好きすぎて、壊れるまで抱きたい。

すずなり。

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デート・・・?

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ーーーーー



大学の門のところからそんな昔のことを思い出してると、ふと目線の先に知った顔の女の子を見つけた。

あれは小森の妹の・・・一華だ。


「ここの大学だったのか。」


白いリュックを背負い、バインダーのようなものを左手に持ってる。

風になびくふわふわの髪の毛を耳に掛けながら、歩いていた。


「・・・。」


足首が見えるくらいの長さのピタッとしたパンツに、ふわっとしたTシャツ。

パーカーを羽織って、高さのある靴を履いている。


小森から『妹』って話を聞いてから彼女を見る目が変わってしまってる自分がいる。

もっと彼女のことを知りたい・・・そう考えてる。


「こんなおっさんじゃ相手にしてもらえないか。」


そう思いながら遠巻きに彼女を見てると、一人の男が彼女に近寄っていくのが見えた。

馴れ馴れしく彼女の肩を抱き、べたべたと身体を触ってる。

一華は嫌そうな顔をしながら耐えてるように見えた。


その光景に・・吐き気を覚えた。


「ちっ・・・!」


気がつけば俺は大学内に足を踏み入れていた。

スタスタと歩き進め、一華の前に立つ。

そして一華の肩にある男の手を払いのけた。


「!?・・・なにすんだよ!」

「それはこっちのセリフだ。一華が嫌がってるのがわかんないのか?」


そう言うと一華はこの男のことを睨んだ。

『迷惑』と言わんばかりに睨む姿に、男は気圧されたのか一歩ずつ下がっていく。


「ま・・・またな、小森。」


数歩下がったのち、男は踵を返すようにして走り去っていった。

一華は男が触ってたところを手でパッパッと払ってる。


「桐生先生、どうしてここに?」

「あぁ、散歩がてら買い物しようとしてたら学校見つけて思い出にふけってた。そしたら一華の姿が見えて・・・この大学だったんだな。」


そういうと一華は驚いた顔をしながら俺を見た。


「散歩って・・・もしかして桐生先生ってこの近くに住んでるんですか?」

「近くってわけじゃないけど・・・歩いて20分くらい?」

「!!・・・じゃあこの辺詳しいですか!?」


突然目を輝かせ始めた一華。

ずぃずぃ迫ってくる姿に俺が驚いた。


「お・・おぉ、求めてるほど詳しくはないかもしれないけど・・・どうした?」

「実はーーーーー」


一華はバインダーをチラッと見せてくれながら話始めた。

次回の教育実習が来月に迫ってきてること。

その時に『自分で用意したもので子供たちと遊ぶ』という課題があるらしく、その準備をしてるらしいことを。


「で?」

「絵本を・・・作ってるんですけど絵が・・・・」


そう言って見せてくれたバインダーの中身は、可愛い魚の絵がいくつか書かれていた。

カラフルな魚に、真っ黒の魚。

青いのもいれば赤いのもいる。

でも・・・


「・・・なんか物足りない?」

「!!・・・そうなんです!それが分からなくて・・・」


悩みながら自分の絵を見つめる一華。

俺はそんな彼女の疑問を解消してあげたくなり、一つ提案をした。


「なら・・・水族館行くか?」


この近く・・・ではないけど、車で30分くらいのところに小さなアクアリウムがあるのを知っていた。

そこなら魚もいるし、何が足りないのかわかるかもしれない。


「!!・・・一緒に!?」




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