死が二人を別こうとも。

すずなり。

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折り紙の鶴。

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高校3年生の2月。



卒業を翌月に控えてるこの時期。



授業のある平日の昼間に・・・俺は電車に乗っていた。



乗客の少ない車内。

長い椅子に座ってぼーっと足元を見ていた。


ガタンッ・・・と電車が大きく揺れたとき、その衝撃で現実に戻り目線を上げた。

後ろにある窓の外を見ると、過ぎ去っていく景色が目に入る。



工藤 秋臣(くどう あきおみ)「・・・・あと1時間くらいか。」



窓から見えるのは所狭しと立ち並ぶ建物。

『都会』と呼べる街中では人々が忙しく歩いてる。

誰かとすれ違っても、それは全て他人。

一日に何百と言う人とすれ違っても、お互い気に止めることすらない。




秋臣「・・・・・。」




電車で20分も経つと、窓の向こうの景色が変わり始める。

都会の雑踏を抜け、人工的な建物の代わりに木々が増え始めた。





秋臣「・・・1年ぶりになるんだな。あそこに行くの。」




ぼそっと呟くようにして話しかけたのは手に持っている鶴。

折り紙でできた鶴で・・・

真っ白い紙で・・・折ってある。





秋臣「願い・・・ちゃんと叶えてやるからな。」






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