずどっか座るとこ・・・・。」
私はまだ目が見える暗さのうちに、座れるところを探して歩いた。
いつもならとっくに歩けなくなりそうだけど、今日はアリスさんたちがマッサージをしてくれたから体が軽かった。
自分のペースとはいえ半日も歩いたのに、そんなに疲れてはいなかった。
リズ「あそこ・・・いいかも。」
歩いて見つけたのは大きな木の下だ。
他の木と比べても幹が太くて・・・なんだか安心感がある。
それに地面にある草がどことなく踏み固められてるように見えて・・・座りやすそうだった。
リズ「ここで休憩・・・。明るくなるまで待つか・・引き返すかだよね。」
木の幹にもたれるようにして腰かけ、私は歩いて来た道を見た。
もうだいぶ暗くなってる道は、木の葉っぱや枝が夜と同化しかけてる。
そのうち真っ暗になってしまったら道すら見えなくなるだろう。
そんな道は不気味で・・・引き返そうとは思えなかった。
リズ「明るくなるまでここかな。」
両膝を抱えるようにして座り、足に自分の顔を埋めた。
リズ「こんな時、ビートがいたら道案内とかしてくれるのになー・・・。」
ビートと離れて4日。
こんなに離れたのは・・・初めてだ。
ちょこちょこ点検でビートがいない日はあったけど、翌日には迎えに行ってまた一緒に暮らす。
ずっと・・・ずーっと一緒だと思ってたのに・・・。
リズ「どこにいるの?ビート・・・・。」
そう呟いたとき、ガサっと音が聞こえた。
リズ「?」
なんの音かと思って顔を上げる。
もうだいぶ暗くなってるからか、自分の足元さえまともに見えなかった。
そんな中で目を凝らしながら音がした方を見た。
リズ「・・・・え?」
「あ・・・・。」
音がしたところにいたのは、深い茶色をした・・・ロボットだった。
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