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花よりも君が好きだった
君に真実を
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~記憶は歳月によって廃れていく~
僕は、団地の隅の花壇へ向かう。もう少ししたら引っ越しをする。大学が県外なのだ。花壇に座り込むと、スコップを取り出して慎重に穴を掘り始める。巨大な土を掘り出す。その先は手作業だ。そぉっと土くれを払いのけると大きめの球根に小さな球根が付いているのがわかる。ゆっくりと引きはがすと、球根が二つになった。そのうちの大きな方を埋め直す。親に相談した後、団地を運営する市に話を通してもらって、ずっと支えてくれたこの花を株分けしてもらうことにした。大学の方の家は植物を育てられるところを選んである。鉢を持って行って、四年間、また僕に付き合ってもらう予定だ。
この花は僕が小学校六年の時に僕の話を聞いてくれた。そうはいっても、相手は花だ。もちろん全部独り言だった。それでも話を聞いてくれている気分になって、一人語りしていた記憶がある。春しか花は咲かないし、成長するにつれて徐々に忘れていったけれど、毎年切り戻しだけは参加して、彼女―あの花だけは僕が切っていた。ずっと独り言だったけれど、聞いていてくれていたこの花を手放すのはなんだか心苦しかった。もしかしたら大学に入った時に男が花なんて育てていたら笑われるかもしれない。それでも、この花はきっと何かあったときの助けになってくれる。そう信じている。だから、わざわざ市に掛け合ってまで球根をもらった。
僕は大学で園芸サークルに所属している。入学してすぐに仲良くなったグループが僕のアパートへ来た。ちょうどそのころ、その花は今までになくきれいに咲いた。この花を見て友人は、「へー、園芸とかもするの?意外だね。きれいなチューリップだね。」と。その一言がきっかけだった。
僕は、団地の隅の花壇へ向かう。もう少ししたら引っ越しをする。大学が県外なのだ。花壇に座り込むと、スコップを取り出して慎重に穴を掘り始める。巨大な土を掘り出す。その先は手作業だ。そぉっと土くれを払いのけると大きめの球根に小さな球根が付いているのがわかる。ゆっくりと引きはがすと、球根が二つになった。そのうちの大きな方を埋め直す。親に相談した後、団地を運営する市に話を通してもらって、ずっと支えてくれたこの花を株分けしてもらうことにした。大学の方の家は植物を育てられるところを選んである。鉢を持って行って、四年間、また僕に付き合ってもらう予定だ。
この花は僕が小学校六年の時に僕の話を聞いてくれた。そうはいっても、相手は花だ。もちろん全部独り言だった。それでも話を聞いてくれている気分になって、一人語りしていた記憶がある。春しか花は咲かないし、成長するにつれて徐々に忘れていったけれど、毎年切り戻しだけは参加して、彼女―あの花だけは僕が切っていた。ずっと独り言だったけれど、聞いていてくれていたこの花を手放すのはなんだか心苦しかった。もしかしたら大学に入った時に男が花なんて育てていたら笑われるかもしれない。それでも、この花はきっと何かあったときの助けになってくれる。そう信じている。だから、わざわざ市に掛け合ってまで球根をもらった。
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