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記憶が・・・3。
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美都は俯きながら言う。
美都「私なんかで・・・いいんでしょうか・・。」
要「違う。美都『が』いいんだよ。・・・返事は?」
美都は悩んでいた。
でも美都は俺が好きだった。
なら返事は決まってる。
美都「よ・・よろしくお願いします・・。」
要「よしっ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺と付き合うって言ってくれた美都だったけど、そんなに早くに慣れるわけもない。
俺は思い出話をすることにした。
要「最初にデートしたのはプラネタリウム、水族館、遊園地のどれでしょう。」
美都は即答する。
美都「遊園地ですね。」
要「お?なんでわかったの?」
美都「プラネタリウムは暗いんでダメです。水族館も暗いとこがあるんでダメです。」
要「それは俺も後で気がついた。」
少しでもいいから美都との距離を埋めたくて話を続けた。
焦る時間は早くに過ぎるもので、面会時間が終わりに近づいてきた。
要「・・・もう時間か。」
俺は椅子から立ち上がった。
要「また来る。」
そう言うと、美都は小さく手を振ってくれた。
美都「また・・・明日?」
要「ーーっ!・・・明日も来ていいの?」
美都「明日も・・・会いたい。」
美都の言葉に、俺は喜びながら帰路についた。
要「一歩ずつ・・・一歩ずつ・・・。」
俺との時間は思い出して欲しいと思った。
思ったけど、これからの時間を大切にしようと考えた。
思い出せないなら上書きしていったらいい。
美都が側にいることに変わりはないんだから・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
それから1ヶ月。
美都は順調に回復していった。
俺は毎日のように見舞いに行き、美都との距離を少しずつ縮めた。
ある日、退院が決まって・・・。
要「え?・・・明後日、退院なの?」
見舞いに来た俺に、美都が告げてきたのだ。
美都「そうなんです。手術の経過もいいし、自宅療養?をしばらくしようって話になりました。」
ベッドを椅子のように座って言う美都。
足が床につかないからぷらぷらさせてる。
要「それって実家で?」
美都「学校もあるんでアパートに戻ります。両親ももう帰りましたし。」
要「あ、一時帰宅じゃなくて帰っちゃったのか、ご両親。」
美都「はい。」
要「一人で大丈夫か?療養って・・・。」
美都「激しい運動はダメって言われてるだけなんで、大丈夫です。」
まぁ・・・美都はまだ若いからか、体力も順調に回復して、もう普通に歩いたり、うろうろしたりしてる。
そう考えたら退院は妥当か。
要「じゃあ明後日の退院は迎えにくるから。」
そういうと、美都は両手をふりふりしながら断ってきた。
美都「やっ、大丈夫ですよっ。」
要「荷物もあるだろ?」
美都「ありますけど、そんなにないですし・・・。」
要「・・・いやだ。送る。」
拗ねたように言うと、美都は笑いだした。
美都「あははっ。」
要「?・・・なんで笑う?」
美都「ちょっと・・・かわいくてっ。」
要「・・・それ、男に言う?」
クスクス笑ってた美都は時間が止まったのかと思うくらいピタッと動きが止まった。
美都「・・・?」
要「?・・・どうかした?」
美都「・・・なんでもない・・・です。」
美都の様子が明らかにおかしかった。
要「先生呼ぼうか?」
美都「大・・・丈夫・・・。」
床を見つめながら、言葉を詰まらせながら話す美都。
俺はナースコールを押した。
ピーッ・・・ピーッ・・・ピーッ・・・ガチャッ・・・
看護師「どうかされましたかー?」
要「すみません、なんか様子がおかしいような気がして・・・。」
看護師「あ、先生とすぐにいきますねー。」ガチャッ・・・
ほどなくして病室に入ってきた担当医と看護師。
医者は美都の様子を診始めた。
医師「調子どう?」
美都「・・・・・・。」
医師「どうしたのかな?」
美都「・・・大丈夫・・。」
医師「ちょっと寝ようか。」
床を見つめて動かない美都を横になるように促す医者。
美都はぼーっとしながらもベッドに横になった。
医師「いつからこの状態ですか?」
要「いつからって・・・ついさっきなんですけど・・・。」
医師「なにか・・・おかしなこととかありませんでした?」
要「おかしなことって・・・話をしてただけなんですけど・・・。」
話をして・・・美都が笑って・・・ただそれだけだ。
医師「何か記憶に引っかかることでもあったんでしょうかね・・・。」
要「・・・・・あ。」
前にも美都に『かわいい』って言われたことを思い出した。
要「記憶を失う前にした会話と、同じ会話をしたと思います。」
医師「あぁ、それで少し引っかかったのかもしれませんね。とりあえず今日はもう寝てもらいましょう。」
美都を見るともう眠りについていた。
要「退院は明後日でいいんでしょうか。」
医師「明後日の予定のままでいきましょう。直前に伸びるかもしれませんが・・・。」
要「・・・よろしくお願いします。」
俺は美都の頭を撫でてから病室を出た。
要「思い出してきてる・・・?」
美都「私なんかで・・・いいんでしょうか・・。」
要「違う。美都『が』いいんだよ。・・・返事は?」
美都は悩んでいた。
でも美都は俺が好きだった。
なら返事は決まってる。
美都「よ・・よろしくお願いします・・。」
要「よしっ。」
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俺と付き合うって言ってくれた美都だったけど、そんなに早くに慣れるわけもない。
俺は思い出話をすることにした。
要「最初にデートしたのはプラネタリウム、水族館、遊園地のどれでしょう。」
美都は即答する。
美都「遊園地ですね。」
要「お?なんでわかったの?」
美都「プラネタリウムは暗いんでダメです。水族館も暗いとこがあるんでダメです。」
要「それは俺も後で気がついた。」
少しでもいいから美都との距離を埋めたくて話を続けた。
焦る時間は早くに過ぎるもので、面会時間が終わりに近づいてきた。
要「・・・もう時間か。」
俺は椅子から立ち上がった。
要「また来る。」
そう言うと、美都は小さく手を振ってくれた。
美都「また・・・明日?」
要「ーーっ!・・・明日も来ていいの?」
美都「明日も・・・会いたい。」
美都の言葉に、俺は喜びながら帰路についた。
要「一歩ずつ・・・一歩ずつ・・・。」
俺との時間は思い出して欲しいと思った。
思ったけど、これからの時間を大切にしようと考えた。
思い出せないなら上書きしていったらいい。
美都が側にいることに変わりはないんだから・・・。
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それから1ヶ月。
美都は順調に回復していった。
俺は毎日のように見舞いに行き、美都との距離を少しずつ縮めた。
ある日、退院が決まって・・・。
要「え?・・・明後日、退院なの?」
見舞いに来た俺に、美都が告げてきたのだ。
美都「そうなんです。手術の経過もいいし、自宅療養?をしばらくしようって話になりました。」
ベッドを椅子のように座って言う美都。
足が床につかないからぷらぷらさせてる。
要「それって実家で?」
美都「学校もあるんでアパートに戻ります。両親ももう帰りましたし。」
要「あ、一時帰宅じゃなくて帰っちゃったのか、ご両親。」
美都「はい。」
要「一人で大丈夫か?療養って・・・。」
美都「激しい運動はダメって言われてるだけなんで、大丈夫です。」
まぁ・・・美都はまだ若いからか、体力も順調に回復して、もう普通に歩いたり、うろうろしたりしてる。
そう考えたら退院は妥当か。
要「じゃあ明後日の退院は迎えにくるから。」
そういうと、美都は両手をふりふりしながら断ってきた。
美都「やっ、大丈夫ですよっ。」
要「荷物もあるだろ?」
美都「ありますけど、そんなにないですし・・・。」
要「・・・いやだ。送る。」
拗ねたように言うと、美都は笑いだした。
美都「あははっ。」
要「?・・・なんで笑う?」
美都「ちょっと・・・かわいくてっ。」
要「・・・それ、男に言う?」
クスクス笑ってた美都は時間が止まったのかと思うくらいピタッと動きが止まった。
美都「・・・?」
要「?・・・どうかした?」
美都「・・・なんでもない・・・です。」
美都の様子が明らかにおかしかった。
要「先生呼ぼうか?」
美都「大・・・丈夫・・・。」
床を見つめながら、言葉を詰まらせながら話す美都。
俺はナースコールを押した。
ピーッ・・・ピーッ・・・ピーッ・・・ガチャッ・・・
看護師「どうかされましたかー?」
要「すみません、なんか様子がおかしいような気がして・・・。」
看護師「あ、先生とすぐにいきますねー。」ガチャッ・・・
ほどなくして病室に入ってきた担当医と看護師。
医者は美都の様子を診始めた。
医師「調子どう?」
美都「・・・・・・。」
医師「どうしたのかな?」
美都「・・・大丈夫・・。」
医師「ちょっと寝ようか。」
床を見つめて動かない美都を横になるように促す医者。
美都はぼーっとしながらもベッドに横になった。
医師「いつからこの状態ですか?」
要「いつからって・・・ついさっきなんですけど・・・。」
医師「なにか・・・おかしなこととかありませんでした?」
要「おかしなことって・・・話をしてただけなんですけど・・・。」
話をして・・・美都が笑って・・・ただそれだけだ。
医師「何か記憶に引っかかることでもあったんでしょうかね・・・。」
要「・・・・・あ。」
前にも美都に『かわいい』って言われたことを思い出した。
要「記憶を失う前にした会話と、同じ会話をしたと思います。」
医師「あぁ、それで少し引っかかったのかもしれませんね。とりあえず今日はもう寝てもらいましょう。」
美都を見るともう眠りについていた。
要「退院は明後日でいいんでしょうか。」
医師「明後日の予定のままでいきましょう。直前に伸びるかもしれませんが・・・。」
要「・・・よろしくお願いします。」
俺は美都の頭を撫でてから病室を出た。
要「思い出してきてる・・・?」
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