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ビートの充電。
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ビートの充電をするために私は家を出た。
ドアは自動で開き、自動で閉まる。
鍵は生体認証だから、特に自分でする必要はない。
リズ「さてと・・・。」
家を出ると、ムーブロード(動く歩道)が目の前にある。
それは広すぎるアンダーの世界を移動するために欠かせないもので・・・この世界に無数に張り巡らされてるものだ。
一歩踏み出して乗れば、どこへでも行くことができる。
私は慣れた足取りで動く歩道に飛び乗った。
リズ「充電するためのゲートはどっちだっけ・・・。」
流れゆく景色を見ながら、空を見上げると『朝日』が見える。
あれは『疑似太陽』だ。
ちゃんと東から昇ってきて、西に沈んでいく。
太陽の色も時間によって変わっていき、朝は白。昼は黄色、夕方になればオレンジ色になる。
リズ「本物の太陽と同じ色なのかな。」
本物の太陽は目で見ることはできない。
見ると光が強すぎて確実に目が光を失うからだ。
リズ「私が生きてるうちに外に出れる気温になればいいなー。」
そんなことを考えながらゲートにたどり着くための分岐点を探す。
ムーブロードが進むと、分岐点ごとに文字が宙に浮かんでるのが見えてくる。
行きたいところがある場合は、これを目印にして進むように作られてるのだ。
ビート「えっト・・・あっチ!」
ビートが見つけてくれた『ゲート方面』の文字。
私はムーブロードの分岐点で、『ゲート方面』に飛び移った。
リズ「よっと・・・!」
ビート「よっト!」
ビートと一緒に分岐点を過ぎていく。
いくつもいくつも分岐点を過ぎていって・・・・私とビートは地上と地下をつなぐ『ゲート』にたどり着いた。
ムーブロードを下りて、ゲート管理の建物に向かう。
リズ「・・・いつ来てもちょっと怖いよね・・・。」
ムーブロードや建物はきれいだけど、地上に通じてる『道』が薄暗くて不気味だ。
普段、明るい色の中で生活をしてるからかもしれないけど・・・怖いものは怖い。
更に今、居住空間拡張のために地下を掘り進んでるってニュースで言ってた。
地上に上がる道のすぐ隣で、地下に下りるための道が作られていってた。
リズ「さっ・・申請申請っと。」
私は気持ちを切り替えるようにしてゲート管理の建物を見た。
その建物は真っ赤な建物で。外に五つの温度計が表示されていた。
五つの温度計は、ここを始めとして地上までの気温を表示している。
一つ目はここ・・・24度。
二つ目はここより1キロ地上に上がったところで30度。
三つ目はさらに地上に近づいて・・・42度。
四つ目はほぼ地上で58度。
五つ目が完全に地上で74度だ。
リズ「うわ・・・私、三つ目の温度計があるとこまでしか行けないけど・・・ビート、一人で行ける?」
そう聞くとビートは手を腰(?)にあてて偉そうに答えた。
ビート「行けるもン!」
リズ「ふふっ。・・・私も行けるとこまで行くね。」
私とビートはゲート管理の建物に入った。
自動で開くドアをくぐり、中に入るとそこにロボットがいた。
受付係みたいなものだ。
受付ロボット「コンニチハ。」
リズ「こんにちは。ロボットの充電に行きたいんですけど・・・。」
受付ロボット「ショウチ シマシタ。」
受付ロボットは電子パネルをタップした。
すぐさまスキャンロボットが現れて、ビートをスキャンする。
ピピッ・・・!
受付ロボット「!!・・・ショウショウ オマチクダサイ。」
リズ「?・・・うん。」
受付ロボットはスーッと消えるようにして奥に入っていった。
残されたのは私とビート、スキャンロボットくらいだ。
リズ「・・・遅いねぇ。」
ビート「勝手に行ク?」
リズ「ダメに決まってんじゃん・・・!」
ビート「・・・リズのケチ!」
二人でやいやい言ってると、さっきの受付ロボットが戻ってきた。
・・・・・人間の男を連れて。
男「いやー、お待たせしちゃってごめんね?」
へらへらと笑いながら受付側に立つ男。
ぞわっと背筋に冷たい空気が流れた気がしたけど、そんなのは気のせいだと思った。
リズ「はぁ・・・。」
男「申請許可取ってるからちょっと待ってね?」
リズ「あ、そうなんですか。よろしくお願いします。」
男に言われて私は待つことになった。
足元にいるビートを抱え上げて、胸元で抱きしめる。
男「・・・それ、『自立歩行タイプロボットKー729』?」
リズ「そうです・・けど?」
男「そのタイプって今、2台しかないんだよね。」
リズ「そうなんですか?」
ビートは私が小さいころから一緒にいる。
ロボットの寿命は10年と言われてるこの世界で、ビートは18年生きてる。
こまめにパーツは交換して、大事に・・・ほんとに大事にしてきた。
男「その2台のうちの1台がさ、俺らの間ですっごく有名でさー・・・。」
リズ「・・有名?」
男「なんでも『心』を持ったロボットって話なんだよ。」
リズ「!!」
私はビートをぎゅっと抱きしめた。
『心』を持ったロボットであるビートは狙われやすい。
高値で取引されることくらい安易に想像つくけど、解体して仕組みを調べたい学者さんたちが圧倒的に多いのだ。
男「そのロボットが・・・『心持ち』のロボット?」
リズ「!!」
私は瞬時に悟った。
この男は受付ロボットに『自立歩行タイプロボットKー729』が来たら自分に知らせるようにプログラムしていたんだ。
だからスキャンしたあと奥の部屋に行った。
リズ「・・・なんのことでしょう。」
男「1億払うからさ・・・譲ってくれない?」
リズ「そろそろ許可申請が通ったんじゃないですか?」
男「新しい最新型のロボットもつけてやるからさー。」
リズ「私たち、行きますから。」
私は踵を返して建物から出ようとドアに向かった。
男「・・・ここで譲った方が金になると思うけどな?」
リズ「譲る気なんてありません。ビートは普通のロボットですから。」
男「ふーん・・・?」
男の言葉なんかに耳を貸さずに建物を出た私。
ビートを抱えたまま、地上に通じるエスカレーターに乗った。
ビート「リズ・・・。」
リズ「だめだよ、ビート。何も喋らないで。」
ビート「うン・・・。」
リズ「ビートのことは私が絶対に守るから。」
幼いころに両親を亡くしてる私にとって、ビートが唯一の家族だ。
家族であり、親友であり・・・大切なヒト。
リズ「ずっと・・・ずっと一緒だからね。」
ビート「・・・・うン!ビートもリズのこと守ル!」
リズ「ありがとっ。」
ビートと話をしてる間にも、エスカレーターはぐんぐんとスピードを上げてあがっていく。
ほぼ真上に上がっていくエスカレーターの脇に、階段がある。
これはエスカレーターが動かなくなった時の非常用と、地上で働いてるロボットが地下に戻ってくるときに使うためのものだ。
リズ(階段なんて・・・私100段上れるかな・・・。)
あまり動かない生活を送ってる私は階段なんて上ることはない。
頭の中でどれくらい上れそうか計算してると、ビートが叫んだ。
ビート「リズ!上!」
リズ「え?」
ビートの言葉に、私は上を見上げた。
上には二つ目の温度計が設置されてる空間がある。
まだ遠いけど、そこに・・・人の影が二つ見えた。
リズ「・・・人?」
ビート「さっきの奴の仲間ダ!」
リズ「え!?」
ビートに言われ、私は目を凝らして人影を見た。
その人影は、何か・・・物を持ってる。
リズ「あれ・・・なんだろう。」
ビート「俺を捕まえるやつダ!」
リズ「え!?」
よく見るとその人影が持ってるのは網。
いろんな素材でできていて、柔軟性もあって・・・おそらく捉えたロボットの機能を奪う設定がされてる。
そんなのに軽いビートが捕まると・・・一瞬で連れ去られてしまう。
リズ「!!・・・大変!」
私は辺りを見回した。
このエスカレーターは一人乗り用。
このまま上がって行けば確実に二人に捕まってしまう。
リズ「このまま下におりよう・・・!」
そう言って下を見るけど・・・無理だった。
ほぼ真上に上がって行ってるエスカレーターだから、真下に飛び降りないといけなくなる。
真下になんか下りられないうえに、高スピードで上がってるもんだから下りたところで焼け石に水状態だ。
ビート「リズ!あっチ!」
リズ「!!」
ビートが教えてくれたのは階段だ。
とりあえず飛び移れば上で待ち構えてる二人に、今、捕まることはない。
リズ「捕まっててよ!?」
ビート「うン!」
私にしがみつくようにして抱きつくビートを支えながら私はエスカレーターの手すりに手をかけた。
階段を見ると一段一段がハッキリ見えない。
それくらいすごいスピードでエスカレーターが動いてるのがよくわかった。
リズ「ケガくらいなんとも思わないんだから・・・!」
そう言って私は手すりに足をかけて・・・階段側に飛び移った。
ドアは自動で開き、自動で閉まる。
鍵は生体認証だから、特に自分でする必要はない。
リズ「さてと・・・。」
家を出ると、ムーブロード(動く歩道)が目の前にある。
それは広すぎるアンダーの世界を移動するために欠かせないもので・・・この世界に無数に張り巡らされてるものだ。
一歩踏み出して乗れば、どこへでも行くことができる。
私は慣れた足取りで動く歩道に飛び乗った。
リズ「充電するためのゲートはどっちだっけ・・・。」
流れゆく景色を見ながら、空を見上げると『朝日』が見える。
あれは『疑似太陽』だ。
ちゃんと東から昇ってきて、西に沈んでいく。
太陽の色も時間によって変わっていき、朝は白。昼は黄色、夕方になればオレンジ色になる。
リズ「本物の太陽と同じ色なのかな。」
本物の太陽は目で見ることはできない。
見ると光が強すぎて確実に目が光を失うからだ。
リズ「私が生きてるうちに外に出れる気温になればいいなー。」
そんなことを考えながらゲートにたどり着くための分岐点を探す。
ムーブロードが進むと、分岐点ごとに文字が宙に浮かんでるのが見えてくる。
行きたいところがある場合は、これを目印にして進むように作られてるのだ。
ビート「えっト・・・あっチ!」
ビートが見つけてくれた『ゲート方面』の文字。
私はムーブロードの分岐点で、『ゲート方面』に飛び移った。
リズ「よっと・・・!」
ビート「よっト!」
ビートと一緒に分岐点を過ぎていく。
いくつもいくつも分岐点を過ぎていって・・・・私とビートは地上と地下をつなぐ『ゲート』にたどり着いた。
ムーブロードを下りて、ゲート管理の建物に向かう。
リズ「・・・いつ来てもちょっと怖いよね・・・。」
ムーブロードや建物はきれいだけど、地上に通じてる『道』が薄暗くて不気味だ。
普段、明るい色の中で生活をしてるからかもしれないけど・・・怖いものは怖い。
更に今、居住空間拡張のために地下を掘り進んでるってニュースで言ってた。
地上に上がる道のすぐ隣で、地下に下りるための道が作られていってた。
リズ「さっ・・申請申請っと。」
私は気持ちを切り替えるようにしてゲート管理の建物を見た。
その建物は真っ赤な建物で。外に五つの温度計が表示されていた。
五つの温度計は、ここを始めとして地上までの気温を表示している。
一つ目はここ・・・24度。
二つ目はここより1キロ地上に上がったところで30度。
三つ目はさらに地上に近づいて・・・42度。
四つ目はほぼ地上で58度。
五つ目が完全に地上で74度だ。
リズ「うわ・・・私、三つ目の温度計があるとこまでしか行けないけど・・・ビート、一人で行ける?」
そう聞くとビートは手を腰(?)にあてて偉そうに答えた。
ビート「行けるもン!」
リズ「ふふっ。・・・私も行けるとこまで行くね。」
私とビートはゲート管理の建物に入った。
自動で開くドアをくぐり、中に入るとそこにロボットがいた。
受付係みたいなものだ。
受付ロボット「コンニチハ。」
リズ「こんにちは。ロボットの充電に行きたいんですけど・・・。」
受付ロボット「ショウチ シマシタ。」
受付ロボットは電子パネルをタップした。
すぐさまスキャンロボットが現れて、ビートをスキャンする。
ピピッ・・・!
受付ロボット「!!・・・ショウショウ オマチクダサイ。」
リズ「?・・・うん。」
受付ロボットはスーッと消えるようにして奥に入っていった。
残されたのは私とビート、スキャンロボットくらいだ。
リズ「・・・遅いねぇ。」
ビート「勝手に行ク?」
リズ「ダメに決まってんじゃん・・・!」
ビート「・・・リズのケチ!」
二人でやいやい言ってると、さっきの受付ロボットが戻ってきた。
・・・・・人間の男を連れて。
男「いやー、お待たせしちゃってごめんね?」
へらへらと笑いながら受付側に立つ男。
ぞわっと背筋に冷たい空気が流れた気がしたけど、そんなのは気のせいだと思った。
リズ「はぁ・・・。」
男「申請許可取ってるからちょっと待ってね?」
リズ「あ、そうなんですか。よろしくお願いします。」
男に言われて私は待つことになった。
足元にいるビートを抱え上げて、胸元で抱きしめる。
男「・・・それ、『自立歩行タイプロボットKー729』?」
リズ「そうです・・けど?」
男「そのタイプって今、2台しかないんだよね。」
リズ「そうなんですか?」
ビートは私が小さいころから一緒にいる。
ロボットの寿命は10年と言われてるこの世界で、ビートは18年生きてる。
こまめにパーツは交換して、大事に・・・ほんとに大事にしてきた。
男「その2台のうちの1台がさ、俺らの間ですっごく有名でさー・・・。」
リズ「・・有名?」
男「なんでも『心』を持ったロボットって話なんだよ。」
リズ「!!」
私はビートをぎゅっと抱きしめた。
『心』を持ったロボットであるビートは狙われやすい。
高値で取引されることくらい安易に想像つくけど、解体して仕組みを調べたい学者さんたちが圧倒的に多いのだ。
男「そのロボットが・・・『心持ち』のロボット?」
リズ「!!」
私は瞬時に悟った。
この男は受付ロボットに『自立歩行タイプロボットKー729』が来たら自分に知らせるようにプログラムしていたんだ。
だからスキャンしたあと奥の部屋に行った。
リズ「・・・なんのことでしょう。」
男「1億払うからさ・・・譲ってくれない?」
リズ「そろそろ許可申請が通ったんじゃないですか?」
男「新しい最新型のロボットもつけてやるからさー。」
リズ「私たち、行きますから。」
私は踵を返して建物から出ようとドアに向かった。
男「・・・ここで譲った方が金になると思うけどな?」
リズ「譲る気なんてありません。ビートは普通のロボットですから。」
男「ふーん・・・?」
男の言葉なんかに耳を貸さずに建物を出た私。
ビートを抱えたまま、地上に通じるエスカレーターに乗った。
ビート「リズ・・・。」
リズ「だめだよ、ビート。何も喋らないで。」
ビート「うン・・・。」
リズ「ビートのことは私が絶対に守るから。」
幼いころに両親を亡くしてる私にとって、ビートが唯一の家族だ。
家族であり、親友であり・・・大切なヒト。
リズ「ずっと・・・ずっと一緒だからね。」
ビート「・・・・うン!ビートもリズのこと守ル!」
リズ「ありがとっ。」
ビートと話をしてる間にも、エスカレーターはぐんぐんとスピードを上げてあがっていく。
ほぼ真上に上がっていくエスカレーターの脇に、階段がある。
これはエスカレーターが動かなくなった時の非常用と、地上で働いてるロボットが地下に戻ってくるときに使うためのものだ。
リズ(階段なんて・・・私100段上れるかな・・・。)
あまり動かない生活を送ってる私は階段なんて上ることはない。
頭の中でどれくらい上れそうか計算してると、ビートが叫んだ。
ビート「リズ!上!」
リズ「え?」
ビートの言葉に、私は上を見上げた。
上には二つ目の温度計が設置されてる空間がある。
まだ遠いけど、そこに・・・人の影が二つ見えた。
リズ「・・・人?」
ビート「さっきの奴の仲間ダ!」
リズ「え!?」
ビートに言われ、私は目を凝らして人影を見た。
その人影は、何か・・・物を持ってる。
リズ「あれ・・・なんだろう。」
ビート「俺を捕まえるやつダ!」
リズ「え!?」
よく見るとその人影が持ってるのは網。
いろんな素材でできていて、柔軟性もあって・・・おそらく捉えたロボットの機能を奪う設定がされてる。
そんなのに軽いビートが捕まると・・・一瞬で連れ去られてしまう。
リズ「!!・・・大変!」
私は辺りを見回した。
このエスカレーターは一人乗り用。
このまま上がって行けば確実に二人に捕まってしまう。
リズ「このまま下におりよう・・・!」
そう言って下を見るけど・・・無理だった。
ほぼ真上に上がって行ってるエスカレーターだから、真下に飛び降りないといけなくなる。
真下になんか下りられないうえに、高スピードで上がってるもんだから下りたところで焼け石に水状態だ。
ビート「リズ!あっチ!」
リズ「!!」
ビートが教えてくれたのは階段だ。
とりあえず飛び移れば上で待ち構えてる二人に、今、捕まることはない。
リズ「捕まっててよ!?」
ビート「うン!」
私にしがみつくようにして抱きつくビートを支えながら私はエスカレーターの手すりに手をかけた。
階段を見ると一段一段がハッキリ見えない。
それくらいすごいスピードでエスカレーターが動いてるのがよくわかった。
リズ「ケガくらいなんとも思わないんだから・・・!」
そう言って私は手すりに足をかけて・・・階段側に飛び移った。
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