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秋也の職業3。

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秋也「返事は今すぐじゃなくていいよ。待つ。・・・千冬の中で答えが出たら教えて。」

千冬「・・・・わかりました。」

秋也「まぁ、返事は『YES』だろうけど。」





自信満々に言って、コーヒーを口に入れた笹倉さん。




千冬「どうしてそう思うんですか?」

秋也「名前で呼んでも否定しないから。」

千冬「---っ!まぁ・・・。」





病気のことを理解してくれた人は初めてだ。

諦めていた『結婚』が現実のものになるかもしれない。

そう思ったら心も許してしまう。





秋也「そろそろ出ようか。閉園の時間が迫ってる。」




腕時計で時間を確認した笹倉さん。

私もケータイで時間を確認した。




千冬「わ、もう20時半だ。」

秋也「また来ような。」

千冬「・・・・・はい。」

秋也「ははっ。」





お店を出て、二人でアクアリウムの中を進んだ。

もう人がほとんどいないアクアリウム。

少し急ぎ足で出口に向かう。




秋也「そんなに急いだらまた貧血が悪化するぞ?」

千冬「うーん・・・多分大丈夫です。さっきより調子がいいんで。」

秋也「・・・ならいいけど。」




歩き進めて見えてきた出口。

ちょうどそこにお土産屋さんもあった。




秋也「ちょっと見てく?」

千冬「はいっ。」




かわいい雑貨が並んでるお土産屋さん。




千冬「何か買って帰ろうかなー・・・。」



光を感知してゆらゆらと揺れるペンギンが目に入った。

右に左に揺れてる姿がかわいく、思わず笑ってしまう。



千冬「ふふっ。・・・あれ?笹倉さん?」




気がつくと私の周りに笹倉さんの姿がなかった。




千冬(トイレ・・・かな?)



そう思ってると、私の頭に何かが乗った感触があった。



千冬「?」




頭に手を伸ばして触る。




千冬「ん?・・・タオル?それにしては大きい・・?」




頭の上の物を取り、自分の目で確認した。

それは・・・




千冬「・・・イルカだ。」




タオル地でできたイルカのぬいぐるみだった。




秋也「好きなんだろ?イルカ。」




私の後ろから聞こえた笹倉さんの声。

振り返ってその姿を確認した。




千冬「!・・・笹倉さん、どこにいってたんですか?」

秋也「うん?それ買いにいってた。」

千冬「・・・え!?」




イルカについてるタグを見ると、『会計済み』のシールが貼られていた。





秋也「持って帰りなよ。」

千冬「!?・・・私に!?」

秋也「・・・俺が持ってたら変だろ。」




イルカのぬいぐるみは、私の手には余りまくるほどの大きさだ。

普通に考えても・・・結構なお値段のような気がする。




私は顔をあげ。辺りを見回した。

遠くに同じイルカのぬいぐるみが見える。

金額を確かめたくて足を進めた。

その時・・・


がしっと手を掴まれた。





秋也「!!・・・帰るぞ、千冬。」


千冬「わ・・私、あっちに用事が・・・。」

秋也「・・・値段、見に行くつもりだろ。」

千冬「う・・・。」

秋也「素直にもらっときなさい。・・・帰ろう。」

千冬「・・・はい。」





ぎゅっと抱きしめるイルカのぬいぐるみ。

可愛い目で・・・私を見つめてくれていた。




千冬「・・・・かわいい。」

秋也「---っ!」

千冬「ありがとう・・ございます。」




イルカを抱きしめながら言った。





秋也「どういたしまして。・・・まぁ、下心もあるんだけど。」

千冬「下心?」

秋也「それ見たら俺のこと思い出すだろ?答えを出すまでの間、俺のことを考えてくれたらなーって。」

千冬「---っ!」





顔が熱くなる自分がいた。

初めて会ってから数日、あった回数なんて3回だ。

なのに・・・



『私を想ってくれてる』




そう認識してしまうと、心臓がうるさく鳴り始めてしまった。





千冬(どうしよう・・・私、笹倉さんのこと・・・好きになってる・・・。)





赤くなった顔がバレないようにイルカで隠しながら、私はアクアリウムを出た。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










秋也side・・・





アクアリウムからの帰り、運転してる俺の横に座ってる千冬がかわいすぎて困ってる。



イルカを見つめては・・・何回も同じ言葉を言う。



千冬「・・・かわいい。」

秋也(!!・・・どっちがかわいいんだか。)




終始にこにこしながらイルカを抱きしめてる千冬。




秋也(これだけ喜んでくれたら買いがいがあるな。)




『可愛いものが好き』。

千冬の新たな一面を知りながらも、俺は病気のことを聞く。




秋也「・・・検診は月に一回?」

千冬「そうです。薬をもらいに行くのも兼ねて。」

秋也「薬は寝る前に飲むやつ?」

千冬「はい。」




何の薬を飲んでるのか大体想像がついた俺。

でも、千冬からの『返事』を聞いてないからこれ以上は聞かないでおこうと思った。

















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