お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。

すずなり。

文字の大きさ
上 下
12 / 59

お見合いは続行。

しおりを挟む
千冬side・・・




千冬「今日は・・・ありがとうございました。」




マンションまで送ってもらい、私は車から降りた。



秋也「ゆっくり寝るんだよ。」

千冬「はい。」

秋也「また誘う。」

千冬「--っ!・・・はい。」






走り出した車が見えなくなるまで見送り、私は自分の部屋に向かった。





千冬「思い返せば今日は・・・驚きの連続だったな・・・。」





新人看護師さんにいつもの倍の血を取られて重度の貧血を起こし・・・

笹倉さんの職業が『お医者さん』って知ったし・・・

私の病気のことまで伝えたし・・・

それでも『結婚を前提にお付き合いを』って言ってくれたし・・・





千冬「もうパニックだよ・・・。」





部屋の鍵を開けて中に入る。

電気をつけて、リビングのソファーに座った。




その時・・・



ピピピッ・・・ピピピッ・・・




千冬「電話?」



鞄からケータイを取り出して着信画面を見る。

表示は・・・『母』だ。




ピッ・・・




千冬「もしもし?」

お母さん「千冬?遅くにごめんね?」

千冬「大丈夫。今帰ってきたとこだし。どうしたの?」

お母さん「この前のお見合い、どうだったかなーって。」

千冬「・・・・・・。」





私はお母さんになんて答えるか悩んだ。

『断った』・・・わけじゃない。

『付き合ってる』・・・わけでもない。





お母さん「?・・・・もしもーし?」

千冬「うーん・・・まだ・・・会ったりしてる・・。」





精一杯の返事に、電話の向こうでお母さんは喜びの悲鳴を上げた。




お母さん「きゃーっ!・・・とうとう結婚!?」

千冬「なんでそうなるのよっ!」




ぶっ飛んだお母さんの回答に私は突っ込んでしまった。




お母さん「だって今まではすぐに断ってたじゃないーっ。進歩ね!」

千冬「進歩って・・・。」

お母さん「・・・いい人だった?」





お母さんの言葉に、私はもらったイルカを抱きしめた。



千冬「・・・うん。私の病気のことを理解してくれた。」

お母さん「!!・・・そう、それはよかった。」

千冬「うん。・・・・あ、どうやって笹倉さんとつながったの?お見合い。」




『医者』なんて職業、そうそう繋がるものじゃない。





お母さん「あぁ、お母さんの友達の、娘さんの、旦那さんの・・・会社の人の?・・・お客さんの・・・友達の・・・旦那さんの・・・・あれ?」

千冬「あー・・・もういいや。」

お母さん「回り回って、『誰かいい人いない?』って来たのよ!」

千冬「そうなんだ・・・。」





『人と人との縁』

遠いところから繋がった笹倉さんとの『縁』を・・・大切にしたいと思った。




お母さん「あ、お母さんもう寝るから。また電話してね?」

千冬「うん。今度実家の掃除にいくし。」

お母さん「・・・それは来なくてもいいよ。」ピッ・・・





千冬「切られた・・・。」




一方的な電話に、私は自分のケータイをテーブルに置いた。

抱きしめていたイルカを見る。




千冬「ねぇ、イルカちゃん?『よろしくお願いします』って・・・言っていいのかな・・・。」




返事をしないイルカを見つめ、頭の中でいろいろ考えながら私は今日を終えた。















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

白衣の下 先生無茶振りはやめて‼️

アーキテクト
恋愛
弟の主治医と女子大生の恋模様

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

『番外編』イケメン彼氏は警察官!初めてのお酒に私の記憶はどこに!?

すずなり。
恋愛
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の身は持たない!?の番外編です。 ある日、美都の元に届いた『同窓会』のご案内。もう目が治ってる美都は参加することに決めた。 要「これ・・・酒が出ると思うけど飲むなよ?」 そう要に言われてたけど、渡されたグラスに口をつける美都。それが『酒』だと気づいたころにはもうだいぶ廻っていて・・・。 要「今日はやたら素直だな・・・。」 美都「早くっ・・入れて欲しいっ・・!あぁっ・・!」 いつもとは違う、乱れた夜に・・・・・。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...