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悪魔・堕天使 - Devils and Fallen angels -
ヴァッサゴ
しおりを挟むヴァッサゴ
ベリアル、セアルなどとともに、ヨハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』には記述のない幾つかの魔神のうちの一柱である。『ソロモンの小さき鍵』によれば、序列第三位の魔神。姿形については、はっきりしたことが知られておらず、『ソロモンの小さき鍵』においても外見や性格についての記述はない。わずかに「二十六の霊の軍団を率いる力強き王子(皇子、君主)」であり、その能力については「善の性質を持ち、その仕事は過去と未来の事象を告げること、失われたこと・隠されたものを発見すること」と解説されているのみだ。なお、「アガレスと同じ性質を持つ」という説明もあるが、これはおそらく地獄の東方領域を支配しているということなのだろう。悪魔が善の性質を持つというのも奇妙に聞こえるかもしれないが、『ソロモン王の小さな鍵』では、ヴァッサゴ以外にもセアルなど善の性質を持つ悪魔が存在する。呼び出される精霊が、善、悪、中立の性質を持つことは、『千夜一夜物語』のランプの魔神を思い浮かべてもらえば良い。彼らは皆、もともとは天使だったので、堕天以前の性質をいくらか残しているということなのかもしれない。ソロモンはユダヤの王であり、イスラム教、キリスト教はユダヤ教から発したものである。これは即ち、王の伝説がキリスト教のものであると同時にイスラムのものでもあったことを示している。それぞれの宗教、教義、そして民間伝承がまざりあったなかには、天使でも悪魔でもない「善良な精霊」がいる余地もある。美術史家のフレッド・ゲティングズは著書『悪魔の事典』において、過去・未来を知るヴァッサゴは、未知の知識を求める魔術師によって、しばしば呼び出されると解説している。その善なる性質と知識を与える力から、魔術師たちに重宝されただろうことは想像に難くない。
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