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式。

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母「ほんとに結婚しちゃうなんてねー・・・。」

父「子供の成長は早いものだ。」




小さな海沿いのチャペルで挙式することが決まった俺たちは親族のみって形で式を挙げる。

この小さなチャペルは壁が全てガラス張りになっている。

・・・まるで海の上に立ってるかのような感じに・・りらが一目ぼれしたのだ。





秋臣「立派な披露宴とかできなくてごめん・・・。」

母「あら、素敵なチャペルよ?秋臣もりらちゃんも幸せねー。」

秋臣「・・・そうだね。」





お金はあるものの、誰も呼ぶことはできない。

でも唯一、翼だけは呼ぶことにした。



翼「まさかほんとに結婚するとは思わなかったけどな。」



制服姿で参列してくれた翼。

『一生の友達』なら呼ばないわけにはいかない。

だってこの式は俺とりらの人生で・・・たった一回しかない結婚式だから。



秋臣「悪いな。」

翼「いいって。写真、いっぱい撮って卒業式の日に校内中にバラまくから(笑)」

秋臣「ははっ。」




そんな話をしながら待つ俺は制服姿じゃない。

シルバーのタキシードに身を包んでる。




秋臣「男は選ぶの少ないんだよな。」




基本的に白、黒、シルバーしかない。




翼「メインは花嫁なんだからな?」

秋臣「わかってるって。」




そう翼に答えた時、牧師さんが口を開いた。



牧師「新婦の入場です。」



がちゃっと音を立てて開かれた教会のドア。

大きな木製のドアのところに・・・真っ白なウエディングドレスに身を包んだりらが・・・お兄さんと一緒に入ってきた。




翼「うわっ・・・めっちゃキレイ・・・。」

母「まぁまぁっ・・!」

父「おぉ・・・若いっていいな。」





一歩一歩・・・ゆっくりと歩いてくる。

今までお兄さんと歩んできた人生を振り返るように、二人は顔を見合わせて微笑んでいた。




二人が俺の前まで来たとき、俺はお兄さんと深く礼をした。

りらの手はお兄さんから離れ・・・俺に移る。




秋臣「・・・きれいだよ?」

りら「ふふっ。オミくんもかっこいいよ?」




長くて真っ直ぐな髪の毛をきっちり結わえてて・・・すごく大人っぽくなってる。

首元までレースであしらわれたウエディングドレスが大人っぽさを加速させてていつもとは全く違う雰囲気を出してる。




りら「あのね?手術の痕があるから・・・肌が出るドレスは着れなくて・・・」






ドレス選びは同行してたものの、りらがドレスを着たところは一度も見てなかった。

『ナイショ』と言ってたけど・・・さっきの言葉からは俺に胸の傷を見られたくなかったんだろう。





秋臣「そのドレス、すっごく似合ってる。」






二人で牧師さんを見てから・・・参列者のほうに身体を向けた。




牧師「この二人は、皆さんに向けて誓いの言葉をたてます。どうぞお聞きください。」




本当なら俺から言うのが普通なんだろうけど、俺はりらから言って欲しかった。

だからりらを見つめて・・・聞いた。




秋臣「りらからでもいい?」

りら「?・・・うん。」




りらは一人一人の目を見ながら・・・ゆっくりと言葉を紡いだ。



りら「私、中谷りらは・・・秋臣くんのことをずっと・・・ずーっと好きでいることを誓います。病気は治らないけど・・・1日でも長くオミくんと一緒にいられるように、全力で頑張ります。だから・・・私の命が終わるまでの間・・私とオミくんのことを見守っていただけたら・・・嬉しいです。」




りらの言葉の意味を分かってる俺の親と・・・りらのお兄さんは涙を堪えていた。

ここで涙を流してしまっては式が台無しになる。

3人は必死に耐えた。



秋臣「俺は・・・中谷りらを一生愛します。例えりらが俺の前から姿を消しても・・・俺の想いは変わらない。ずっとずっと愛し続けることを・・・みんなの前で誓います。あと、できるだけケンカはしません。りらの寝相がどれだけ悪くても耐えて見せます。」

りら「!?」

秋臣「大好きだよ、りら。」



牧師「それでは指輪を。」



みんなの前で誓ったあと、俺たちは指輪の交換をした。

りらが選んだ超シンプルな結婚指輪。

お互いの指にはめて・・・俺たちは式を終えた。





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りら「もうっ・・!私、寝相悪くないからねっ!?」





式の後でりらが怒りながら俺に詰め寄ってきた。

まだドレスを脱いでないりら。

化粧をしたかわいい顔が俺に迫ってくる。




秋臣「それは寝てみないとわからないだろ?」

りら「え?」

秋臣「いつか俺もりらの部屋で寝るからな?」

りら「!?」

秋臣「夫婦はいつも一緒にいないとなー?」

りら「!?!?」





驚きのあまり、鯉みたいに口をぱくぱくさせてるりら。

そんなりらを着替えの部屋に放り込み、スタッフさんにお願いした。

俺も別室でタキシードを脱ぐ。





秋臣(・・・かわいいやつ。)



実は内々でお兄さんに相談していた同居生活。

りらが病院から出れないことはわかってた。

なら俺がりらの部屋に住めばいいって話になったのだ。



秋臣(驚いてたなー・・・新婚旅行とかしたいけど・・・それは無理だろうし。)




『家族になるのだから』といって、りらのお兄さんが俺に教えてくれたことがある。

それは・・・りらの命の期限が迫ってきてることだ。




秋臣(もってあと1年・・・。)




信じたくはないけど、りらの発作が頻繁に起こり始めてることも事実。

そのうち薬の量が増えるだろう。




秋臣(残された時間で・・・りらの悔いが残らないように・・・。)




頭の中でいろいろ考えながら・・・俺は着替えを済ませ、りらの着替えが終わるのを待った。












この時、勘のいい翼がりらの余命に気づいたことに気づかずに・・・。







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