世界の「妖怪・怪物・幻獣・神獣・神様・悪魔」図鑑

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塗壁

　塗壁ぬりかべ


　夜道を歩いていると、いきなり目の前に壁が現れて、進もうとする方向を塞いでしまう妖怪。透明な見えない壁ができる場合と、実際に壁が現れる場合の二種類がある。『妖怪談義ようかいだんぎ』には、筑前遠賀ちくぜんおんが郡（現在の福岡県北九州市）の海岸地帯に現れると紹介されている。横にずれたとしても、どこまでも壁が続いていて前に進むことができず、叩いたり蹴飛ばしたりしてもビクともしない。ただし、棒で下のほうを払えば消えるらしい。長崎県壱岐いき市には似たようなもので「ヌリボウ」という名前の妖怪が伝わっている。高知県幡多はた郡には「野衾のぶすま」と呼ばれるものが出没すると言われているが、こちらは一服している間に消え去る。野衾はムササビやモモンガの別称でもあり、ときおり顔に着地して人々を驚かすことがあるので、これが妖怪として扱われたものだと考えられる。その他、塗壁に似たような妖怪には、鹿児島県に伝わる「シマーブ」や徳島県美馬みま郡に現れた「衝立狸ついたてだぬき」などがある。ちなみに現在のような塗壁のイメージは、水木しげる氏によって描かれた『ゲゲゲの鬼太郎』に登場するキャラクターとしての影響が大きい。