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久しぶり。

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美悠「・・・先生?ご無沙汰してます。」

師匠「おぉ・・!久しぶりだな!どうした?」

美悠「ちょっと・・・色々あって・・・今度遊びに行ってもいいですか?」



そう聞くとケータイ越しに先生の笑い声が聞こえてきた。



師匠「ははっ!誰かにやられでもしたか?(笑)」

美悠「う・・・まぁ・・・。」



負けず嫌いな私の性格をよく知ってる先生は、何があったのかを瞬時に悟ったようだった。




師匠「いつ遊びにきても構わないけど・・・今んとこ日曜日が稽古をしてなくてな。それ以外なら大丈夫だ。」

美悠「私も大学があるんで・・・土曜日がいいんですけど、何時からですか?」

師匠「土曜日は・・・13時から16時だな。いつでもいいぞ?」

美悠「お昼食べたらすぐ行きまーす。じゃ、失礼しまーす。」

師匠「あぁ。おやすみ。」ピッ・・・




ケータイを切ったあと、私は残りのご飯をばくばくっと口に放り込み、食器を下げた。

今度の土曜日のことを考えながら食器を洗っていく。




美悠「型の確認と、組手とー・・・あっ、久しぶりだから体もほぐさないとね。」





彼氏に浮気されていたことの憂さ晴らしを楽しみに私は今日を終えた。









ーーーーーーーーー








ーーーーーーーーーー










土曜日・・・







お昼ご飯を少し早めに食べた私は、電車に乗って師匠の道場に向かった。

住んでるアパートからは3駅ほどの距離に道場はある。




美悠「高校に入ってすぐに辞めたから・・・5年ぶりくらいかな?」





両親に進められて始めた格闘技。

それは私に合っていたみたいで・・・のめりこんでいった。




美悠「楽しみだなー・・・。」




電車に揺られながら、私は窓の外を眺めた。







ーーーーーーーーーー







美悠「うわ・・・変わってない(笑)」





通ってた道場についた私は、外観を見て昔のことを思い出した。

楽しすぎて毎週スキップしながらここまで来てたことを。





美悠「今ってどれくらい生徒さんがいるのかな。誰か試合してくれるかな(笑)」




そんなことを考えながら私はドアを開けて中に入った。






ガチャ・・・





美悠「・・・こんにちはー。」






入り口入ってすぐに見えた畳敷きの道場。

柔道も、空手も、剣道もしてるから、畳が敷かれている。

最近張り替えたところなのか、い草のいい匂いが道場の中を漂っていた。





美悠「わ・・・キレイー・・・。」





靴を脱いで、私は畳を足で踏んだ。

少しクッション性のある道場の床面。

小さいころはトレーニングを兼ねて、ここでコロコロ転がってたことを思い出す。






美悠「・・・ふふ。」





一人で思い出に浸ってると、奥にある『先生の部屋』のドアが開いた。





ガチャ・・・






美悠「!!」

師匠「お?美悠?」




出てきたのは私の『先生』だ。

私が通ってた頃と全く変わりない姿で道着を着てる。




美悠「・・・お久しぶりです、先生。」





そう言うと先生は畳の上をスタスタと歩いて私に向かってきた。

私も足を進めて先生のもとに向かう。





師匠「すっかりかわいくなっちゃって・・・今は女子大生か?」

美悠「そうですよ?勉強頑張ってます。」

師匠「そうかそうか!ま、息抜きに身体を動かすことも大事だからな!着替えて来い。」

美悠「はいっ。」





私は更衣室に行き、そこで着替えを済ませた。

辞めた時に大事に取って置いた道着は・・・きれいなままだ。





美悠「まぁ、そんな簡単に捨てれるものじゃないしね。」





ロッカーに荷物を入れて戻ると、小さい子供たちが10人ほど道場に来ていた。

適当に散らばって柔軟を始めてる。




美悠「私も一緒にしよっと。」




タオルを道場の端に置き、小さい子供たちに混ざりに行った。





師匠「1,2,3,4!」

子供たち「ごー、ろっく、しっち、はっち!」

美悠(懐かしっ!)



小さい子たちのマネをしながら体をほぐしてると、近くにいた男の子が私に話しかけてきた。




男の子「ねーねー、ねーちゃんも習ってんの?」

美悠「私?・・・私は前に習ってたんだよ?今日は久しぶりに来たの。」

男の子「へぇーっ、あとで俺の相手してよ!」

美悠「いいよ?」





男の子と練習の約束をしながら進めた柔軟体操。

終わった後はトレーニングや、さっきの男の子の相手、さらに先生にも相手をしてもらい、私の身体は十分に温まっていった。






美悠「ふー・・・。」





私が道場に来て2時間が経った頃、私は持って来たタオルで汗を拭いながら、休憩を兼ねて壁にもたれかかっていた。

すると先生がニコニコ笑いながら近づいてきて、私に言った。




師匠「どうだ?久しぶりの感想は?」

美悠「疲れますねー・・・でも楽しいっ。」

師匠「そうか、それはよかったな。・・・・っと、そろそろもう一人来る頃なんだけどな。」




そう言って先生は道場にある時計をチラッと見た。




美悠「もう一人?あと一時間くらいしかないですよ?」




今の時間は15時前。

今から来ても、柔軟してトレーニングしたら16時まであっという間だ。

ろくに試合もできない。





師匠「この1年くらい土曜日に来てる子なんだけど・・・軽く身体をほぐして私と何試合かして帰るんだよ。まぁ、子供たちの相手もしてくれるけどね。」

美悠「子供たちの相手ってことは・・・青年か大人?」

師匠「大人だよ。歳は確か・・・28歳だったっけな。」

美悠「へぇー・・・大人で習い事とか珍しい・・・。」

師匠「仕事で必要って言ってたけど・・・・あっ、来た来た。」





先生の声に私は道場の入り口を見た。




雄飛「こんにちはー。」





少し遠くに見える道場の入り口にいたのは、この前ショッピングモールで私の邪魔をしてきた人だった。









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