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病状の変化。
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ーーーーー
一華が倒れてから数日の時間が流れたある日、医局にいると桐生から電話がかかって来た。
その内容は・・・
『一華の病気が治るかもしれない!』
と、いうものだ。
「本当なのか!?」
電話だというのに思わず大声を出してしまった俺は辺りを見回し、人の少ない通路に入った。
「一体どういうことだ?」
『血液系に詳しい人に知り合いがいたから連絡したんだよ。で、一華のことを話したら『薬がある』って教えてくれて・・・』
「薬?俺が調べた限りでは存在しないぞ?」
確かに一華の症状で治る薬は存在しなかった。
だから足りないものを補うように調合した点滴でどうにか凌いできてたのだ。
『一華の病状が変わったんだよ!お前の調合した点滴に合わせて体が変わり始めてる!』
「え・・・?」
思っても見ない展開だ。
でもよくよく考えればこの前点滴をしたところなのに体調が悪くなるのはおかしなこと。
なら点滴が合わなくなってきてる可能性が高くなるのだ。
「・・お前の知り合いって・・・?」
『・・・『五十嵐 ちかさ』先生だ。』
「---っ!!」
『五十嵐先生』は血液系の権威と呼ばれてる先生だ。
国内トップの知識量を持ち、薬の組み合わせで患者を治していく。
オペが必要なのに体力がない患者や、事情があって外科的処置ができない患者を対象にして何千人と完治させてきた。
「おま・・・どこでどう繋がって『五十嵐先生』と・・・・」
そう聞くと桐生は少し悩んだかのように間をあけて話し始めた。
『・・・友達の親なんだよ。五十嵐先生。』
「・・・は!?」
『友達も医者で・・・って、こんな話はどうでもいいだろ。とにかく今から行くから!成分表ももらって来たし、確認したら一華に飲ませるぞ!』
そう言ったあと、電話はぷつっと切れた。
急な展開に頭がついていかない。
「え・・・?一華が治る・・・?」
治ると言うことは今まで一華が頑張って来たことが報われるということになる。
辛い点滴や、何度もお世話になった救急車から卒業できるのだ。
「---っ!・・・いや、一華にはまだ言わないほうがいいな。期待が裏切られるようなことになったら余計悲しいから。」
俺は今すぐ一華の病室に飛び込みたいのをぐっと堪え、桐生の到着を待つことにしたのだった。
ーーーーー
ーーーーー
一華side
「・・・え?飲み薬?」
体調がすぐれないまま入院をしていた私の元に、兄と桐生さんが薬を持ってきたのだ。
今まで点滴だったのに、急に飲み薬に変更になるらしい。
「ちょっと副作用があるけど、入院してる一華にとってはまぁ、気にするほどの副作用じゃない。」
「?・・・どういうこと?」
二人の説明ではこの薬は私の今の状況を打開する可能性が高いらしく、一日一回飲むことで病状は改善されていくとのことだ。
ただ、強烈な眠気が副作用のようで『要入院』という扱いで出る薬らしい。
「眠気・・・」
「恐らく20時間は眠ってしまう。でも1ヶ月ほどでだいぶ体はマシになるはずだ。・・・飲んでくれるか?」
小さな赤い錠剤を手に乗せて、桐生さんが差し出してきた。
まだ退院が決まってない私にとっては一日を寝て過ごそうが起きて過ごそうがどっちでも構わない。
なら、今の状況が少しでも良くなる方に時間をかけたい。
「・・・飲む。」
「わかった。食事が取れなさそうだったら点滴で栄養いれるし、何か他に副反応でたら対処療法する。点滴の針だけ入れておくからな。」
そう言って私の手の甲に太い針が装着された。
水と赤い錠剤を手渡され、私はその薬を飲み込んだ。
「眠くならなかったら起きてていいの?」
ベッドの背もたれにもたれるようにして座ったまま聞くと、兄と桐生さんはお互いに目を見合わせた。
「そりゃ起きてていいけど・・・」
「もう眠そうだぞ?一華。」
「え?」
その瞬間、私の体がぐっと重くなったような感じがした。
手に力が入らず、ベッドに体全体が沈んでいく。
「んぁ・・・・」
「おやすみ、一華。」
「起きたらナースコールしろよ?」
兄と桐生さんの言葉を最後に、私の意識は深いところに沈んでいったのだった。
一華が倒れてから数日の時間が流れたある日、医局にいると桐生から電話がかかって来た。
その内容は・・・
『一華の病気が治るかもしれない!』
と、いうものだ。
「本当なのか!?」
電話だというのに思わず大声を出してしまった俺は辺りを見回し、人の少ない通路に入った。
「一体どういうことだ?」
『血液系に詳しい人に知り合いがいたから連絡したんだよ。で、一華のことを話したら『薬がある』って教えてくれて・・・』
「薬?俺が調べた限りでは存在しないぞ?」
確かに一華の症状で治る薬は存在しなかった。
だから足りないものを補うように調合した点滴でどうにか凌いできてたのだ。
『一華の病状が変わったんだよ!お前の調合した点滴に合わせて体が変わり始めてる!』
「え・・・?」
思っても見ない展開だ。
でもよくよく考えればこの前点滴をしたところなのに体調が悪くなるのはおかしなこと。
なら点滴が合わなくなってきてる可能性が高くなるのだ。
「・・お前の知り合いって・・・?」
『・・・『五十嵐 ちかさ』先生だ。』
「---っ!!」
『五十嵐先生』は血液系の権威と呼ばれてる先生だ。
国内トップの知識量を持ち、薬の組み合わせで患者を治していく。
オペが必要なのに体力がない患者や、事情があって外科的処置ができない患者を対象にして何千人と完治させてきた。
「おま・・・どこでどう繋がって『五十嵐先生』と・・・・」
そう聞くと桐生は少し悩んだかのように間をあけて話し始めた。
『・・・友達の親なんだよ。五十嵐先生。』
「・・・は!?」
『友達も医者で・・・って、こんな話はどうでもいいだろ。とにかく今から行くから!成分表ももらって来たし、確認したら一華に飲ませるぞ!』
そう言ったあと、電話はぷつっと切れた。
急な展開に頭がついていかない。
「え・・・?一華が治る・・・?」
治ると言うことは今まで一華が頑張って来たことが報われるということになる。
辛い点滴や、何度もお世話になった救急車から卒業できるのだ。
「---っ!・・・いや、一華にはまだ言わないほうがいいな。期待が裏切られるようなことになったら余計悲しいから。」
俺は今すぐ一華の病室に飛び込みたいのをぐっと堪え、桐生の到着を待つことにしたのだった。
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一華side
「・・・え?飲み薬?」
体調がすぐれないまま入院をしていた私の元に、兄と桐生さんが薬を持ってきたのだ。
今まで点滴だったのに、急に飲み薬に変更になるらしい。
「ちょっと副作用があるけど、入院してる一華にとってはまぁ、気にするほどの副作用じゃない。」
「?・・・どういうこと?」
二人の説明ではこの薬は私の今の状況を打開する可能性が高いらしく、一日一回飲むことで病状は改善されていくとのことだ。
ただ、強烈な眠気が副作用のようで『要入院』という扱いで出る薬らしい。
「眠気・・・」
「恐らく20時間は眠ってしまう。でも1ヶ月ほどでだいぶ体はマシになるはずだ。・・・飲んでくれるか?」
小さな赤い錠剤を手に乗せて、桐生さんが差し出してきた。
まだ退院が決まってない私にとっては一日を寝て過ごそうが起きて過ごそうがどっちでも構わない。
なら、今の状況が少しでも良くなる方に時間をかけたい。
「・・・飲む。」
「わかった。食事が取れなさそうだったら点滴で栄養いれるし、何か他に副反応でたら対処療法する。点滴の針だけ入れておくからな。」
そう言って私の手の甲に太い針が装着された。
水と赤い錠剤を手渡され、私はその薬を飲み込んだ。
「眠くならなかったら起きてていいの?」
ベッドの背もたれにもたれるようにして座ったまま聞くと、兄と桐生さんはお互いに目を見合わせた。
「そりゃ起きてていいけど・・・」
「もう眠そうだぞ?一華。」
「え?」
その瞬間、私の体がぐっと重くなったような感じがした。
手に力が入らず、ベッドに体全体が沈んでいく。
「んぁ・・・・」
「おやすみ、一華。」
「起きたらナースコールしろよ?」
兄と桐生さんの言葉を最後に、私の意識は深いところに沈んでいったのだった。
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