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黙ってたわけじゃないけど黙っててごめん。
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ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
翌週・・・土曜日。
りらを病院に迎えに行き、手をつないで街にくりだした。
久しぶりの外だからか、りらは少し興奮気味だ。
りら「へへっ、外だ外だっ。」
秋臣「無理すんなよ?体調が悪くなったらすぐに言えよ?」
りら「わかてるよぉっ。・・・どこいくの?」
秋臣「ナイショ。」
駅に向かい、電車に乗り・・・目的地に・・・向かう。
ーーーーーーーーーー
りら「・・・・・ここ?」
ついたところはライブハウス。
貸しきりの予約をしておいたところだ。
秋臣「ここ。」
りらはライブハウスを見上げて固まってる。
どうも初めてライブハウスを見たみたいだった。
りら「私・・・ライブって初めてなんだけど・・・なんでライブ?」
秋臣「今日はりらが好きなバンドが来るんだよ。」
りら「?・・・私が好きなバンド?クレセントがこんなとこに来るとは思えないんだけど・・・?」
雄星が所属するバンド『クレセント』は全国をツアーで回ってる。
何万人も動員して・・・十代や二十代の人たちの間で知らない者はいないほどの人気だ。
俺はりらの手を引いて、ライブハウスの中に入った。
秋臣「クレセントもスタートはライブハウスからだったの知ってる?」
りら「そうなの?」
秋臣「うん。最初は・・・ほとんどお客さんがいなくて・・・『向いてない』『やっていけない』って思うことが多かったんだって。」
りら「へぇー・・・。」
中に二つ置いてある椅子。
その椅子にりらを座らせて・・・ステージを見させた。
秋臣「それで・・・このライブハウスがクレセントが有名になったきっかけの場所。」
りら「そうなの!?」
秋臣「そう。だからここで・・・聞いて欲しいことがある。」
りら「聞いて欲しいこと?」
秋臣「りらが病気をナイショにしてるように・・・俺にも内緒ごとがある。それは親と学校と・・・翼しかしらないことなんだよ。」
りら「私と一緒なの?・・・わかんないけど・・・ちゃんと聞くよ?。」
俺はりらの隣に座った。
ほどなくして照明が軽く落ちて・・・雄星たち『クレセント』がステージに現れる。
雄星「・・・今日はライブに来てくれてありがとう。」
雄星の声を聞いて・・・りらが驚きながら俺を見た。
りら「!!・・・クレセントの雄星!?」
雄星「当たり(笑)小さめな音で弾くからもし気分が悪くなったら言えよ?」
りらは言葉を失って・・・顔を上下に振って答えた。
雄星「おっけ(笑)じゃあ最初の曲から!」
♬♪♬!
流れる音は家で聞くくらいの音量だ。
身体でビートを感じるくらいは響かない。
客もりら一人。
盛り上がるわけがない。
でも・・・
りらは目を輝かせながら見入っていた。
両手で口元を隠して・・・足をぱたぱたさせながら。
秋臣(嬉しそう。)
そんなりらの姿を見てるうちに1曲目が終わり・・・雄星が俺を呼んだ。
雄星「・・・・オミ!」
りら「!?」
秋臣「・・・ちょっと行ってくる。」
りら「え!?・・・え!?」
『訳がわからない』って顔であちこちを見てるりら。
俺は椅子から立ち上がり、そのままステージに上がった。
雄星「次はピアノがメインなんだよ。」
りら「・・・ピアノ!?」
雄星「オミが弾いてくれるからちょっと待ってな?」
俺は用意してもらってたピアノの椅子に座って・・・鍵盤を押し始めた。
♪~・・・♬♫♪ー・・・
りら「わ・・・きれい・・・。」
俺のピアノに合わせてボーカルが言葉を乗せていく。
ときどきりらを見ると・・・りらはずっと『俺』を見てくれていた。
演奏が終わるまで・・・ずーっと・・。
ーーーーーーーーーー
りら「すごいっ・・・!」
曲が終わると、りらはこれでもかってくらい拍手をしてくれ・・・椅子から立ち上がっていた。
りら「なんで!?なんでクレセントの雄星がオミくんのことを知ってるの!?」
雄星「それは・・・・」
秋臣「クレセントの曲は俺が作ったからなんだよ。」
そう言うと拍手をしていたりらの手が止まった。
りら「え・・・・?」
雄星「俺たちクレセントが売れたのは・・・秋臣の曲をもらったからなんだよ。作曲は秋臣だ。」
りら「嘘っ・・・。」
秋臣「本当。」
りら「だってさっきの曲・・・2年くらい前の曲だよ!?」
秋臣「中学に入ったころから作ってる。もう辞めてたんだけど・・・最近活動を再開し始めたんだ。」
りらは両手を口に当てて・・・目を見開いた。
俺と雄星を交互に見てる。
りら「じゃ・・じゃあ、私が好きな曲ってもしかして・・・全部・・・・・」
秋臣「・・・俺の曲だった。」
りら「!?」
秋臣「作曲を再開するつもりはなかったんだ。でも・・・りらと付き合えることになって・・・音が止まんなくなって・・・」
りら「私!?」
秋臣「また作り始めた。・・・黙ってたわけじゃなかったんだけど・・・黙っててごめん。」
そういうとりらは・・・口元にあてていた手を外して胸の辺りでぎゅっと握った。
顔は俺の方を向いて・・・言った。
りら「もっと・・・聞かせてもらっていい?」
秋臣「!!・・・あとは雄星たち『クレセント』に任せるよ。一緒に聞こう?」
そういうとりらは椅子に座って、俺の席をぽんぽんっと叩いた。
りら「うんうんっ!!」
秋臣「雄星、頼んだ。」
雄星「おっけ!じゃあ今日は時間の限り聞いてくれよ?」
俺が作った曲を演奏するクレセント。
それをりらは目を輝かせて見てる。
秋臣(雄星たちに頼んでよかった。)
たった30分だけど俺の為に空けてくれたクレセントに感謝しながら、俺とりらはこの時間を目一杯楽しんだ。
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翌週・・・土曜日。
りらを病院に迎えに行き、手をつないで街にくりだした。
久しぶりの外だからか、りらは少し興奮気味だ。
りら「へへっ、外だ外だっ。」
秋臣「無理すんなよ?体調が悪くなったらすぐに言えよ?」
りら「わかてるよぉっ。・・・どこいくの?」
秋臣「ナイショ。」
駅に向かい、電車に乗り・・・目的地に・・・向かう。
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りら「・・・・・ここ?」
ついたところはライブハウス。
貸しきりの予約をしておいたところだ。
秋臣「ここ。」
りらはライブハウスを見上げて固まってる。
どうも初めてライブハウスを見たみたいだった。
りら「私・・・ライブって初めてなんだけど・・・なんでライブ?」
秋臣「今日はりらが好きなバンドが来るんだよ。」
りら「?・・・私が好きなバンド?クレセントがこんなとこに来るとは思えないんだけど・・・?」
雄星が所属するバンド『クレセント』は全国をツアーで回ってる。
何万人も動員して・・・十代や二十代の人たちの間で知らない者はいないほどの人気だ。
俺はりらの手を引いて、ライブハウスの中に入った。
秋臣「クレセントもスタートはライブハウスからだったの知ってる?」
りら「そうなの?」
秋臣「うん。最初は・・・ほとんどお客さんがいなくて・・・『向いてない』『やっていけない』って思うことが多かったんだって。」
りら「へぇー・・・。」
中に二つ置いてある椅子。
その椅子にりらを座らせて・・・ステージを見させた。
秋臣「それで・・・このライブハウスがクレセントが有名になったきっかけの場所。」
りら「そうなの!?」
秋臣「そう。だからここで・・・聞いて欲しいことがある。」
りら「聞いて欲しいこと?」
秋臣「りらが病気をナイショにしてるように・・・俺にも内緒ごとがある。それは親と学校と・・・翼しかしらないことなんだよ。」
りら「私と一緒なの?・・・わかんないけど・・・ちゃんと聞くよ?。」
俺はりらの隣に座った。
ほどなくして照明が軽く落ちて・・・雄星たち『クレセント』がステージに現れる。
雄星「・・・今日はライブに来てくれてありがとう。」
雄星の声を聞いて・・・りらが驚きながら俺を見た。
りら「!!・・・クレセントの雄星!?」
雄星「当たり(笑)小さめな音で弾くからもし気分が悪くなったら言えよ?」
りらは言葉を失って・・・顔を上下に振って答えた。
雄星「おっけ(笑)じゃあ最初の曲から!」
♬♪♬!
流れる音は家で聞くくらいの音量だ。
身体でビートを感じるくらいは響かない。
客もりら一人。
盛り上がるわけがない。
でも・・・
りらは目を輝かせながら見入っていた。
両手で口元を隠して・・・足をぱたぱたさせながら。
秋臣(嬉しそう。)
そんなりらの姿を見てるうちに1曲目が終わり・・・雄星が俺を呼んだ。
雄星「・・・・オミ!」
りら「!?」
秋臣「・・・ちょっと行ってくる。」
りら「え!?・・・え!?」
『訳がわからない』って顔であちこちを見てるりら。
俺は椅子から立ち上がり、そのままステージに上がった。
雄星「次はピアノがメインなんだよ。」
りら「・・・ピアノ!?」
雄星「オミが弾いてくれるからちょっと待ってな?」
俺は用意してもらってたピアノの椅子に座って・・・鍵盤を押し始めた。
♪~・・・♬♫♪ー・・・
りら「わ・・・きれい・・・。」
俺のピアノに合わせてボーカルが言葉を乗せていく。
ときどきりらを見ると・・・りらはずっと『俺』を見てくれていた。
演奏が終わるまで・・・ずーっと・・。
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りら「すごいっ・・・!」
曲が終わると、りらはこれでもかってくらい拍手をしてくれ・・・椅子から立ち上がっていた。
りら「なんで!?なんでクレセントの雄星がオミくんのことを知ってるの!?」
雄星「それは・・・・」
秋臣「クレセントの曲は俺が作ったからなんだよ。」
そう言うと拍手をしていたりらの手が止まった。
りら「え・・・・?」
雄星「俺たちクレセントが売れたのは・・・秋臣の曲をもらったからなんだよ。作曲は秋臣だ。」
りら「嘘っ・・・。」
秋臣「本当。」
りら「だってさっきの曲・・・2年くらい前の曲だよ!?」
秋臣「中学に入ったころから作ってる。もう辞めてたんだけど・・・最近活動を再開し始めたんだ。」
りらは両手を口に当てて・・・目を見開いた。
俺と雄星を交互に見てる。
りら「じゃ・・じゃあ、私が好きな曲ってもしかして・・・全部・・・・・」
秋臣「・・・俺の曲だった。」
りら「!?」
秋臣「作曲を再開するつもりはなかったんだ。でも・・・りらと付き合えることになって・・・音が止まんなくなって・・・」
りら「私!?」
秋臣「また作り始めた。・・・黙ってたわけじゃなかったんだけど・・・黙っててごめん。」
そういうとりらは・・・口元にあてていた手を外して胸の辺りでぎゅっと握った。
顔は俺の方を向いて・・・言った。
りら「もっと・・・聞かせてもらっていい?」
秋臣「!!・・・あとは雄星たち『クレセント』に任せるよ。一緒に聞こう?」
そういうとりらは椅子に座って、俺の席をぽんぽんっと叩いた。
りら「うんうんっ!!」
秋臣「雄星、頼んだ。」
雄星「おっけ!じゃあ今日は時間の限り聞いてくれよ?」
俺が作った曲を演奏するクレセント。
それをりらは目を輝かせて見てる。
秋臣(雄星たちに頼んでよかった。)
たった30分だけど俺の為に空けてくれたクレセントに感謝しながら、俺とりらはこの時間を目一杯楽しんだ。
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