お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。

すずなり。

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秋也の職業。

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千冬「すごかったですね、ショー。」




最後までショーを見た私たちは、まだ会場で座っていた。



秋也「すごかったなー。迫力もあって、笑いもあって。」



笹倉さんは余韻に浸ってるようだった。




千冬「・・・。」


辺りを見回すと、もう誰もいない。

私はここで『お見合い終了』を切り出そうと、笹倉さんに話しかけた。



千冬「あの、笹倉さん・・・お話があるんですけど。」




そういうと笹倉さんは席から立ち上がった。



秋也「その前に、ショップでも覗かない?」

千冬「いいですけど・・・。」



私も席から立ち上がる。

その時、私は眩暈に襲われた。



千冬「うぁ・・・。」



ぐらつく景色。

心臓がどくどくと一生懸命動いてるのを感じる。

一瞬でだるさを知った身体は前のめりに倒れ始めた。



秋也「おっと・・・。大丈夫?」




真横にいた笹倉さんが私の体を支えてくれたのだ。



千冬「大丈夫・・・。」



そういうものの、傾いた自分の体を起こすことさえできなかった。

まだ貧血状態から回復してない上に、走ったりしたから悪化してしまったようだ。




千冬(座ってたから気づかなかった・・・。)

秋也「ゆっくりでいいから座ろうか。」




笹倉さんは、私の体を支えながら椅子に座らせてくれた。




千冬「すみません・・・・。」

秋也「いいけど・・・体調悪かった?言ってくれたら後日でもよかったのに。」

千冬「・・・・・・。」





返事をしようと思うけど、話すことすら厳しくなってしまった私。

そのままずるずると身体が横に倒れていく。

支える力もなく重力に身を任せ、重たい瞼は閉じていった。




秋也「おっと・・・。体、横にするからな?」

千冬「・・・・・・。」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





秋也side・・・





どうみても体調が悪そうな彼女の体を横に寝かせた。





秋也「ちょっとごめんな?診るから。」




俺は自分の手のひらを彼女のおでこにあてた。




秋也「・・・熱はないな。」



手首を掴み、脈を計る。



秋也「ちょっと早いか。あとは・・・。」



下瞼をさげて、色をみる。



秋也「白いな。貧血か?」



両手を握ると冷たく、爪の色を見ると少し白かった。



秋也「貧血で間違いなさそうだな。なら・・・。」




足も椅子に上げて、俺は自分の上着を脱いだ。

丸めて足の下にいれ、心臓に血がいくようにする。




秋也「ここじゃこれくらいしかできないんだけど・・・。」




自分の腕時計を確認する。




秋也「閉園まであと・・・2時間か。それまでに回復すればいいけどなー・・・。」




俺は彼女の手を握り、温めた。

回復するまでの間、ずっと温め続けた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






数十分後・・・





千冬「ん・・・・」

秋也「気がついた?」

千冬「!!・・・すみませ・・・!」




急いで体を起こそうとした彼女を押さえつける。




秋也「ゆっくりな。」

千冬「は・・はい・・。」




体を支えながらゆっくり起こす。

椅子に座った状態になった彼女の体を診る。




秋也「ちょっとごめんな?」

千冬「?」




俺は下瞼の様子や、脈をみた。

その様子に、彼女は驚いたように俺に言う。




千冬「もしかして・・・お医者さんなんですか?」

秋也「あれ?言ってなかった?内科医だよ。」

千冬「!!・・・わ・・私、帰ります・・・!」

秋也「こんな状態で?まぁ、家までは送り届けるけど・・・。」

千冬「だ・・大丈夫です・・・!お見合いは今日で終わりにしてください!じゃあ・・・!」



席を立った彼女の手を掴む。



がしっ・・・!




秋也「逃がすかよ。・・・ってか、どうして『逃げる
』んだ?」



そう言うと彼女は俺の腕を振りほどこうと必死に腕を振った。



千冬「最初に会った日にお断りしますっていったじゃないですか!」

秋也「俺は最初に会った日から八重樫さんがいいんだけど?」



そう言うと、彼女は振ってた腕を止めた。



千冬「なんで・・・・。」

秋也「まぁ・・・直感でしかないけど、八重樫さんとならずっと一緒にいられる気がする。見た目も好みだけど・・・中身もそんな感じなんだろ?『自分より他人重視』。」

千冬「!!」

秋也「話してみないか?抱えてる秘密。俺はそれを聞く権利があると思う。」





そう言うと、彼女は俺の目を真っ直ぐにみた。




千冬「・・・どこかお店に入りましょう。」

秋也「わかった。」




俺たちはショーの会場をあとにし、店を探した。

彼女の体が心配な俺は、手を繋ぎ、歩くペースを見ながら横を歩いた。

アクアリウムに入ってるレストランを見つけ、中に入る。





店員「いらっしゃいませ。」

秋也「二人。」

店員「お好きなお席にどうぞ。」



そう言われ、店内を見渡した。

ちょうど奥に・・・客がいない空間を見つけた。





秋也「あそこでいい?」

千冬「はい。」






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