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中国 ‐ China ‐

朱雀

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 朱雀すざく


 中国に伝わる霊獣「四神しじん」のうち、南方を司る聖なる鳥である。「鳳凰ほうおう」の眷属けんぞくで、五色の音色で鳴き、身体もまた五色に彩られたうずらのような姿をしている。その翼は災厄をはらい、福を招くと伝えられている。五行思想で南方を表す「朱(赤)」が名前に含まれ、鳥類全般を表す「雀」がつけられたという。上昇する大気を象徴し、夏の万物の育成発展を意味する。また、梧桐ごとうの木にのみむといわれている。物の配置で、気の流れを整える「風水」の世界に、四神は登場する。古代アジアの首都の形成には風水がり入れられており、中国や日本でも「朱雀大路すざくおおじ」という通りの名に使われた。また、『太子伝王林抄』によると、池や溝が南にあることが守護される土地の条件とされる。平安京の南には巨椋池おぐらいけ(現在は埋立地)があり、都に暮らす人々を守護する役割を担っていた。また、日本で使われた元号において、朱雀や朱鳥あかみとりの記述がある資料も存在するが、『日本書紀にほんしょき』などの公式な史書には記載のない私年号として扱われる。
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