33 / 59
急変。
しおりを挟む
秋也「いた・・!」
備品室に入ってく彼女の姿を捉えた俺は、追いかけた。
少し開いたドアを押し開き、中に入ろうとしたとき中から声が聞こえてきた。
天沢「・・・今日、採血だから取ったら送ります。・・・・いつもどおりお金は振り込んでください。・・・はい。」
秋也(--っ!・・・やっぱり彼女が・・?)
電話を切るのを待ち、俺は彼女に声をかけた。
その前にケータイの録音ボタンを押してから。
秋也「千冬の血をくすねてたのは・・・キミ?」
そう聞くと、彼女は驚いたように俺を見た。
でも、驚いた表情はすぐに悪魔的な笑みに変わった。
天沢「笹倉先生・・・。ちょうどよかった。私と一儲けしません?」
秋也「・・・一儲け?」
彼女は俺の側まで歩み寄ってきた。
手を・・・俺の肩に這わしてくる。
天沢「病気持ちの婚約者より・・・健康な体のほうがいいんじゃないですか・・・?」
べたべたと身体を触られる。
吐き気を覚えながらも俺は話を続けた。
秋也「『病気持ちの婚約者』・・・ねぇ。」
天沢「あの人の血・・・100ml100万で買い取ってくれるとこがあるんですよ。」
秋也「100万!?」
天沢「だから、あの人から取れるだけ取って・・・優雅に暮らしましょうよ。私・・・体は自信あるんで。」
そう言って自分の服のボタンを外し始めた。
秋也「・・・・お前に俺を満足させられるとは思えないけど?」
天沢「・・・なっ」
白衣のポケットからケータイを取り出す。
秋也「今の、録音したから。」
天沢「・・・え!?」
秋也「お前・・・『命を救う』ために看護師になったんじゃないのか?『命を奪う』なんて・・・。それに『俺に憧れて』って言ってたよな?」
初めて会った時に言ってた言葉。
新人の看護師だし、ミスは承知だけどしっかり仕事をしてると思ってた。
天沢「・・・先生、医者だからお金持ちだし、顔もいーし?『憧れて』ましたよ?優雅な生活。」
秋也「はぁ・・・。」
また『俺の職業』を目当てに寄ってきた女。
その事はどうでもよかったけど、千冬の命を削るようなことをしてたことが許せなかった。
秋也「お前、クビは確実だから。あと免許剥奪もあると思っとけよ。」
天沢「!!・・・・ちっ。」
秋也(舌打ちした?サイテーな女だな。)
俺は踵を返し、備品室を出た。
そのまま院長の元へ行き、理事長を含め、上の方々に事の経緯を説明した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
理事長「誰か『天沢 みずき』の情報知らないの?」
理事長がそう聞くと、部長の一人が手を上げた。
部長「噂・・・なのですが、病院を転々としてる看護師の話は聞いたことがあります。なんでも備品をくすねて売ってるとか・・・。」
理事長「それが『天沢 みずき』なら八重樫さんの血液はいい獲物ってことになるわね。」
部長「しかし仮にも看護師が人の命を奪うようなこと・・・。」
理事長「実際にしてたみたいだし・・・彼女は今日付けで謹慎処分。裏が取れたら解雇の方向で。」
部長「わかりました。」
理事長は席を立ち、俺の前にやってきた。
理事長「八重樫さんの血液型のことは秘密なのに・・・こんなことになってしまってごめんなさい。」
頭を下げる理事長。
秋也「・・・それは、本人にお願いしてもいいでしょうか。僕と彼女はまだ結婚してませんし。」
理事長「・・・そうね。じゃあ仕事に戻ってくれる?」
秋也「はい。失礼します。」
報告が終わり、俺は千冬の元に向かった。
秋也(なんて言おうか・・・。)
『千冬の血を売ってたやつがいた』。
そう伝えるのがストレートだけど・・・。
もしかしたら千冬が傷つくかもしれない。
秋也(困ったな・・・。)
歩きながらいい言葉を探してると、看護師の一人が血相を変えて走ってきた。
看護師「笹倉先生!千冬ちゃんが・・・!」
秋也「え?」
備品室に入ってく彼女の姿を捉えた俺は、追いかけた。
少し開いたドアを押し開き、中に入ろうとしたとき中から声が聞こえてきた。
天沢「・・・今日、採血だから取ったら送ります。・・・・いつもどおりお金は振り込んでください。・・・はい。」
秋也(--っ!・・・やっぱり彼女が・・?)
電話を切るのを待ち、俺は彼女に声をかけた。
その前にケータイの録音ボタンを押してから。
秋也「千冬の血をくすねてたのは・・・キミ?」
そう聞くと、彼女は驚いたように俺を見た。
でも、驚いた表情はすぐに悪魔的な笑みに変わった。
天沢「笹倉先生・・・。ちょうどよかった。私と一儲けしません?」
秋也「・・・一儲け?」
彼女は俺の側まで歩み寄ってきた。
手を・・・俺の肩に這わしてくる。
天沢「病気持ちの婚約者より・・・健康な体のほうがいいんじゃないですか・・・?」
べたべたと身体を触られる。
吐き気を覚えながらも俺は話を続けた。
秋也「『病気持ちの婚約者』・・・ねぇ。」
天沢「あの人の血・・・100ml100万で買い取ってくれるとこがあるんですよ。」
秋也「100万!?」
天沢「だから、あの人から取れるだけ取って・・・優雅に暮らしましょうよ。私・・・体は自信あるんで。」
そう言って自分の服のボタンを外し始めた。
秋也「・・・・お前に俺を満足させられるとは思えないけど?」
天沢「・・・なっ」
白衣のポケットからケータイを取り出す。
秋也「今の、録音したから。」
天沢「・・・え!?」
秋也「お前・・・『命を救う』ために看護師になったんじゃないのか?『命を奪う』なんて・・・。それに『俺に憧れて』って言ってたよな?」
初めて会った時に言ってた言葉。
新人の看護師だし、ミスは承知だけどしっかり仕事をしてると思ってた。
天沢「・・・先生、医者だからお金持ちだし、顔もいーし?『憧れて』ましたよ?優雅な生活。」
秋也「はぁ・・・。」
また『俺の職業』を目当てに寄ってきた女。
その事はどうでもよかったけど、千冬の命を削るようなことをしてたことが許せなかった。
秋也「お前、クビは確実だから。あと免許剥奪もあると思っとけよ。」
天沢「!!・・・・ちっ。」
秋也(舌打ちした?サイテーな女だな。)
俺は踵を返し、備品室を出た。
そのまま院長の元へ行き、理事長を含め、上の方々に事の経緯を説明した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
理事長「誰か『天沢 みずき』の情報知らないの?」
理事長がそう聞くと、部長の一人が手を上げた。
部長「噂・・・なのですが、病院を転々としてる看護師の話は聞いたことがあります。なんでも備品をくすねて売ってるとか・・・。」
理事長「それが『天沢 みずき』なら八重樫さんの血液はいい獲物ってことになるわね。」
部長「しかし仮にも看護師が人の命を奪うようなこと・・・。」
理事長「実際にしてたみたいだし・・・彼女は今日付けで謹慎処分。裏が取れたら解雇の方向で。」
部長「わかりました。」
理事長は席を立ち、俺の前にやってきた。
理事長「八重樫さんの血液型のことは秘密なのに・・・こんなことになってしまってごめんなさい。」
頭を下げる理事長。
秋也「・・・それは、本人にお願いしてもいいでしょうか。僕と彼女はまだ結婚してませんし。」
理事長「・・・そうね。じゃあ仕事に戻ってくれる?」
秋也「はい。失礼します。」
報告が終わり、俺は千冬の元に向かった。
秋也(なんて言おうか・・・。)
『千冬の血を売ってたやつがいた』。
そう伝えるのがストレートだけど・・・。
もしかしたら千冬が傷つくかもしれない。
秋也(困ったな・・・。)
歩きながらいい言葉を探してると、看護師の一人が血相を変えて走ってきた。
看護師「笹倉先生!千冬ちゃんが・・・!」
秋也「え?」
23
お気に入りに追加
1,069
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
『番外編』イケメン彼氏は警察官!初めてのお酒に私の記憶はどこに!?
すずなり。
恋愛
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の身は持たない!?の番外編です。
ある日、美都の元に届いた『同窓会』のご案内。もう目が治ってる美都は参加することに決めた。
要「これ・・・酒が出ると思うけど飲むなよ?」
そう要に言われてたけど、渡されたグラスに口をつける美都。それが『酒』だと気づいたころにはもうだいぶ廻っていて・・・。
要「今日はやたら素直だな・・・。」
美都「早くっ・・入れて欲しいっ・・!あぁっ・・!」
いつもとは違う、乱れた夜に・・・・・。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんら関係ありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる