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28××年。
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『みなさん、おはようございます。今日は2857年8月31日。地上の最高気温は75度。最低気温は68度でしょう。アンダーの気温はいつも通り、24度です。』
朝の放送が流れ、私は目を覚ました。
森山 リズ「うーん・・・もう朝ー・・?」
掛布団を抱き枕にするようしながら、寝返りを打った私は『森山 リズ』。
現在21歳。
独身。
彼氏ナシ。
住んでる場所はアンダーL-49045番地。
地下都市だ。
温暖化の影響で、年々気温が上昇する地上は、人が住めない温度になってしまい、人類は地下に居住空間を作り始めた。
少しずつ移住を開始して数百年。
全人類が地下で暮らすことができるようになった。
今、地上にいるのは・・・ロボットくらいなもんだ。
リズ「びーとぉ・・・今、何時ー・・・?」
私の声に反応したビートがベッドに飛び乗ってくる。
ビート「7時だヨ!朝ご飯食べロ!」
リズ「・・・はいはい。」
私はベッドから体を起こした。
大きなあくびをしながら『ビート』を見つめる。
ビート「?・・・なんダ?」
『ビート』は私の世話焼きロボット。
うさぎ・・・くらいの大きさに、つるっつるのボディ。
まん丸頭にまん丸な手。
足だけは歩きやすいように四角い足の裏を持ってる。
真っ白な身体をもつ『自立歩行タイプロボットKー729』だ。
リズ「・・・いや?今日もかわいいなと思って。」
そう言うとビートは照れるようにしながらベッドから飛び降りた。
短い手で頭をこしこしと触ってる。
ビート「・・・リズもかわいいゾ。」
リズ「!・・・ふふっ。」
地下都市『アンダー』では人間と一緒にロボットが暮らしてる。
私たち人間の食べ物を作るロボットや、この国を維持するために働くロボットなど・・・いろんな仕事をしてるロボットがいる。
ロボットは完璧。
ミスはしない。
プログラムされたことを忠実に行うのが使命だ。
与えられたミッションを着実にこなしていってはくれるけど・・・ある時、ロボットに異変が生じた。
それは小さな異変。
与えられたことしかできないロボットはその異変に気がつかず、黙々と作業を進める。
小さなズレはやがて大きなズレに変わっていき、取り返しのつかないことになっていく。
そこで人間の出番だ。
ロボットじゃ修正できない小さな異変を人間が修正する。
そうやって私たちはロボットと共存し、生きている。
でも・・・『ビート』は他のロボットとは少し違った。
ビート「どうしタ?考えごト?」
リズ「・・・ビートって『特別』なロボットなんだよね。」
ビートは・・・『心』を持ったロボットだ。
ずっと私と一緒に暮らしていたからか・・・はたまたビートがそういう賢いロボットだったのか・・・。
それはわからないけどいつのまにか『心』を手に入れていた。
人間のように考え、人間のように話し、人間のように感情を持ってる。
他のロボットたちもプログラムさえすれば受け答えはする。
聞いたことに対して、何万通りってある答えから最適なものを引っ張り出すのがプログラムされたロボット。
ビートは何万通りも答えを持ってないけど、その時に感じたままの答えを出す
最新型と呼ばれるロボットも・・・ビートほどじゃあない。
ビート「?・・・あ、リズ、今日充電すル!」
リズ「もうないの?電池。」
ビートを始め、アンダーで暮らしてるロボットたちはみんな太陽光でバッテリーを充電してる。
地上の暑さが異常なため、5秒ほどの充電で1年持つ。
ビート「あと1カ月くらいはイケるけド・・・念のたメ!」
リズ「じゃあ朝ご飯食べるから・・・食べたら行こうか。」
私はベッドから下りた。
私の部屋は真っ白な壁に囲まれてる。
5畳ほどの広さの部屋に置いてあるのはベッド、棚、机くらいなもんだ。
リズ「タンパク質と総合ビタミンでいっかな。」
ビート「ミネラルもナ!」
私は棚に手を伸ばした。
取っ手に手をかけてパカッと開けると、そこにはビンがずらっと並んでる。
そのビンの中に入ってるのは全て錠剤。
錠剤の全てが・・・私の食料だ。
リズ「昔の人は野菜とか果物とか食べてたんだってさ。どんな味だったんだろうねぇ。」
地上の気温が高くなりすぎて人が住めなくなったように、作物も育たなくなった。
食べ物の代わりとして、国が考えしたのがこの錠剤。
食べれば必要な栄養素を補うことができる仕組みだ。
ビート「リズ、野菜とか食べてみたイ?」
リズ「『食べる』って・・・どういう感じなんだろうね。見たことも無いからわかんないや。」
私は手を伸ばしてビンを取った。
タンパク質と総合ビタミン、ミネラルを取り出して小さなお皿に並べる。
お気に入りのピンクのグラスを取り出してボトルに入った水を少し注いだ。
この世界では水は手に入りにくいから・・・大事に飲まないといけない。
小さなお皿に乗せた錠剤を全て口に放り込み、私は一口分の水で流し込んだ。
この一口で朝食は完了だ。
リズ「さっ、充電しに行こっか。」
ビート「うン!」
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『みなさん、おはようございます。今日は2857年8月31日。地上の最高気温は75度。最低気温は68度でしょう。アンダーの気温はいつも通り、24度です。』
朝の放送が流れ、私は目を覚ました。
森山 リズ「うーん・・・もう朝ー・・?」
掛布団を抱き枕にするようしながら、寝返りを打った私は『森山 リズ』。
現在21歳。
独身。
彼氏ナシ。
住んでる場所はアンダーL-49045番地。
地下都市だ。
温暖化の影響で、年々気温が上昇する地上は、人が住めない温度になってしまい、人類は地下に居住空間を作り始めた。
少しずつ移住を開始して数百年。
全人類が地下で暮らすことができるようになった。
今、地上にいるのは・・・ロボットくらいなもんだ。
リズ「びーとぉ・・・今、何時ー・・・?」
私の声に反応したビートがベッドに飛び乗ってくる。
ビート「7時だヨ!朝ご飯食べロ!」
リズ「・・・はいはい。」
私はベッドから体を起こした。
大きなあくびをしながら『ビート』を見つめる。
ビート「?・・・なんダ?」
『ビート』は私の世話焼きロボット。
うさぎ・・・くらいの大きさに、つるっつるのボディ。
まん丸頭にまん丸な手。
足だけは歩きやすいように四角い足の裏を持ってる。
真っ白な身体をもつ『自立歩行タイプロボットKー729』だ。
リズ「・・・いや?今日もかわいいなと思って。」
そう言うとビートは照れるようにしながらベッドから飛び降りた。
短い手で頭をこしこしと触ってる。
ビート「・・・リズもかわいいゾ。」
リズ「!・・・ふふっ。」
地下都市『アンダー』では人間と一緒にロボットが暮らしてる。
私たち人間の食べ物を作るロボットや、この国を維持するために働くロボットなど・・・いろんな仕事をしてるロボットがいる。
ロボットは完璧。
ミスはしない。
プログラムされたことを忠実に行うのが使命だ。
与えられたミッションを着実にこなしていってはくれるけど・・・ある時、ロボットに異変が生じた。
それは小さな異変。
与えられたことしかできないロボットはその異変に気がつかず、黙々と作業を進める。
小さなズレはやがて大きなズレに変わっていき、取り返しのつかないことになっていく。
そこで人間の出番だ。
ロボットじゃ修正できない小さな異変を人間が修正する。
そうやって私たちはロボットと共存し、生きている。
でも・・・『ビート』は他のロボットとは少し違った。
ビート「どうしタ?考えごト?」
リズ「・・・ビートって『特別』なロボットなんだよね。」
ビートは・・・『心』を持ったロボットだ。
ずっと私と一緒に暮らしていたからか・・・はたまたビートがそういう賢いロボットだったのか・・・。
それはわからないけどいつのまにか『心』を手に入れていた。
人間のように考え、人間のように話し、人間のように感情を持ってる。
他のロボットたちもプログラムさえすれば受け答えはする。
聞いたことに対して、何万通りってある答えから最適なものを引っ張り出すのがプログラムされたロボット。
ビートは何万通りも答えを持ってないけど、その時に感じたままの答えを出す
最新型と呼ばれるロボットも・・・ビートほどじゃあない。
ビート「?・・・あ、リズ、今日充電すル!」
リズ「もうないの?電池。」
ビートを始め、アンダーで暮らしてるロボットたちはみんな太陽光でバッテリーを充電してる。
地上の暑さが異常なため、5秒ほどの充電で1年持つ。
ビート「あと1カ月くらいはイケるけド・・・念のたメ!」
リズ「じゃあ朝ご飯食べるから・・・食べたら行こうか。」
私はベッドから下りた。
私の部屋は真っ白な壁に囲まれてる。
5畳ほどの広さの部屋に置いてあるのはベッド、棚、机くらいなもんだ。
リズ「タンパク質と総合ビタミンでいっかな。」
ビート「ミネラルもナ!」
私は棚に手を伸ばした。
取っ手に手をかけてパカッと開けると、そこにはビンがずらっと並んでる。
そのビンの中に入ってるのは全て錠剤。
錠剤の全てが・・・私の食料だ。
リズ「昔の人は野菜とか果物とか食べてたんだってさ。どんな味だったんだろうねぇ。」
地上の気温が高くなりすぎて人が住めなくなったように、作物も育たなくなった。
食べ物の代わりとして、国が考えしたのがこの錠剤。
食べれば必要な栄養素を補うことができる仕組みだ。
ビート「リズ、野菜とか食べてみたイ?」
リズ「『食べる』って・・・どういう感じなんだろうね。見たことも無いからわかんないや。」
私は手を伸ばしてビンを取った。
タンパク質と総合ビタミン、ミネラルを取り出して小さなお皿に並べる。
お気に入りのピンクのグラスを取り出してボトルに入った水を少し注いだ。
この世界では水は手に入りにくいから・・・大事に飲まないといけない。
小さなお皿に乗せた錠剤を全て口に放り込み、私は一口分の水で流し込んだ。
この一口で朝食は完了だ。
リズ「さっ、充電しに行こっか。」
ビート「うン!」
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