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看病。

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美悠「ここだ・・・。」




けーさつかんに教えてもらった住所を頼りに、私は三門さんのマンションにたどり着いた。

ほんとは道が分からなくなって、そこら辺の人に聞きまくってここにたどり着いたんだけど・・・そんなこと三門さんには言えない。





美悠「倒れてなんか・・・ないよね・・・?」



ドキドキしながら、私はインターホンを押した。





ピンポーン・・・・・





インターホンを押してから20秒ほど経った。

返事は・・・ない。





美悠「?・・・いない・・?」



病院に行ってるのかと思いながらも、私は玄関の前で立っていた。

すると・・・がちゃっと鍵が開いて・・・ドアがゆっくりと開けられた。



雄飛「美悠・・・なんでここ・・・わかった・・・?」




顔を赤くした三門さんがドアを開けて現れた。




美悠「!!・・・熱出したって聞いたから・・・看病にきた・・・。」

雄飛「うつるといけないから・・・帰りな?俺は大丈夫だから・・・。」

美悠「じゃ・・じゃあ、おじや置いたら帰るから・・・。」

雄飛「・・・・・。」





私はドアを引いて、玄関の中に入った。

三門さんは壁にもたれてて・・・すごくしんどそうだ・・。




美悠「寝てて・・・いいよ?キッチンに置いとくから・・。」

雄飛「悪い・・・。」




そう言ってふらふらと歩きながら寝室に行ったっぽい三門さん。

私はキッチンを探して、持ってきた一人用の土鍋をコンロに置いた。




美悠「洗い物・・・・。」



昨日のものか、今朝のものか・・・

マグカップやお皿が無造作にシンクに入れられてるのが目に入った。




美悠「洗っても・・怒られない?」



私はスポンジを手に取って、それらを洗い始めた。

備え付けのキッチンカウンターに、洗い物置きのカゴが見える。

そこに洗ったものを入れていった。




美悠「よし。そろそろ帰らないと・・・。」





三門さんに『うつるといけないから帰れ』と言われていた私。

でもここで・・・私は重要なことに気がついた。




美悠「待って・・・『鍵』って・・・どうすればいいの・・・?」




私が外に出ると、鍵をかける人がいない。

外から鍵をかけてポストに入れようにも・・・その鍵がどこにあるのかさえわからなかった。



美悠「困った・・・。」




三門さんの状態が回復するまでここにいるとして、私はリビングに入った。

無造作に脱ぎ捨てられてる服が・・・目に入る。




美悠「洗っちゃいけないものなんて・・・ないよね?」



怒られたら怒られた時。

そう思って私は脱ぎ捨てられた服たちを集めた。

洗面所を探して・・・洗濯機に放り込む。




美悠「この時間からでも乾くかな・・・。」




念のために『お急ぎボタン』を押して、洗剤を放り込んだ。

ゴウンゴウンと音を立てて洗濯を始める洗濯機。

その音で起こしてはいけないから、洗面所のドアを閉めた。




美悠「洗濯がおわるまで28分って表示されてたから・・終わる直前で電源切ったら終了の音は鳴らないよね。」




そう思って時間を確認し、リビングに戻った。

その後もいろいろ目に留まるものがあって・・・干し終わって乾いてる洗濯物を畳んだり・・・ゴミをまとめたり?

色々してるうちに洗濯も終わる時間になって、私は終了の音が鳴る前に洗濯機の電源を切った。

ハンガーに洗濯物を通してベランダに干して・・・することが無くなったから三門さんの様子を見に寝室にお邪魔することにした。







カチャ・・・・





美悠(寝てる・・・・。)




大きいベッドですぅすぅと眠ってる三門さんが見えた。

カーテンは閉められてて・・・でも遮光じゃないのか薄っすら光が入ってきてる。




美悠(熱・・・まだあるのかな・・・。)




そう思って三門さんのそばにいき、自分の掌を三門さんのおでこにそっと乗せた。




美悠(まだ熱い・・・。)



熱があることは間違いなさそうだ。




美悠(寝苦しくはなさそうだから・・・大丈夫かな。)




私は寝室から出て、洗面所に向かった。

ハンドタオルを一枚濡らして寝室に戻って・・・三門さんのおでこに乗せる。




美悠(はやく熱が下がりますように・・・・。)




私はベッド脇に座り込んだ。

熱くなってしまうタオルを、ひっくり返しながら三門さんの様子をみる。




美悠(早く・・・元気になりますように・・・。)




三門さんの様子を見てるうちにだんだんと眠くなってきた私。

ベッドに頭を置いて・・・・座ったまま私は夢の世界に旅立った。






ーーーーーーーーーーー







雄飛side・・・





雄飛「・・・・・・。」




おでこの上に何か乗ってる気がして、俺は目が覚めた。

手で触って確認すると・・・タオルだった。




雄飛「なんでタオルが・・・・?」




しかも濡れてるタオルだ。

自分で置いたとは思えない。


ベッドから体を起こしてみると、俺のベッドに頭を置いて・・・美悠が寝ている。






雄飛「え・・・なんで美悠が・・・・。」






おぼろげな記憶を手繰り寄せると・・・美悠がこの家に来たことを思い出した。





雄飛「たしかすぐに帰るって言ってたのに・・・・。」




そう思いながら美悠の身体を揺すった。




雄飛「美悠?起きて?」

美悠「・・・zzz。」




爆睡してしまってるのか、美悠は起きない。





雄飛「仕方ないな・・・。」




俺はベッドから下りて、美悠の身体を抱えた。

そのまま俺のベッドに寝かせて・・・布団をかける。



美悠「・・・zzz。」

雄飛「あー・・・随分体が楽になった・・・。」





自分の手でおでこをさわっても熱くない。

もう熱はすっかり下がったようだ。




雄飛「今・・・何時だ?」




美悠を寝室に寝かせたまま、俺はリビングに向かった。




雄飛「・・・片付いてる。」




散らかし放題だったはずのリビングがキレイになっていた。

キッチンのシンクにいれっぱの皿たちもきれいに洗われてる。

コンロには美悠が持って来たであろう土鍋が待機していた。





雄飛「美悠が・・・やってくれたのか。」




いい年した大人が大学生に家の片づけしてもらうとか・・・情けない気もした。

でも・・・嬉しかったりもする。




雄飛「ありがとな、美悠。」




俺は土鍋の蓋を開けて中を見た。

卵やネギが入った、美味そうなおじやが・・・食べてくれと言わんばかりに俺を見てる。




雄飛「美味そう・・・・・。」




身体が熱かったからか、冷たいものが欲しかった俺は、温めずにそのままダイニングに持っていって食べ始めた。

薄味だけど、体に優しい味がする。




雄飛「俺・・・幸せだな。」




彼女の看病。

彼女の上手い手料理。

ますます美悠のことが好きになっていく。




雄飛「またお礼しないと・・・。」




そんなことを考えながら俺はおじやを完食し、美悠を起こしに寝室に戻った。








ーーーーーーーーーー







雄飛「美悠?美悠ー?」




すぅすぅと眠ってる美悠を揺さぶって、少し強引に起こす。

どれくらいの時間を眠ってたのか分からないけど、美悠は今度はすんなり起きてくれた。




美悠「んー・・・。」

雄飛「おはよ。もう結構遅いけど・・・送ってくから・・。」




そう言うと美悠はがばっと身体を起こして俺を見た。



美悠「みっ・・三門さん・・熱は・・?」

雄飛「もう下がった。看病、ありがとな?」

美悠「ううん・・・・・あっ、勝手にいろいろしちゃったけど・・・。」

雄飛「助かった。ありがとう。」

美悠「えへへ・・・よかった。」





俺の熱下がったことが嬉しいのか、ふにゃふにゃと笑う美悠。

でもその表情は一瞬で・・・すぐに驚いた顔に変わった。




美悠「あれ!?なんで私ベッドに・・・?」

雄飛「座ったままじゃ寝にくいだろ?」

美悠「!?」

雄飛「ベッドに寝かせたけど美悠、起きないし・・・放っておいた(笑)」

美悠「えぇぇぇ・・・・。」

雄飛「ところで・・・もう日付が変わるからさ、送ってくよ。支度して?」





美悠は俺の言葉に驚いた。




美悠「日付が変わる!?」

雄飛「あと・・・5分くらいかな。夜遅いから送ってく。」

美悠「やっ・・!一人で帰れる・・・!」

雄飛「は?帰せるわけないだろ?こんな深夜に・・・。」

美悠「だって熱があった三門さんにそんなことさせれないよ・・・!」





俺のことを考えて『一人で帰る』と言ってくれる美悠。

一人で帰すことなんてできないに決まってるのに・・・美悠はきっと譲らない。




雄飛「じゃあ・・・・泊まってく・・?」















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