24 / 56
両方の想い。
しおりを挟む
翌日・・・
朝早くに学校に行った私は職員室に立ち寄った。
この前受けた『前倒しテスト』の結果を聞くために。
コンコン・・・ガラガラ・・・
りら「失礼します。おはようございます。」
まだ数人しかいない職員室。
入る前に担任がいる机を見ると、そこに工藤くんの姿があった。
りら(工藤くん?あ、テストの結果かな?)
職員室の中に入り、担任の元にいくと工藤くんが私に気がついて振り返ってくれた。
秋臣「あ、おはよ。」
りら「おはよう。どうしたの?工藤くん。」
秋臣「テストの結果聞いたから次の範囲もらってた。」
りら「!!・・・合格したんだ!おめでとう。」
秋臣「ありがと。じゃあ、俺戻るわ。」
工藤くんはもらったであろうプリントをひらひらと振りながら職員室から出て行った。
担任「中谷も結果か?」
りら「はいっ。」
担任「お前も合格。次の範囲、いるか?」
りら「もちろんっ!」
私も次の範囲をもらい、職員室を出る。
職員室を出ると、出たところで工藤くんが壁にもたれながら立っていた。
りら「?」
秋臣「中谷も合格なんだろ?」
りら「う・・うん。」
秋臣「はー・・追いつくのはいつになるやら・・・。」
ぶつぶつ言いながら歩き出した工藤くんの後ろをついていく。
りら「・・・私に追いつくようにテスト受けてるの?」
さっきの言葉から考えたらそうとしか思えなかった。
秋臣「そうだけど?」
りら「なんで?」
秋臣「なんでって・・・。」
彼は歩いてた足を止めた。
秋臣「まぁ・・・病気のことを聞いて・・・純粋に『守りたい』って思ったんだけど・・・成績で負けてたら守れないかなーって思って・・?」
りら「えぇ?」
秋臣「告白する前にテスト追いつきたかったけど・・・どうしても『好きだ』って言いたくなって。」
りら「そ・・・そうなんだ・・。」
さらっ言うその姿があまりにも清々しく、なんだかおかしく思えた。
りら「・・・あははっ。」
秋臣「?・・・どうした?」
りら「ううん?・・・あ、今日部屋に来てくれる?ちゃんと返事するから・・・。」
秋臣「!!・・・わかった。」
工藤くんは先に歩き始めた。
・・・ちゃんと話をして・・・それでもいいって言ってくれたら・・・『付き合いたい』って伝える。
そう心に決めて、私も教室に向かって歩き始めた。
ーーーーーーーーーー
りら(今日四時間目体育だった・・・。)
朝からテストの結果を聞くことで頭が一杯だった私。
体育のことはすっかり忘れていた。
りら(あんまり動かない内容だったらいいけど・・・。)
そう思いながら授業を受けていき、
四時間目・・・・
先生「今日は陸上しまーす。短距離を何回か走って記録取るので、各自番号順に並んでー。」
りら(まさかの短距離!)
風を切る疾走感みたいな感覚を得られる短距離は好きだけど、息があがる種目なことは間違いない。
りら(まー・・2・3回くらいなら平気かな?)
そう思いながら列に並び、順番を待つ。
番号の早い工藤くんが先にスタートしていた。
りら(すごい・・・速い・・・。)
さすが男子・・・なのか、1位でゴールしてる姿が見えた。
体操服で汗を拭ってる。
りら(・・・かっこいい。)
どきどきと胸が高鳴ってる中、私の順番が来た。
先生「よーい・・・スタートっ!」
5人で一気に走りだす。
最初こそはみんな一列で走ってたけど、すぐに遅くなってしまった私。
あっという間にみんなに置いていかれ、ダントツに遅くゴールした。
りら「はぁっ・・はぁっ・・・。」
生徒「・・りらちゃん、随分息が上がってるけど・・大丈夫?」
心配して私の側に来てくれたクラスの子。
私は必死に息を整えながら答える。
りら「はぁっ・・・はぁっ・・・だいっ・・じょうぶっ・・。」
生徒「人数も多いし・・・あと一回走ったら終わりかなー。」
りら(あと一回なら・・・。)
スタート位置に戻るために歩いてると、工藤くんがこっそり近づいてきた。
秋臣「・・・大丈夫か?」
りら「・・・大丈夫。」
秋臣「無理するなよ?」
りら「うん。」
さっきよりもゆっくり走れば大丈夫な気がした。
流れ作業のように進む隊列。
思いのほか早くに順番が来て、私はもう一度走った。
今度はわざとゆっくりめに。
りら「はぁっ・・!はぁっ・・!」
なんとかゴールをし、その場で息を整える。
どくどくと波打つ心臓に、治まることを要求しながら・・・。
りら(大丈夫・・・治まって・・・。)
まだ二回目を走ってないクラスメイト達が走る中、
私は歩き、先生の陰に隠れた。
息が整うまでの間、隠れ蓑にさせてもらう。
先生「大丈夫?」
こそっと聞いてくれた先生。
先生が聞いてくれた時にはもう息はだいぶ整っていた。
りら「大丈夫ですー。」
そう言って隠れ蓑から出て、私は歩くクラスメイトたちに紛れ、みんなのとこに戻った。
朝早くに学校に行った私は職員室に立ち寄った。
この前受けた『前倒しテスト』の結果を聞くために。
コンコン・・・ガラガラ・・・
りら「失礼します。おはようございます。」
まだ数人しかいない職員室。
入る前に担任がいる机を見ると、そこに工藤くんの姿があった。
りら(工藤くん?あ、テストの結果かな?)
職員室の中に入り、担任の元にいくと工藤くんが私に気がついて振り返ってくれた。
秋臣「あ、おはよ。」
りら「おはよう。どうしたの?工藤くん。」
秋臣「テストの結果聞いたから次の範囲もらってた。」
りら「!!・・・合格したんだ!おめでとう。」
秋臣「ありがと。じゃあ、俺戻るわ。」
工藤くんはもらったであろうプリントをひらひらと振りながら職員室から出て行った。
担任「中谷も結果か?」
りら「はいっ。」
担任「お前も合格。次の範囲、いるか?」
りら「もちろんっ!」
私も次の範囲をもらい、職員室を出る。
職員室を出ると、出たところで工藤くんが壁にもたれながら立っていた。
りら「?」
秋臣「中谷も合格なんだろ?」
りら「う・・うん。」
秋臣「はー・・追いつくのはいつになるやら・・・。」
ぶつぶつ言いながら歩き出した工藤くんの後ろをついていく。
りら「・・・私に追いつくようにテスト受けてるの?」
さっきの言葉から考えたらそうとしか思えなかった。
秋臣「そうだけど?」
りら「なんで?」
秋臣「なんでって・・・。」
彼は歩いてた足を止めた。
秋臣「まぁ・・・病気のことを聞いて・・・純粋に『守りたい』って思ったんだけど・・・成績で負けてたら守れないかなーって思って・・?」
りら「えぇ?」
秋臣「告白する前にテスト追いつきたかったけど・・・どうしても『好きだ』って言いたくなって。」
りら「そ・・・そうなんだ・・。」
さらっ言うその姿があまりにも清々しく、なんだかおかしく思えた。
りら「・・・あははっ。」
秋臣「?・・・どうした?」
りら「ううん?・・・あ、今日部屋に来てくれる?ちゃんと返事するから・・・。」
秋臣「!!・・・わかった。」
工藤くんは先に歩き始めた。
・・・ちゃんと話をして・・・それでもいいって言ってくれたら・・・『付き合いたい』って伝える。
そう心に決めて、私も教室に向かって歩き始めた。
ーーーーーーーーーー
りら(今日四時間目体育だった・・・。)
朝からテストの結果を聞くことで頭が一杯だった私。
体育のことはすっかり忘れていた。
りら(あんまり動かない内容だったらいいけど・・・。)
そう思いながら授業を受けていき、
四時間目・・・・
先生「今日は陸上しまーす。短距離を何回か走って記録取るので、各自番号順に並んでー。」
りら(まさかの短距離!)
風を切る疾走感みたいな感覚を得られる短距離は好きだけど、息があがる種目なことは間違いない。
りら(まー・・2・3回くらいなら平気かな?)
そう思いながら列に並び、順番を待つ。
番号の早い工藤くんが先にスタートしていた。
りら(すごい・・・速い・・・。)
さすが男子・・・なのか、1位でゴールしてる姿が見えた。
体操服で汗を拭ってる。
りら(・・・かっこいい。)
どきどきと胸が高鳴ってる中、私の順番が来た。
先生「よーい・・・スタートっ!」
5人で一気に走りだす。
最初こそはみんな一列で走ってたけど、すぐに遅くなってしまった私。
あっという間にみんなに置いていかれ、ダントツに遅くゴールした。
りら「はぁっ・・はぁっ・・・。」
生徒「・・りらちゃん、随分息が上がってるけど・・大丈夫?」
心配して私の側に来てくれたクラスの子。
私は必死に息を整えながら答える。
りら「はぁっ・・・はぁっ・・・だいっ・・じょうぶっ・・。」
生徒「人数も多いし・・・あと一回走ったら終わりかなー。」
りら(あと一回なら・・・。)
スタート位置に戻るために歩いてると、工藤くんがこっそり近づいてきた。
秋臣「・・・大丈夫か?」
りら「・・・大丈夫。」
秋臣「無理するなよ?」
りら「うん。」
さっきよりもゆっくり走れば大丈夫な気がした。
流れ作業のように進む隊列。
思いのほか早くに順番が来て、私はもう一度走った。
今度はわざとゆっくりめに。
りら「はぁっ・・!はぁっ・・!」
なんとかゴールをし、その場で息を整える。
どくどくと波打つ心臓に、治まることを要求しながら・・・。
りら(大丈夫・・・治まって・・・。)
まだ二回目を走ってないクラスメイト達が走る中、
私は歩き、先生の陰に隠れた。
息が整うまでの間、隠れ蓑にさせてもらう。
先生「大丈夫?」
こそっと聞いてくれた先生。
先生が聞いてくれた時にはもう息はだいぶ整っていた。
りら「大丈夫ですー。」
そう言って隠れ蓑から出て、私は歩くクラスメイトたちに紛れ、みんなのとこに戻った。
10
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

虚弱なヤクザの駆け込み寺
菅井群青
恋愛
突然ドアが開いたとおもったらヤクザが抱えられてやってきた。
「今すぐ立てるようにしろ、さもなければ──」
「脅してる場合ですか?」
ギックリ腰ばかりを繰り返すヤクザの組長と、治療の相性が良かったために気に入られ、ヤクザ御用達の鍼灸院と化してしまった院に軟禁されてしまった女の話。
※なろう、カクヨムでも投稿

実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

「ご褒美ください」とわんこ系義弟が離れない
橋本彩里(Ayari)
恋愛
六歳の時に伯爵家の養子として引き取られたイーサンは、年頃になっても一つ上の義理の姉のミラが大好きだとじゃれてくる。
そんななか、投資に失敗した父の借金の代わりにとミラに見合いの話が浮上し、義姉が大好きなわんこ系義弟が「ご褒美ください」と迫ってきて……。
1~2万文字の短編予定→中編に変更します。
いつもながらの溺愛執着ものです。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
あの頃に戻れたら、会いたいだけで会いに行ける
川原にゃこ
恋愛
文官アルドリック・オルテガと女官メルロスは誰もが羨む恋仲であった。もう三つの春を共に過ごしたのだから、その付き合いは長い。そもそもの始まりは堅物のアルドリックの方からメルロスに何度も何度も熱っぽく求愛したのだから、何とも分からないものである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる