死が二人を別こうとも。

すずなり。

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一緒に勉強。

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病院に着いた俺は、中谷の部屋に入れてもらった。

二度目だけど・・・豪華な病室は見慣れない。



りら「ソファーでいい?」

秋臣「うん。参考書見るだけでもいい。」

りら「わかんないとこあったら言って?教えれるかもしれないし。」

秋臣「さんきゅ。」




いくつかの参考書を持ってきてくれた中谷。

俺はそのタイトルを片っ端から覚えていった。



秋臣(あとで買って帰ろ。)



一冊を手に取ってペラペラとめくっていく。

軽く見るつもりだったのに、その内容の難しさに思わずガン見してしまう。


秋臣(・・・こんな内容やってんのか?)



国立大にいけるようなレベルの内容。

あまりの難しさに中谷を見た。



りら「うん?」

秋臣「中谷ってさ・・・将来何になるつもり?」

りら「え?」

秋臣「こんな難しいの勉強して・・・やっぱ医者?お兄さんも医者だし。」




ペラペラめくりながら聞くと、意外な答えが返ってきた。




りら「私は・・・お嫁さんかな?」

秋臣「お嫁さん?」

りら「うん。」

秋臣「へぇー・・・。あ、これわかんない。」

りら「どれ?・・・あ、これはーーーーー」






丁寧に分かるように説明してくれる中谷。

これなら教師も向いてそうだけど・・・



秋臣(心臓が悪いと職業の制限もあるのかな。)



そんなことを考えながら中谷の説明を聞いてると、病室のドアが開いた。



ガチャ・・・



葵「りら、晩御飯だけど洋食と和食どっちがいい・・・・って来てたのか。」

秋臣「オジャマシテマス。」



お兄さんが病室に入ってきた。

俺の前に積んである参考書を見てる。



葵「勉強?」

秋臣「はい。俺も前倒しテスト受けようと思って。」

葵「へぇー・・・がんばれ。・・・りら、どっちがいい?」

りら「和食ー。」

葵「おっけ。ごゆっくり。」




ドアを閉めて出て行ったお兄さん。

こうしてみるとほんとに家に来たみたいだ。



秋臣「そういえばさ・・・中谷って昼の弁当どうしてんの?」

りら「病院食の詰め合わせだよ(笑)」

秋臣「食べちゃいけないものとかあんの?」

りら「糖分の多い物、塩分の多い物、味の濃いもの・・・とか?」




ほぼ全部のような気がするのは気のせいだろうか・・・。




秋臣「そっか。」

りら「お弁当の交換とかよく話題に出るけど避けるのが結構大変で・・・。」

秋臣「あー・・女子はそんなん好きだもんな。」

りら「なんとかかわしてる(笑)。」




病気のことを聞きながら勉強のことも聞く。

いろんな話をたくさんしてると時間が過ぎるのは早くて・・・

部屋に中谷のご飯が運ばれて来てしまった。




コンコン・・・ガチャ・・・




葵「りら、メシ。」




お兄さんがご飯を持って部屋に入ってきた。

俺は自分の腕時計で時間を確認する。




秋臣「あ・・・19時。」

りら「もう?」

秋臣「うん。・・・俺、帰る。今日はありがとな。」



鞄を手に取り、ソファーから立ち上がった。



秋臣「また明日。」

りら「うん。また明日。」

秋臣「お邪魔しました。」




俺は部屋を出て歩き始める。

帰りに本屋に寄って、中谷と同じ参考書を買い、帰路についた。







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