世界の「妖怪・怪物・幻獣・神獣・神様・悪魔」図鑑

メソポタミア - Mesopotamia -

ラマッス

　ラマッス


　メソポタミア地方においてもポピュラーな存在であり、様々な美術品のモチーフとされてきた人面有翼獣。メトロポリタン美術館にも所蔵されているこの精霊は、シュメールにおいてはランマ、アッカドにおいてはラマッスと呼称され、守護神や守護霊として信仰されていた。様々さまざまな美術品のモチーフにもされ、その洗練されたデザインは、後世のアケメネス朝ペルシアにも受け継がれ、多くの作品の中にその姿をとどめている。ラマッスは神々と人間を仲介する慈悲深じひぶかい存在であり、信心深しんじんぶかい人々の前に立って彼らを先導したり、後ろを歩いて悪霊や災厄から守ったという。主に人間の顔をした雄牛おうし、もしくは獅子ししの姿をしており、その顔には髭を生やしている。現在残されている彫像は翼を持つものが大半なようだが、翼がないものも存在していたらしい。厳めしい外見から男性的な印象を受けるが、意外なことに女性の精霊であるという。男性の精霊はシェードゥと呼ばれていた。ラマッスと同じような外見をしており、基本的には夫婦の存在として扱われていたようである。神と人とを繋ぐラマッスたちの役割は、のちの宗教や神話における御使いたちの存在に大きな影響を与えた。しかし、シュメール・アッカドにおいて善の存在だったが、のちのユダヤ教やキリスト教によって悪霊として貶おとしめられることになる。