お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。

すずなり。

文字の大きさ
上 下
34 / 59

急変2。

しおりを挟む
俺は看護師と一緒に病院の廊下を走っていた。





秋也「どういうことだ!?」

看護師「・・・千冬ちゃんのいつもの採血をしてたら突然警告音が鳴り出して・・・!」

秋也「警告音!?」

看護師「何事かと思って見に行ったら・・・血液を保存するパックが裂かれてて・・・血液が全て床に・・・!」

秋也「!!」

看護師「それだけじゃなくて、血液を取る機械のスピードがマックスになってて大量の血液が・・・!」





その看護師の言葉に、俺の心臓が嫌な音を立て始めた。

どくどくと身体に響く心臓の音は・・・千冬が無事じゃないことを知らせてるようだ。





秋也「今、誰が処置を!?」

看護師「それが・・・内線電話がどこも繋がらなくて・・・!千冬ちゃんの主治医を直接呼びに行ったんです!その間もみんなで交代で・・・!」




走っていた俺の足がピタッと止まった。





秋也「・・・交代で・・・何してたんだ・・・?」




看護師の表情から・・・何を言うのか分かった。





看護師「蘇生措置です・・・。」

秋也「---っ!!」





暗い顔をする看護師。

その看護師のはるか後ろに・・・天沢の姿を見つけた。

俺を見て・・・悪魔のように笑ってる。





秋也「・・・・急ぐぞ!」

看護師「はいっ!」





止めていた足をまた動かせ、俺は採血室に急いだ。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








医師「早く血を集めて戻すんだ!貯血も持ってきて!!」

看護師「はいっ!」





千冬の寝てるベッドの周りは・・・大変なことになっていた。




床は血の跡。

ベッドの周りは点滴の管だらけ。

千冬の上にまたがってる主治医は・・・心臓マッサージをしていた。





秋也「代わります!」

医師「頼むっ・・・!」




汗だくの主治医と交代し、俺は千冬の上にまたがった。

血の気がない真っ白な顔の千冬が目に入る。




秋也「---っ!・・・千冬っ!戻って来いっ!」





手を胸に置き、心臓マッサージをする。

俺が必死にしてる間、看護師たちは床の血を集め、体に戻す準備をしてくれた。





秋也「体中のライン取って!輸液も入れろ!」




どれくらいの血が流れ出たかはわからなかったけど、床に落ちてる血の跡から考えると・・・




秋也「3リットルくらいか?やばいな・・・。」




千冬の体重から考えて流れ出た血液の量は致死量に近い。




秋也「頼む・・・頼むから戻って来い・・・!」




必死に心臓マッサージをしてると、千冬の主治医が俺の手を止めた。




医師「ちょっとモニター見てみよう。」





心臓マッサージを止め、心拍が戻ってるかどうか確認する。

真っ直ぐの平行線を辿っていたモニターは、ピッ・・・ピッ・・・と、音を立て始めた。




医師「戻った・・・!」

秋也「はー・・・。」




動きを再開した千冬の心臓。

顔色も・・・さっきよりはよくなった。





医師「ICUで様子みよう。」

秋也「そうですね。」





たくさんの点滴ごと千冬は運ばれていった。




医師「それにしてもなんでこんなことに・・・」




俺は千冬の主治医に事の経緯を説明した。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







医師「千冬ちゃんの血が売られてた!?」




空いてる診察室で伝えると、主治医は驚いてた。





秋也「はい・・・。一緒に千冬の血を売らないかと誘われまして。」

医師「医療従事者がなんて発言を・・・」

秋也「天沢は解雇になります。おそらく・・・千冬の血液パックを一つ取ってから機械を操作したんでしょう。内線の受話器を外して繋がらないようにし、千冬の命を奪おうとした。」

医師「ーーーっ!」



主治医の手に力が入ってる。

怒りが・・・伝わってくる。





秋也「・・・俺、千冬の様子見てきます。」

医師「・・・あぁ。」





診察室を出てICUに向かう。

途中、バタバタと病院関係者が何人か走り抜けた。





秋也「?」





何事かと思い、走り抜ける一人を捕まえた。





秋也「何かあったんですか?」





俺の問いに、その人は慌てながら言う。





「なんかパトカーが来てて・・・!誰か連れて行かれたって!」

秋也「!!・・・それって・・・」




きっと天沢だ。

そう思った時、俺の前に理事長が現れた。





理事長「本人を捕まえて問いただしたら吐いたのよ。」

秋也「理事長・・・。」

理事長「『いいカモだったのに。』って言ってたわ。」

秋也「カモって・・・。採血室で機械をいじったのも天沢ですか?」





そう聞くと、理事長は伏し目がちに俺に言った。





理事長「・・・・冷静に聞ける?」

秋也「・・・わかりませんが・・・知りたい。」
















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

白衣の下 先生無茶振りはやめて‼️

アーキテクト
恋愛
弟の主治医と女子大生の恋模様

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

『番外編』イケメン彼氏は警察官!初めてのお酒に私の記憶はどこに!?

すずなり。
恋愛
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の身は持たない!?の番外編です。 ある日、美都の元に届いた『同窓会』のご案内。もう目が治ってる美都は参加することに決めた。 要「これ・・・酒が出ると思うけど飲むなよ?」 そう要に言われてたけど、渡されたグラスに口をつける美都。それが『酒』だと気づいたころにはもうだいぶ廻っていて・・・。 要「今日はやたら素直だな・・・。」 美都「早くっ・・入れて欲しいっ・・!あぁっ・・!」 いつもとは違う、乱れた夜に・・・・・。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...