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深夜・・・。
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ーーーーーーーーーーー
美悠side・・・
美悠「んー・・・。」
いつの間にか眠ってしまっていた私は、目を覚ました。
辺りを見回すと薄暗く、室内の豆電球が薄っすらと部屋の中を照らしてる。
美悠「私・・・また寝ちゃった・・?」
服を着てないことから、『最中』の間に眠ってしまったことは明白だ。
三門さんとの激しい『運動』の後は、眠ってしまうことも多々ある。
それは・・・彼がいつまでも果てないからだけど。
美悠「結局三門さんは何回イけたんだろう・・・。」
そう思いながら辺りを見回すと、ベッドの脇のミニテーブルにゴムの袋が置かれてるのが見えた。
封を開けられてるのは合計で4つ。
少なくとも三門さんと4回戦までしたことになる。
美悠「こんなにするのってフツーなの・・?三門さんが初めてだから基準が分からないよ・・。」
そう思いながら身をよじったとき、隣で寝てる三門さんの姿が目に入った。
すぅすぅと寝息を立てながら・・・自分の腕を私の枕にしてくれてる。
美悠「痺れないのかな。」
変に疲れたら申し訳ないと思い、私はその腕から頭を下ろした。
三門さんの腕を下げようと、腕に手を乗せた時、三門さんは私の身体をぐぃっと引き寄せた。
美悠「わ・・・・!」
ぎゅーっと抱きしめられるような形で、三門さんの胸にダイブしてしまった私。
起きてるのかと思って顔を見ると、すやすやと眠ってる。
雄飛「・・・zzz。」
美悠「これは・・・ちょっと・・・・。」
三門さんが寝にくいことは一目瞭然だったから、私は身をよじって抜け出そうと考えた。
身体を捻り、ずりずりと身を下げてると、三門さんが自分の足を私の足の間に滑り込ませてきた。
雄飛「んー・・・?」
ごそごそと手で何かを探して・・・私を抱きしめる。
三門さんが探してるのは・・・『私』だ。
美悠「・・・もー・・。」
雄飛「・・・zzz。」
すぅすぅと眠ってる三門さんに負けて、私は彼の腕に自分の頭を置いた。
横向きになってる三門さんの身体に手を回す。
美悠「・・・逞しすぎでしょ・・すごい筋肉だし・・。」
ごつごつとした身体。
鍛え上げられた筋肉がかっこいい。
美悠「・・・へへ。大好きだよ。三門さん。」
私は三門さんの胸に自分の顔を擦り付け、また夢の世界に旅立った。
ーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーー
ーー
それから何日かが過ぎ、私の通ってる大学が冬休みに突入した。
それと同時に私の両親が海外から帰国することになり、私は一旦実家に帰ることにした。
美悠「服とかは実家にもあるし・・・。あんま荷物はいらないかな。」
そう思って私は小さい鞄一つで実家に向かうことにした。
家を出る前に、私はケータイを取り出した。
仕事中であろう三門さんにメールを打つ。
『今日から実家に帰りまーす。美悠』
美悠「送信っと。」
私は靴を履き、アパートを出た。
鍵を閉めて・・・アパートの下に停まってる車に向かう。
運転手「お待ちしておりました。」
そう言って運転手が車のドアを開けてくれた。
私を迎えに来てくれたのは実家で働いてくれてる送迎係だ。
この前、大学に迎えに来てくれたのもこの運転手。
美悠「・・・自分でできるよ?なんども言うけど。」
運転手「仕事ですので。」
美悠「もー・・・。」
私は運転手が開けてくれたドア・・・後部座席に乗り込んだ。
運転手はドアを閉め、運転席に回る。
すかさずエンジンをかけて、車を走らせ始めた。
美悠「パパとママはもう帰ってきた?」
景色を見ながら運転手に聞く。
運転手「もう間もなくお戻りになられるかと。」
美悠「そっか。」
運転手「なんでも・・・明日、美悠さまを連れてホテルのパーティーに行くとか・・・。」
美悠「・・・・えぇ!?」
そんな予定は聞いてなかった私。
驚きながら運転席のほうにずいっと身体を寄せた。
美悠「何するって言ってた?」
運転手「パーティー・・・としか聞いてはいませんけど・・・?」
美悠「お見合いじゃなければそれでいいよ。」
運転手「あ、それは無いと思いますよ。美悠さまのことを知ってるものは殆どいませんから、申し込んでくる人もいませんしね。」
美悠「それもそっか。」
小さいころはメディアにも取り上げられたことがあるけど、両親と離れて暮らすようになってからは調べられたりすることもなかった。
世間はその時々の情報を欲しがる。
いつまでも『宝条 美悠』に執着はしない。
運転手「でも、『今』、お嬢さまのことが世間に知れ渡ったら大変なことになりますね。こんなに可愛くなられて・・・周りが放っておきませんよ。」
美悠「・・・そんなことないよ。」
私は運転席に寄せた身体を戻して、座席の背もたれに沈めた。
窓の外をじーっと眺めながら、頭の中は三門さんのことを考えてる。
美悠(挨拶に来たいって言ってたよねー・・・。いつがいいか聞かないと。あと、年が明けたら道場にご挨拶にいって、落ち着いたら三門さんのご両親にも挨拶に行きたいし・・・。)
色々しなきゃいけないことを頭で考えながらも車は走り、いつのまにか宝条家の門をくぐった。
車のまま中庭を通り過ぎて、大きい玄関前に止まった。
ガチャ・・・・
執事「おかえりなさいませ、お嬢さま。」
車のドアを開けたのは宝条家に仕えてくれてる執事。
私が降りやすいように、手を差し出してくれてる。
その手を取って、私は車から下りた。
美悠「ただいまっ。私の部屋はそのままになってる?」
執事「もちろんですとも。」
執事は私の少し前を歩き始めた。
その後ろをついて行くようにして歩いて・・・玄関の扉の前に立った。
執事は玄関のドアを開けてくれ、そのドアを支えた。
執事「どうぞ。」
美悠「ありがとー。」
一歩玄関の中に入ると、だだっ広いホールが広がっている。
私を迎えるためか、メイドや執事が数人、待機してくれていたようでずらっと並んでいた。
メイドたち「お帰りなさいませ、お嬢さま。」
執事たち「お帰りなさいませ、お嬢さま。」
美悠「ただいまっ。パパたちまだなんでしょ?なら『いつも通り』にして?」
そういうとメイドたちが私に抱きついてきた。
わらわらと囲まれながら・・・口々に話始める。
メイド「美悠さまっ、また可愛くなったんじゃないですかー?」
メイド「道場にも行かれてるんですよね?女の子はおしとやかなほうがいいですよっ。」
メイド「彼氏ができたって聞きましたよ!どんな人ですか!?」
美悠「ふふっ。順番に話すから聞いてー?」
メイド「じゃあココアでも入れましょうかっ。お部屋に行きます?」
美悠「うんっ。みんなも一緒に飲もうねーっ。」
姉のように慕ってるメイドたち。
パパたちがいないときは友達のような関係でもあった。
一人で食べるご飯がつまんなくて・・・一緒に食べることをせがんだのがきっかけだ。
食事を一緒に食べてくれるようになり、私は家の掃除屋なんかも手伝うようになっていった。
・・・家を出てからもこの関係は続いてる。
メイド「あとで持って行きますねー。」
美悠「はーいっ。」
私は自分の部屋に足を向けた。
玄関に入って真正面にある幅のひろい階段を上がっていく。
上がったところには大きい花瓶に花が活けられていて・・・玄関に入った時に目を引くようになってる。
それは毎日メイドが活けかえてくれてるものだ。
その花たちを見ながら左に曲がると、長い長い廊下が見える。
歩いて行くと、右に左に部屋があるのが見えるけど・・・私の部屋は一番奥だ。
シンプルな木のドアが私の部屋のドア。
そのドアの前に立ち、ドアノブの手をかけた。
キィ・・・と軽く音を立てて開けると、そこには前に来た時と変わりない光景が広がっている。
美悠「毎日掃除してくれたんだろうなー・・・。」
埃一つ落ちてない床。
窓から射し込む光に、舞ってる埃も見えない。
美悠「適当でもいいのに。」
そう思いながらソファーに腰を下ろした。
それと同時にカチャカチャと食器の音を鳴らしながらメイドたちも入ってきた。
メイド「美悠さま、ドアくらい閉めないと。」
美悠「え?開いてた?」
メイド「開いてましたよっ。」
メイド「ココアにミルクは淹れますか?」
美悠「じゃあちょっとだけ。」
メイド「彼氏の話、聞かせてくださいよ?」
美悠「・・・ふふ、いいよ?むしろ聞いて?」
メイドたちは手慣れた感じにココアを入れていく。
各々が思うところに座って、ココアを口に含んだ。
私はソファー、私の隣に一人のメイド。
床に座るメイドもいるし、立ったまま飲むメイドもいる。
美悠「私の彼氏はね、警察官でーーーーーーーーー」
私は三門さんとのことを話した。
朝飛くんに驚いたことや、兄弟そろって警察官って職業なこと。
あと、いっぱいデートしたことを・・・。
メイド「えーっ!警察官!?」
メイド「結構年が離れてるんですねー・・・。」
美悠「それに強いよ?」
メイド「じゃあ美悠さまを安心して任せられますねっ。」
ふん!っと鼻をならしそうな勢いで言ったメイド。
私はクスクスと笑いながら、メイドたちの話も聞いた。
楽しい話はあっという間に過ぎるもので・・・私たちの話を遮るように、一人の執事が私の部屋に入ってきた。
コンコン・・・・
執事「あけっぱですよ、お嬢さま。」
美悠「わざとだよー。・・・どうしたの?」
執事「ご主人様と奥様がもうお着きになります。」
執事のその言葉を聞いて、メイドたちが慌て始める。
メイド「大変!」
メイド「すぐに戻らないと!」
そう言ってかちゃかちゃと食器を片付け始めた。
美悠「私も迎えに行くね。」
ココアを飲んでいた食器をメイドに預け、私はみんなと一緒に部屋を出た。
執事は玄関前に。
メイドたちはキッチンに。
私は・・・玄関の外だ。
美悠「もう来る?」
車のドアを開けてくれた執事も外で待機をしていた。
私の声に、執事は答える。
執事「もう間もなくですよ。・・・・っと、来ましたね。」
美悠「ほんとだ。」
家の門の方を見ると、うちの車が一台入ってきたのが見えた。
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