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薬の進化。
しおりを挟む千冬side・・・
秋也さんとデートしたり、お家に泊まらせてもらったり・・・。
そんなことを繰り返して1カ月が経とうとしていた。
千冬「今日は自己血分も取るんだよねー。」
いつもの定期検診に来ていた私。
待ち合いで座って、名前が呼ばれるのを待っていた。
『千冬ちゃーん、どうぞー。』
千冬「・・・いつになったら名字で呼んでくれるんだか。」
そう思いながら椅子から立ち上がった。
診察室のドアを開けて中に入る。
ガラガラガラ・・・
千冬「こんにちはー。」
医師「こんにちは。どう?調子は。」
千冬「いつもと変わんないよ?」
医師「そっか。」
パソコンに向かいながらカタカタと何かを打ち込むおじさん先生。
少しすると秋也さんが裏から来た。
秋也「お、ちょうどよかった?」
千冬「うん。今来たとこだよ。」
秋也「薬の変更は聞いたか?」
千冬「・・・変更?」
何の話かわからない私は、おじさん先生を見た。
おじさん先生は、ファイルから1枚の紙を取り出して私にくれた。
医師「薬・・・変えれるかもしれなくてさ。」
千冬「変える?なんで?」
秋也「新しい薬が出た。まだ治験の段階だけど千冬に合えば・・・薬は週1にできる。」
千冬「!・・・週1!」
毎日の義務から解放されるかもしれない話。
私は手渡された紙を見た。
千冬「・・・『薬が合わなかった時は、自己血と総入れ替え』?」
よくわからない文章が赤字で書かれている。
秋也「千冬に合わなかったら・・・取っておいた自己血と交換して薬を抜くんだよ。」
千冬「あぁ、なるほど。・・・ちょっと考えてもいい?」
そう聞くと、おじさん先生と秋也さんは口を揃えて言った。
医師・秋也「あぁ、いいよ。じゃあ採血に行っといで。」
千冬「・・・ふふっ。行ってきまーす。」
言葉が揃ったことが面白くてつい笑ってしまった。
緩む頬を押さえながら採血室に向かう。
千冬「そっかぁー・・週1かぁ・・・。」
薬を気にしなくていい生活になれるならなってみたい。
千冬「今日は採血の間起きてられるようにがんばってみよっかな。」
もらった紙を見ながら廊下を歩く。
千冬「『入院して経過をみながら薬の量を調整します』・・・?え・・・入院するの?」
他にも書いてある。
『薬の量が決まるまでは1カ月から2カ月の入院が必要』
『また、その間は重度の貧血を起こしてる状況にある。』
千冬「・・・いやいやいや、仕事があるから無理じゃん。」
紙に目線を落としながら歩き、採血室のある方に向かって曲がった。
その時、私は誰かとぶつかってしまった。
どん・・っ
千冬「わっ・・・!」
天沢「きゃっ・・!」
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