お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。

すずなり。

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お迎え。

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翌日、昼過ぎ・・・




千冬side・・・




指名の仕事を終わらせた私は、会社で書類仕事をしていた。




千冬「このお家は年間契約でご飯の作り置きと掃除、ここは出張のときに掃除依頼・・・この家は月に一度、一緒に掃除っと・・・。」




今までしてきた仕事内容を、書類に書き込んでいく。

黙々と作業を進めてると、所長が私に言ってきた。





所長「千冬ちゃん、今日1時間早く上がらない?」

千冬「どうしてですか?」

所長「今日1時間早く上がる代わりに、明日1時間残業してほしいんだけど・・・。」





よくある『所長のお願い』だ。




千冬「いいですけど・・・明日、何かあるんですか?」




そう聞くと所長は嬉しそうに私に言った。




所長「税理士事務所の掃除依頼が来たの!広いし、何かあったら困るから二人で行きたくて。」

千冬「なるほど。・・・わかりました。」




『個人宅』より気を使う『企業』。

掃除をする面積も広いし、『何かなくなった』とか言われたら面倒だから二人以上でいくことが多い。




所長「事務所は16時で終わるらしいのね?で、そこから掃除だからよろしくー。」

千冬「じゃあ、私は今日16時で上がりますねー。」

所長「おっけー。」




思いがけず早くに上がれることになった今日。

病院にいくには今日しかないと思い、私は秋也さんにメールを打った。




『今日、早く上がれることになったんで病院行きます。千冬』




千冬「・・・秋也さんに会える。」



毎日好きになっていく秋也さん。

昨日も会えてうれしかったけど、今日も会えることになって気分が上がり始めた。




千冬「でも、お仕事の邪魔はしないように・・・。」




一人ニヤつきながら、私は仕事を進めた。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーー







千冬「お疲れさまでしたー、お先でーす。」





そう言って会社を後にした私。

急ぎ気味に駅に向かった。




千冬(早く会いたいなー・・。)



緩む顔を必死に戻しながら電車に乗る。

病院の最寄り駅で下りたとき、改札の向こうに知った顔を見つけた。




秋也「あ、千冬ーっ。」



私の姿を見つけて手を振るのは秋也さんだ。



千冬「・・・・秋也さん!?」




思ってもない場所で秋也さんに会い、私は驚いた。。




千冬「え・・!?なんでここに・・・!?」

秋也「16時に終わるって言ってただろ?だから迎えにきた。」




そう言って手を差し出してくれた秋也さん。

その手に私の手を乗せ、病院に向かって歩き始めた。




千冬「わざわざ来てくれなくても・・・・。」

秋也「早く会いたかったし。あ、血液内科の先生にはもう連絡してあるからな。」

千冬「・・・ありがとう。」




デートのように歩く私たち。

行き先が病院じゃなければどんなにいいかと、心の中で思ってしまった。




秋也「?・・・先行ってて?追いかけるから。」



病院の入り口で秋也さんが私に言った。



千冬「うん。ありがと・・・。」


繋いでいた手を離して、私たちは別れた。

走ってどこかに行く秋也さんを見てると、どうも裏口から中に入ったみたいだ。



千冬「まぁ、関係者だもんねぇ・・。」



私は一般の入り口から中に入り、血液内科に向かった。

見知った看護師さんに声をかける。



千冬「検診で来ましたー。」

看護師「あら、千冬ちゃん。先生に言ってくるから待ってて?」

千冬「はーい。」




待合の椅子に座る。

座ったと同時に診察室のドアが開いた。




医師「千冬ちゃん、どうぞー?」

千冬「今日はマイクじゃないんだ(笑)」



おじさん先生に呼ばれ、診察室の中に入ると秋也さんがもう来ていた。




千冬「あれ?裏から来たの?」

秋也「そ。繋がってるから早いんだよ。」

千冬「へぇー・・・。」



荷物をカゴに入れて、椅子に座る。

おじさん先生と秋也さんは二人でパソコンの画面を見つめていた。




医師「検査結果のこの数字に注意してもらって・・・・・」

秋也「あぁ、これを薬で補ってるんですか。じゃあ・・・・」

千冬(・・・つまんない。)




特に診察が始まるわけでもなく、私はじーっと二人を見ていた。



千冬「・・・・検査、行ってきていい?」



毎回ある血液検査。

退屈な私は先に検査することを申し出た。




医師「あぁ、いいよ?行っといで。」

秋也「俺もあとで行く。」

千冬「いってきまぁす・・・。」




秋也さんを取られ、嫉妬心を覚えながら私は採血室に向かった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーー







看護師「千冬ちゃん、いらっしゃい。」




採血室に入ると、いつもの看護師さんが声をかけてくれた。




千冬「採血お願いしまーす。」

看護師「ベッドに横になってて?用意したら行くからー。」

千冬「はーい。」




空いてるベッドを探し、私は寝転がった。

ぼーっと天井を見ながら看護師さんを待ってると、秋也さんがやってきた。





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