お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。

すずなり。

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お姉さん2。

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千冬side・・・




千冬「・・・あっ、来た来た。」



会社の車のなかでサンドイッチを頬張ってるときに飛んできたメール。

秋也さんのお姉さんからだ。




『やっほー、千冬ちゃん!今度空いてる日にご飯いこーよ!春美』



千冬「・・・なんていうか・・・軽い(笑)」




入院してるときにお世話になったお姉さん。

言いたいことはハッキリ言うタイプな印象を持ってる。





『私、仕事が終わるの17時なんです。それ以降か、休みの日がいいでーす。千冬』




千冬「送信っと。」




ケータイを助手席に置き、サンドイッチにかぷりついた瞬間、返事が来た。



ピピッ・・・




千冬「もう!?早い・・・。」




かぷかぷとサンドイッチを頬張りなからメールを開く。



『じゃあ今夜!仕事終わったら病院まで来てねー!じゃ!春美』




千冬「・・・今夜ぁ!?」




びっくりするほどの急な話。

特に予定もないから大丈夫だけど・・・




千冬「『猪突猛進型』・・・なのかな。」




私はお姉さん会うことを楽しみにしながら午後の仕事を終わらせていった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







千冬「・・・お姉さんって何科なんだろ。」




聞くのを忘れていた私。

とりあえず秋也さんのいる内科に足を向けた。






千冬「あの、すみません。」





ナースステーションにいる看護師さんに声をかけた。





看護師「どうかされました?」

千冬「笹倉先生ってどちらにおられますか?」




そう聞くと、奥から秋也さんが現れた。




秋也「あれ?どうした?千冬。」

千冬「秋也さん。・・・お姉さんってどこの科にいるの?」

秋也「『呼吸器内科』だけど・・・なんで?」

千冬「今日ご飯行くんだけど『病院まで来て』って言われて・・・何科かわかんなかったの。ありがと。」

秋也「!・・・さっきの今日かよ・・・まぁ、気を付けてな。」

千冬「はーい、・・・ふふ。」




手を振ってくれた秋也さんに手を振り返し、私は呼吸器内科に足を進めた。


初めて行く『呼吸器内科』。

そこは・・・・・・内科のすぐ隣だった。





千冬「近かった・・・まぁ、内科と関連深いしね。」





呼吸器内科のナースステーションで看護師さんに声をかける。





千冬「あの、二階堂先生っておられますか?」

看護師「いますけど・・・どうかされました?」

千冬「約束をしていて・・・。」




そう言うと看護師さんはお姉さんを呼びにいってくれた。

ほどなくして白衣を脱いだお姉さんがやってきた。




春美「千冬ちゃーんっ。」

千冬「お仕事終わったんですか?」

春美「うんっ。さー、行こうか!」





お姉さんに背中を押され病院の外に出た。




千冬「?・・・近くにお店があるんですか?」

春美「そ。ちょっと歩くけど大丈夫?」

千冬「運動は全然大丈夫なんでいけますー。」




お姉さんと話をしながら歩いていく。

夕暮れに染まる空は、夜の色に侵され始めていた。





春美「秋也とはどう?」

千冬「どうって・・・最近はゆっくり会えてないんですよ。」

春美「あら、そうなの?」

千冬「秋也さんも忙しいみたいで・・・ご飯だけ一緒に食べるのが精一杯で・・・。」





仕事帰りに時間が会えば近くのご飯やさんで一緒に食べて帰る。

そんな日々が続いていた。




春美「結婚・・・するのよねぇ?」

千冬「するんですけど・・・。」

春美「この前、千冬ちゃんのご両親にご挨拶に行ったって秋也が行ってたけど?」

千冬「あぁ、わざわざ実家に行ってくれたんですよ。一応『お見合い』と言うことで。」

春美「じゃああとは式場ね?」

千冬「・・・それなんですけど・・。」





どうしようか悩んでる『式』。

お姉さんに相談しようかと思った時、ご飯屋さんに到着した。





春美「ここよ。」

千冬「・・・隠れ家みたいなお店だ・・。」





ふつーの一軒家なお店。

表札に小さくお店の名前が書かれていた。




春美「知らないと来れない店。紹介がないと新規さんは入れないの。・・・こんばんはー。」




のれんをくぐり、ガラガラとドアを開けてお姉さんは入っていった。





店員「コースはどれにしましょうか。」




店員さんが持ってきたメニューには『コース』としか書かれてなかった。




千冬「『星』?『空』?」




いろいろな言葉が書かれている。




春美「『山』二つ。」

店員「かしこまりました。」





メニューを下げた店員さん。

私はお姉さんを見つめた。




春美「『山』は野菜の料理。メインは鶏かな?」

千冬「へぇー・・・そうなんですか。」




意味がわかって頷いてると、お姉さんがさっきの話の続きを聞いてきた。





春美「で?式場で迷ってるの?」

千冬「あー・・・」





相談するか悩んでしまう私。

でも、どうしたらいいのかわからないから聞くことにした。





千冬「『式』は・・・しなくてもいいかなって思ってて・・・。」





そう言うと、お姉さんは目を丸くして驚いた。




春美「どうして?ウェディングドレス、憧れない?」

千冬「憧れはしますけど・・・私は呼べる人が少ないですし・・・。」







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