お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。

すずなり。

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急変。

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秋也「いた・・!」



備品室に入ってく彼女の姿を捉えた俺は、追いかけた。

少し開いたドアを押し開き、中に入ろうとしたとき中から声が聞こえてきた。




天沢「・・・今日、採血だから取ったら送ります。・・・・いつもどおりお金は振り込んでください。・・・はい。」

秋也(--っ!・・・やっぱり彼女が・・?)





電話を切るのを待ち、俺は彼女に声をかけた。

その前にケータイの録音ボタンを押してから。








秋也「千冬の血をくすねてたのは・・・キミ?」





そう聞くと、彼女は驚いたように俺を見た。

でも、驚いた表情はすぐに悪魔的な笑みに変わった。




天沢「笹倉先生・・・。ちょうどよかった。私と一儲けしません?」

秋也「・・・一儲け?」




彼女は俺の側まで歩み寄ってきた。

手を・・・俺の肩に這わしてくる。




天沢「病気持ちの婚約者より・・・健康な体のほうがいいんじゃないですか・・・?」




べたべたと身体を触られる。

吐き気を覚えながらも俺は話を続けた。



秋也「『病気持ちの婚約者』・・・ねぇ。」

天沢「あの人の血・・・100ml100万で買い取ってくれるとこがあるんですよ。」

秋也「100万!?」

天沢「だから、あの人から取れるだけ取って・・・優雅に暮らしましょうよ。私・・・体は自信あるんで。」





そう言って自分の服のボタンを外し始めた。





秋也「・・・・お前に俺を満足させられるとは思えないけど?」

天沢「・・・なっ」




白衣のポケットからケータイを取り出す。




秋也「今の、録音したから。」

天沢「・・・え!?」

秋也「お前・・・『命を救う』ために看護師になったんじゃないのか?『命を奪う』なんて・・・。それに『俺に憧れて』って言ってたよな?」





初めて会った時に言ってた言葉。

新人の看護師だし、ミスは承知だけどしっかり仕事をしてると思ってた。





天沢「・・・先生、医者だからお金持ちだし、顔もいーし?『憧れて』ましたよ?優雅な生活。」

秋也「はぁ・・・。」





また『俺の職業』を目当てに寄ってきた女。

その事はどうでもよかったけど、千冬の命を削るようなことをしてたことが許せなかった。





秋也「お前、クビは確実だから。あと免許剥奪もあると思っとけよ。」

天沢「!!・・・・ちっ。」

秋也(舌打ちした?サイテーな女だな。)




俺は踵を返し、備品室を出た。

そのまま院長の元へ行き、理事長を含め、上の方々に事の経緯を説明した。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






理事長「誰か『天沢 みずき』の情報知らないの?」




理事長がそう聞くと、部長の一人が手を上げた。




部長「噂・・・なのですが、病院を転々としてる看護師の話は聞いたことがあります。なんでも備品をくすねて売ってるとか・・・。」

理事長「それが『天沢 みずき』なら八重樫さんの血液はいい獲物ってことになるわね。」

部長「しかし仮にも看護師が人の命を奪うようなこと・・・。」

理事長「実際にしてたみたいだし・・・彼女は今日付けで謹慎処分。裏が取れたら解雇の方向で。」

部長「わかりました。」




理事長は席を立ち、俺の前にやってきた。




理事長「八重樫さんの血液型のことは秘密なのに・・・こんなことになってしまってごめんなさい。」




頭を下げる理事長。




秋也「・・・それは、本人にお願いしてもいいでしょうか。僕と彼女はまだ結婚してませんし。」

理事長「・・・そうね。じゃあ仕事に戻ってくれる?」

秋也「はい。失礼します。」




報告が終わり、俺は千冬の元に向かった。




秋也(なんて言おうか・・・。)




『千冬の血を売ってたやつがいた』。


そう伝えるのがストレートだけど・・・。

もしかしたら千冬が傷つくかもしれない。




秋也(困ったな・・・。)




歩きながらいい言葉を探してると、看護師の一人が血相を変えて走ってきた。




看護師「笹倉先生!千冬ちゃんが・・・!」

秋也「え?」







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