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状況の把握。

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リズ「・・・すみませんでした。」





一通り泣いた私は涙も枯れ、我に返った。

ルカさんは私が泣いてる間中、涙をすくってくれていた。




ルカ「いいんですよ。・・どうします?下ります?」




気がつけば私はずっとルカさんに抱かれたまま・・・。

急に恥ずかしくなってきた私は下ろしてもらえるように頼むことにした。




リズ「下ろしてくださいー・・・。」

ルカ「かしこまりました。」





私はその場に下ろされ、赤い絨毯の上に立った。




ルカ「どうぞお座りください。」




ソファーまで案内され、私は座った。

座ったのはいいけど・・・あまりのふっかふか具合に体がソファーに沈んでしまった。





リズ「ふぁ!?」

ルカ「大丈夫ですか!?」





必死に身体を起こして座り直す。





リズ「だ・・だいじょぶです・・・。」




そう答えるとルカさんはほっとしたような顔を見せた。

私の向かいに『王』と呼ばれる人が座って・・・話を始めた。



王「リズはこの世界じゃないところから来た・・・・それは合ってるか?」

リズ「・・・はい。私の知ってるところとは・・・違います。」



着ている服、部屋にある家具・・すべてが私の普段使ってるものとは違う。

一番違うのは・・・ここが地上だってことだ。




王「何か目的があって・・・来たとかは無いのか?」

リズ「突然・・・だったんで・・・。階段から・・・落ちて・・・目が覚めたらここでした。」

王「落ちた?その割にけがはしてないようだが・・・。」




王に言われてから気がついた。

確かに背中に衝撃が走ったハズなのに・・私はどこもケガをしてなかった。




リズ「・・・なんで・・。」

王「まぁ、それはいい。」



王は私の服をまじまじと見た。

その視線に私は私の服を自分で見た。





王「服装も我々とは違うし・・・とりあえず服を用意させる。あと部屋と。」

リズ「え?」

王「そのままじゃ困るだろう?元の世界に返せる方法もまだわからない。とりあえずは城で暮らしなさい。」




そう言われ、私は自分の状況を頭の中で整理した。




リズ(帰れる方法は・・・わからない。それでいて・・・今、現状寝るところもない・・・。)




なら私はこの人たちに甘えるしかなかった。





リズ「・・・お世話になります。」





王は手を出して、指をパチンっと鳴らした。

その瞬間、どこからともなく人が現れた。

その数・・・およそ10名。




リズ「!?」

王「リズに部屋を。服も用意してくれ。」

侍女「かしこまりました。・・・リズさま、どうぞこちらに。」

リズ「は・・はい・・」





私は女の人に呼ばれ、ソファーから立ち上がった。

さっきまでルカさんに抱いててもらったからか、体力は少し回復していて歩くことができそうだ。





リズ「すみません・・・ちょっとゆっくり歩いてもらってもいいですか?」

侍女「?・・・かしこまりました。」

リズ「あと・・・お名前聞いても・・・?」

侍女「侍女長のアリスでございます。」

リズ「よろしくお願いします。アリスさん。」





私はアリスさんに連れられ、お城の奥の奥に入っていった。

私が王の部屋を出てからされた会話は・・・のちに知ることになる。




ーーーーーーーー








王「リズが『橋渡しの者』で間違いないな。」

「ほんとにできるのでしょうか。」

王「できてもらわなきゃ・・・この国はつぶれる。」

「それはそうですけど・・・。」

王「そもそもこの世界に二つしか国がないっていうのに仲違いをしてるのがおかしいんだ。なのに・・・」

「我が国民は聞き入れませんからね・・・。」

王「リズなら・・・どうにかできるかもしれない。」








ーーーーーーーーー









アリスさんに連れられて、私は部屋に案内された。

そこは私の部屋なんかよりも何倍も大きい部屋で・・・赤や黄色の色が眩しく輝いてる家具が・・・目に入る。




リズ「これ・・・なにでできてるんですか?」




どれも同じような材質でできてる家具たち。

その材料が気になって、私はアリスさんに尋ねた。




アリス「こちらは『木』でできております。」

リズ「・・・・『木』!!」




アンダーの世界ではほとんど存在しない『木』。

地上の気温が高すぎて木は育たなくなった。

だから木製の物は高値で取引されている。

あまりの高額に・・・一般庶民である私には手が出せないものだ。





リズ「すごい・・・。」

アリス「?・・・服のお召し代えですが・・・お好みの色などございますか?」

リズ「特には・・・ないですけど・・・。」

アリス「かしこまりました。」





私が部屋でぼーっと立ってる中、アリスさんを始めとして10人くらいの人がガサガサと部屋の中を歩き回り始めた。

一人は靴を。

一人は服を。

また、他の人たちはタオルらしきものやいろいろ持ってくる。




侍女「リズさま、服を脱がせていただいてよろしいでしょうか。」

リズ「服を・・脱がせる?」

侍女「失礼します。」




そう言うなり私のTシャツをぐぃっとまくり上げた。




リズ「!?」

侍女「代わった服ですね・・・。」

侍女「我が国にはないものですね。」

侍女「リズさまはどちらの地方からおいでに?」




色々言われ、色々聞かれながらも、着々と服は脱がされていく。



リズ「やっ・・!待って・・・!」

侍女「リズさまの肌・・・真っ白ですね!」

侍女「ほんとに・・・。」

侍女「どうやったらこんなに白く?」




抵抗するも、私は全ての服を脱がされていった。

そしてこの世界の服を・・・着されていく。





アリス「リズさま、赤色と青色・・・どちらがお好きですか?」







下着らしきタンクトップを着せられたとき、アリスさんが赤色の服と青色の服を持って私に聞いてきた。

赤い服も青い服も・・・どちらも金の刺繍がされていてパッと見た感じとても豪華だ。

二つとも・・・『チャイナドレス』ってやつに似ていた。




リズ(他国の民族衣装だ・・・。私がこれを着る日が来るなんて・・・。)



アンダーの世界では服や家具は全てロボットが作ってる。

服屋に行けば、身体をスキャンされてその体に合った服が自動で作られる。

色や形を複雑にすればするほど金額が加算されていくシステムだ。





リズ(こんな複雑な造り・・・どうやって作るんだろう。)




私のアンダーでの仕事は人間相手のカフェ店員。

貴重な水を使ってコーヒーを淹れたりするももんだから客はほとんど来ない。

それもあまり仕事は無く、退屈な時間を送る日のほうが多い。

そんな中で、たった一つ趣味があった。

それは・・・裁縫だ。

機械がつくる完璧なものもいいんだけど、人の手で作るちょっと歪んだものが味があっていい。

昔の・・・昔の人が作った『パッチワーク』をウィンドウで一目見た時から・・・私は裁縫に興味を持ったのだ。





アリス「?・・・リズさま?」

リズ「あっ・・・そうですね・・赤がいいです。」

アリス「かしこまりました。」




私は赤いチャイナドレスもどきに袖を通した。

七分くらいの袖の長さに、丈はひざ下くらい。

チャイナドレスもどきの下は、足首までピタッとしたズボンを穿かされた。





アリス「よくお似合いですよ。」

リズ「ありがとうございます。」





着させてもらった服を見ようと、下を向いたり、身体を後ろに捻って見たりしてると、侍女さんの二人が大きなか鏡を抱えて持って来てくれた。

そっと床に下ろされ、その鏡を後ろで支えてる。



アリス「どうぞ。」




アリスさんに言われ、侍女さんにも持って来てもらったのだから・・・せっかくだと思って私は鏡を覗き込みに行った。





リズ(これは・・・・。)




お世辞にもきれいな鏡とは言えない鏡だった。

姿はぼやけて見えるし、所々ハッキリと映ってないことろもある。




リズ(研磨とかしないのかな・・。)



そんな疑問を持ちつつも、私はお礼を言い鏡を下げてもらった。

この後どうしたらいいのか分からずに、その場に立ちすくむ。



リズ「あの・・・・。」

アリス「はい。」

リズ「このお城のことを教えてもらってもいいですか?」




















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