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美都はダメだ。
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山下side・・・
さっき差し入れを持って来た女の子がまた来た。
佐々木に気があるのかと思ってたけど・・・
山下(お互いを名前で呼んでるとこを見ると・・・付き合ってる?)
そんなことを考えるうちに、その女の子は籠を持って帰っていった。
山下「なぁ。」
要「ん?」
山下「あの子、彼女?」
要「そうだけど?」
あっさり認めた佐々木。
山下「あと3時間で上がりじゃん。待たせといて一緒に帰ったらいいんじゃないの?」
要「あぁ。美都は夜が苦手だから、夜に会うことはあんまりないんだよ。」
山下「え・・・じゃあ明るいうちしか会えないってこと?」
要「そう。」
そんな時間制限のデートって・・・正直どうなの?
そんなことを考えてる時、佐々木は彼女が作ったアップルパイを一口放り込んだ。
要「あー・・・やっぱ美味い。」
山下「手作りって・・・重くない?これは美味いけど・・・量がすごすぎるし・・・。」
要「・・・たぶん俺の方が重いかな。フラれないようにしないと。ははっ。」
山下「お前が?・・・どんな子なんだよ。」
要「強い部分もあるけど・・・弱いとこもある。でもその弱さを弱点に見せないとこがいい。」
山下「へぇー・・・。」
パクパクと口に放り込みながらしゃべる佐々木。
普段も結構喋るやつだけど、ここまで彼女を自慢されると・・・
要「・・・ダメだからな?」
山下「!!・・・なにが?」
要「お前、絶対美都が好みのタイプだ。だからダメだからな。美都にも二度と来ないように言っとくし。」
山下「・・・・・・。」
佐々木とは同期なうえ、この交番に配属されてからの付き合いだ。
もう何年も一緒に勤務してるからか、お互いの好みを知ってる。
山下「パトロール行ってくる。」
要「おー、頭冷やしてこい。」
俺はコートを着て外に出た。
山下「さっぶ・・・!」
背筋を伸ばして、街中を歩く。
『警察官が歩いてる』。
ただそれだけでも抑止効果があるから、キョロキョロしながら歩くことも仕事に含まれるのだ。
歩き進める街中は、どこもクリスマスカラーに染まってる。
ショーウインドウの中は、『プレゼント』用の商品がずらりと並んでいた。
山下「ちっ・・どこもかしこもクリスマスで溢れやがって・・・。」
そんなことを考えながら歩いてると、前方に見た顔を見つけた。
山下(青柳さん・・・なにして・・・?)
じーっとショーウインドウの中を見つめている彼女。
彼女が見てたものは・・・・ネクタイだった。
山下(・・・佐々木に・・かな。)
そう思った時、さっきの佐々木の言葉が頭をよぎった。
『お前、絶対美都が好みのタイプだ』
山下(そうかもしれないけど・・・。)
正直なにも知らない女を『好みのタイプ』と言われてもわからない。
山下(・・・人の女に手を出す趣味は無いしな。)
パトロールを続けようと、足を踏みだした。
その時、彼女が俺に気がついたのか、手を振った。
美都「あ、山下さんっ。」
山下「・・・どうも。」
駆け寄ってくる彼女。
俺の前に来てから、右に左にと首を捻って何かを探した。
山下「・・・俺、一人だよ。」
美都「あっ・・・そうなんですか・・・。」
あからさまに残念そうな喋り方だ。
山下「・・・どれくらい?」
美都「え?」
山下「付き合ってるんだろ?佐々木と。付き合ってどれくらい経つの?」
美都「えーっと・・・半年?くらいかな。」
山下「ふーん・・・。」
彼女はケータイを取り出して、画面を見た。
美都「あっ、もうこんな時間っ。じゃあ私、失礼しますねっ。」
山下「気をつけてなー。」
小走り気味に走っていった彼女。
山下「・・・明るいうちだけって・・・ほんとみたいだな。」
俺はそのままパトロールを続けた。
さっき差し入れを持って来た女の子がまた来た。
佐々木に気があるのかと思ってたけど・・・
山下(お互いを名前で呼んでるとこを見ると・・・付き合ってる?)
そんなことを考えるうちに、その女の子は籠を持って帰っていった。
山下「なぁ。」
要「ん?」
山下「あの子、彼女?」
要「そうだけど?」
あっさり認めた佐々木。
山下「あと3時間で上がりじゃん。待たせといて一緒に帰ったらいいんじゃないの?」
要「あぁ。美都は夜が苦手だから、夜に会うことはあんまりないんだよ。」
山下「え・・・じゃあ明るいうちしか会えないってこと?」
要「そう。」
そんな時間制限のデートって・・・正直どうなの?
そんなことを考えてる時、佐々木は彼女が作ったアップルパイを一口放り込んだ。
要「あー・・・やっぱ美味い。」
山下「手作りって・・・重くない?これは美味いけど・・・量がすごすぎるし・・・。」
要「・・・たぶん俺の方が重いかな。フラれないようにしないと。ははっ。」
山下「お前が?・・・どんな子なんだよ。」
要「強い部分もあるけど・・・弱いとこもある。でもその弱さを弱点に見せないとこがいい。」
山下「へぇー・・・。」
パクパクと口に放り込みながらしゃべる佐々木。
普段も結構喋るやつだけど、ここまで彼女を自慢されると・・・
要「・・・ダメだからな?」
山下「!!・・・なにが?」
要「お前、絶対美都が好みのタイプだ。だからダメだからな。美都にも二度と来ないように言っとくし。」
山下「・・・・・・。」
佐々木とは同期なうえ、この交番に配属されてからの付き合いだ。
もう何年も一緒に勤務してるからか、お互いの好みを知ってる。
山下「パトロール行ってくる。」
要「おー、頭冷やしてこい。」
俺はコートを着て外に出た。
山下「さっぶ・・・!」
背筋を伸ばして、街中を歩く。
『警察官が歩いてる』。
ただそれだけでも抑止効果があるから、キョロキョロしながら歩くことも仕事に含まれるのだ。
歩き進める街中は、どこもクリスマスカラーに染まってる。
ショーウインドウの中は、『プレゼント』用の商品がずらりと並んでいた。
山下「ちっ・・どこもかしこもクリスマスで溢れやがって・・・。」
そんなことを考えながら歩いてると、前方に見た顔を見つけた。
山下(青柳さん・・・なにして・・・?)
じーっとショーウインドウの中を見つめている彼女。
彼女が見てたものは・・・・ネクタイだった。
山下(・・・佐々木に・・かな。)
そう思った時、さっきの佐々木の言葉が頭をよぎった。
『お前、絶対美都が好みのタイプだ』
山下(そうかもしれないけど・・・。)
正直なにも知らない女を『好みのタイプ』と言われてもわからない。
山下(・・・人の女に手を出す趣味は無いしな。)
パトロールを続けようと、足を踏みだした。
その時、彼女が俺に気がついたのか、手を振った。
美都「あ、山下さんっ。」
山下「・・・どうも。」
駆け寄ってくる彼女。
俺の前に来てから、右に左にと首を捻って何かを探した。
山下「・・・俺、一人だよ。」
美都「あっ・・・そうなんですか・・・。」
あからさまに残念そうな喋り方だ。
山下「・・・どれくらい?」
美都「え?」
山下「付き合ってるんだろ?佐々木と。付き合ってどれくらい経つの?」
美都「えーっと・・・半年?くらいかな。」
山下「ふーん・・・。」
彼女はケータイを取り出して、画面を見た。
美都「あっ、もうこんな時間っ。じゃあ私、失礼しますねっ。」
山下「気をつけてなー。」
小走り気味に走っていった彼女。
山下「・・・明るいうちだけって・・・ほんとみたいだな。」
俺はそのままパトロールを続けた。
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