28 / 64
章第二「茨木童子」
(三)鬼女の脚を奪はれまいと
しおりを挟む
「ふぎゃっ!」
風が巻き起こった瞬間、市兵衛は屋根の上から戦況を観察していた。
風の一端がぶつかっただけなのか、それとも鬼女本体がぶつかってきたのか、スピードが速すぎて見えなかったが、身体を吹き飛ばされてしまったのだということだけは、市兵衛にもわかった。
屋根を数メートル転がり、背中を強打して勢いづいた身体は、そのまま上空へと放り出される。
このとき市兵衛は、一匹だけ戦いに加わらず、別の作業をおこなっていた。咥えていた鬼女の右足をそばへ置き、前脚を使って、器用に団子の入っていた風呂敷を広げる。
そして、代わりに鬼女の右足を入れて包み、また器用に結んだコブの部分を咥えて、そっと屋根から下を覗き込んでいたのだ。
身体が空中に放り出されたとき、悲鳴を上げた市兵衛の口から風呂敷が離れてしまう。市兵衛が回転するたび、目の端に捉えた風呂敷の大きさは、どんどんと小さくなっていく。
制御の利かない空中ではどうしようもなく、前脚を伸ばしてみても届きそうにない。そう思って人間に化けてみるも、わずかに風呂敷へは腕が届かなかった。
「痛っ……」
努力の甲斐虚しく、人間の姿のまま落下を続けていき、激痛が全身を襲った。受け身に失敗した市兵衛は、地面を転がって樹木へ頭を打ちつける。
市兵衛は、しばらくその場で悶絶していた。
起き上がりながら、背中を摩ろうとしたとき、そこで初めて、自分が一糸纏わぬ姿であることを知る。
見おろすと、まず目に飛び込んできたのは、くっきりと割れた谷間。
頭を撫でれば、髪の毛のあいだから耳が生え、腰を捻って臀部を確認すると、尻尾が生えているだけで、ほとんどがメスのヒト型だった。
道理で変化を解けないほどの痛みだ、と市兵衛は納得する。
胡坐をかき、人間、まして裸の状態では、そりゃあ一階半の高さから落ちたらそうなるわな……。どうして人間には毛がなく、こんなにも身体能力が低いのだろう。
「なにをしているんだ。大丈夫か?」
とおりかかった弥兵衛が、心配そうに、はたまた憐れむように、駆け寄ってくる。市兵衛から、一部始終の報告を受けた弥兵衛は、呆れたように嘆息した。
「手だけをヒト型にすればよかっただろ」
ぐうの音も出ない。だが、わかってはいても気が動転してて、服を形成するだけの余裕がなかったのだ。
ましてや、手だけなんて。そこまで気が回っていたら、こうはなっていない。反論する材料を求めて前のめりになるが、どこからともなく主の声が聞こえ、二匹とも条件反射的に姿勢を正した。
青菜に塩を振ったかのように垂れていた耳も、市兵衛はピンと立たせる。弥兵衛が耳を澄ませながら、静かに呟いた。
「倉稲魂命さまが呼んでる……長く持ち場を離れすぎたみたいだな」
どちらかが境内にいなくてはならない決まりだ。痛みが徐々に引いてきたので、きょうの当直である市兵衛が、受持稲荷神社に向かうため、姿を消す。
その市兵衛と入れ違いで、家の北側から彩が歩いてくる。鬼を取り逃がしたことに、まだ不服そうな表情を浮かべていた彩は、不機嫌な様子のまま、弥兵衛に向かって質問を投げかけた。
「あの右脚は?」
「あ……。……あれ?」
人目につけず持ち運ぶため、風呂敷に包んでおくよう指示を出した弥兵衛が、ついさっきの記憶を手繰り寄せてみても、そういえば、それらしき物体を市兵衛は持ってなどいなかった、ということを思い出す。
右脚がいったいどこに行ってしまったのか、彩は考えを巡らせた。屋根から市兵衛の転がっていた場所までの直線距離上に、稲穂の部屋へと通ずる、開きっぱなしになったままの窓が存在する。それを見上げ、嫌な予感とともに彩は閃くものがあった。
彩と弥兵衛は、慌てて風除室のなかへ飛び込んだ。玄関を開けてリビングの横を素どおりした彩は、そのまま二階へと上がっていく。
早苗は突然の訪問に、一瞬だけ驚いた様子だったが、入ってきたのが見知った人物だとわかり、すぐにパソコンへと向きなおる。軽く「いらっしゃい」と会釈し、タイピング音を響かせて仕事を再開した。
弥兵衛が物陰へひそみ、彩だけ二階へ到着すると、稲穂の部屋の扉を開ける。稲穂は自室のなかで尻餅をつき、さっき見たときと同じ体勢のまま、ほとんど動いていないようだった。
いきなり現れた人物に対し、稲穂は腰を抜かしたまま目を丸くしている。相手が先ほどの鬼ではないことに気づき、幾分か安堵したように見えたが、まったく彩たちの心は休まらない。
稲穂の隣りに落ちている物体へと目を向ける。そこにあったのは、案の定、見覚えのある風呂敷だ。「一階に下りてきて」
風呂敷を拾い上げ、なにごともなかったかのように、急いで背後へと隠す。稲穂を先に階段から下ろさせ、向かって左側に見えるリビングへ行かせた。
パソコン作業を続ける早苗の横で、彩は風呂敷を置き、稲穂のもとへと歩み寄っていく。
わずかに風呂敷から、右足の親指が飛び出しているのを見てしまったが、それに気づかせまいと、彩は稲穂の気を逸らせるように話しかける。
「これから一週間、この部屋に籠って『物忌み』をしてほしいのよ」
「も、ものいみ……?」
目を瞬く稲穂に対し、彩は神妙に頷いた。
「説明はあと。……そうだね。とりあえず炊飯器から、お米をよそってきて」
…………。
……。
正午近く、五瀬家から北東に数キロ離れた山の中。五、六体ほどの鬼たちが取り囲んだ、その中心で、鬼女が息も絶え絶えに這いつくばっていた。
その鬼女の右足は切断されており、ひどく痛々しそうだと、周囲の鬼たちも顔を顰める。
鬼といえど自然治癒だけで、また足やら手やらが生えてくるわけじゃない。ましてや、この娘は人間の血も多く混ざっている。
「……派手にやられたな」
「お父上……」
痛みを必死に堪えていると、食いしばった歯の隙間から、犬歯よりも鋭く尖ったキバが見えた。
「申し訳、ありません……でも、油断していただけで……今度こそはっ」
「謝るな。こちらの失態だ」懇願しようと口を開きかけた鬼女を遮り、お父上と呼ばれた別の鬼が首を大きく振った。
「それで、誰にやられた? 後胤は、おとといに力を出したばかりで、まだ自力では無理なんだろう?」
「はい。女の子とキツネが……」慎重に言葉を選びながら、鬼女は話を続ける。
「たぶん後胤の随身と、そのまた御付のモノかと……」
「そうか。霊能力者と管狐みたいなものか?」
「それは、わかりませんが。関係性でいえば、そんな感じかと……」
「朱雀」
鬼女が言い終わらないうちに、お父上と呼ばれた鬼は、朱雀と呼んだ鬼のほうへ、頭だけを向ける。
「……ひとつ、頼まれてくれるか?」
まるで意に介さないかのように、朱雀はふたつのサイコロを指で弾いた。弾かれたサイコロは、空中を何回転かしたのち、茂みの多い地面へと、すっぽり収まって着地する。
草花をかき分けてそれらを確認してみると、どちらも三の目が上を向いて止まっていた。頼みごとがなにかは訊くまでもない。朱雀は嬉々として答えた。
「ああ……きょうは気分がいい。サンゾロの丁だ。なんでも引き受けてやる」
風が巻き起こった瞬間、市兵衛は屋根の上から戦況を観察していた。
風の一端がぶつかっただけなのか、それとも鬼女本体がぶつかってきたのか、スピードが速すぎて見えなかったが、身体を吹き飛ばされてしまったのだということだけは、市兵衛にもわかった。
屋根を数メートル転がり、背中を強打して勢いづいた身体は、そのまま上空へと放り出される。
このとき市兵衛は、一匹だけ戦いに加わらず、別の作業をおこなっていた。咥えていた鬼女の右足をそばへ置き、前脚を使って、器用に団子の入っていた風呂敷を広げる。
そして、代わりに鬼女の右足を入れて包み、また器用に結んだコブの部分を咥えて、そっと屋根から下を覗き込んでいたのだ。
身体が空中に放り出されたとき、悲鳴を上げた市兵衛の口から風呂敷が離れてしまう。市兵衛が回転するたび、目の端に捉えた風呂敷の大きさは、どんどんと小さくなっていく。
制御の利かない空中ではどうしようもなく、前脚を伸ばしてみても届きそうにない。そう思って人間に化けてみるも、わずかに風呂敷へは腕が届かなかった。
「痛っ……」
努力の甲斐虚しく、人間の姿のまま落下を続けていき、激痛が全身を襲った。受け身に失敗した市兵衛は、地面を転がって樹木へ頭を打ちつける。
市兵衛は、しばらくその場で悶絶していた。
起き上がりながら、背中を摩ろうとしたとき、そこで初めて、自分が一糸纏わぬ姿であることを知る。
見おろすと、まず目に飛び込んできたのは、くっきりと割れた谷間。
頭を撫でれば、髪の毛のあいだから耳が生え、腰を捻って臀部を確認すると、尻尾が生えているだけで、ほとんどがメスのヒト型だった。
道理で変化を解けないほどの痛みだ、と市兵衛は納得する。
胡坐をかき、人間、まして裸の状態では、そりゃあ一階半の高さから落ちたらそうなるわな……。どうして人間には毛がなく、こんなにも身体能力が低いのだろう。
「なにをしているんだ。大丈夫か?」
とおりかかった弥兵衛が、心配そうに、はたまた憐れむように、駆け寄ってくる。市兵衛から、一部始終の報告を受けた弥兵衛は、呆れたように嘆息した。
「手だけをヒト型にすればよかっただろ」
ぐうの音も出ない。だが、わかってはいても気が動転してて、服を形成するだけの余裕がなかったのだ。
ましてや、手だけなんて。そこまで気が回っていたら、こうはなっていない。反論する材料を求めて前のめりになるが、どこからともなく主の声が聞こえ、二匹とも条件反射的に姿勢を正した。
青菜に塩を振ったかのように垂れていた耳も、市兵衛はピンと立たせる。弥兵衛が耳を澄ませながら、静かに呟いた。
「倉稲魂命さまが呼んでる……長く持ち場を離れすぎたみたいだな」
どちらかが境内にいなくてはならない決まりだ。痛みが徐々に引いてきたので、きょうの当直である市兵衛が、受持稲荷神社に向かうため、姿を消す。
その市兵衛と入れ違いで、家の北側から彩が歩いてくる。鬼を取り逃がしたことに、まだ不服そうな表情を浮かべていた彩は、不機嫌な様子のまま、弥兵衛に向かって質問を投げかけた。
「あの右脚は?」
「あ……。……あれ?」
人目につけず持ち運ぶため、風呂敷に包んでおくよう指示を出した弥兵衛が、ついさっきの記憶を手繰り寄せてみても、そういえば、それらしき物体を市兵衛は持ってなどいなかった、ということを思い出す。
右脚がいったいどこに行ってしまったのか、彩は考えを巡らせた。屋根から市兵衛の転がっていた場所までの直線距離上に、稲穂の部屋へと通ずる、開きっぱなしになったままの窓が存在する。それを見上げ、嫌な予感とともに彩は閃くものがあった。
彩と弥兵衛は、慌てて風除室のなかへ飛び込んだ。玄関を開けてリビングの横を素どおりした彩は、そのまま二階へと上がっていく。
早苗は突然の訪問に、一瞬だけ驚いた様子だったが、入ってきたのが見知った人物だとわかり、すぐにパソコンへと向きなおる。軽く「いらっしゃい」と会釈し、タイピング音を響かせて仕事を再開した。
弥兵衛が物陰へひそみ、彩だけ二階へ到着すると、稲穂の部屋の扉を開ける。稲穂は自室のなかで尻餅をつき、さっき見たときと同じ体勢のまま、ほとんど動いていないようだった。
いきなり現れた人物に対し、稲穂は腰を抜かしたまま目を丸くしている。相手が先ほどの鬼ではないことに気づき、幾分か安堵したように見えたが、まったく彩たちの心は休まらない。
稲穂の隣りに落ちている物体へと目を向ける。そこにあったのは、案の定、見覚えのある風呂敷だ。「一階に下りてきて」
風呂敷を拾い上げ、なにごともなかったかのように、急いで背後へと隠す。稲穂を先に階段から下ろさせ、向かって左側に見えるリビングへ行かせた。
パソコン作業を続ける早苗の横で、彩は風呂敷を置き、稲穂のもとへと歩み寄っていく。
わずかに風呂敷から、右足の親指が飛び出しているのを見てしまったが、それに気づかせまいと、彩は稲穂の気を逸らせるように話しかける。
「これから一週間、この部屋に籠って『物忌み』をしてほしいのよ」
「も、ものいみ……?」
目を瞬く稲穂に対し、彩は神妙に頷いた。
「説明はあと。……そうだね。とりあえず炊飯器から、お米をよそってきて」
…………。
……。
正午近く、五瀬家から北東に数キロ離れた山の中。五、六体ほどの鬼たちが取り囲んだ、その中心で、鬼女が息も絶え絶えに這いつくばっていた。
その鬼女の右足は切断されており、ひどく痛々しそうだと、周囲の鬼たちも顔を顰める。
鬼といえど自然治癒だけで、また足やら手やらが生えてくるわけじゃない。ましてや、この娘は人間の血も多く混ざっている。
「……派手にやられたな」
「お父上……」
痛みを必死に堪えていると、食いしばった歯の隙間から、犬歯よりも鋭く尖ったキバが見えた。
「申し訳、ありません……でも、油断していただけで……今度こそはっ」
「謝るな。こちらの失態だ」懇願しようと口を開きかけた鬼女を遮り、お父上と呼ばれた別の鬼が首を大きく振った。
「それで、誰にやられた? 後胤は、おとといに力を出したばかりで、まだ自力では無理なんだろう?」
「はい。女の子とキツネが……」慎重に言葉を選びながら、鬼女は話を続ける。
「たぶん後胤の随身と、そのまた御付のモノかと……」
「そうか。霊能力者と管狐みたいなものか?」
「それは、わかりませんが。関係性でいえば、そんな感じかと……」
「朱雀」
鬼女が言い終わらないうちに、お父上と呼ばれた鬼は、朱雀と呼んだ鬼のほうへ、頭だけを向ける。
「……ひとつ、頼まれてくれるか?」
まるで意に介さないかのように、朱雀はふたつのサイコロを指で弾いた。弾かれたサイコロは、空中を何回転かしたのち、茂みの多い地面へと、すっぽり収まって着地する。
草花をかき分けてそれらを確認してみると、どちらも三の目が上を向いて止まっていた。頼みごとがなにかは訊くまでもない。朱雀は嬉々として答えた。
「ああ……きょうは気分がいい。サンゾロの丁だ。なんでも引き受けてやる」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ラスト・シャーマン
長緒 鬼無里
歴史・時代
中国でいう三国時代、倭国(日本)は、巫女の占いによって統治されていた。
しかしそれは、巫女の自己犠牲の上に成り立つ危ういものだった。
そのことに疑問を抱いた邪馬台国の皇子月読(つくよみ)は、占いに頼らない統一国家を目指し、西へと旅立つ。
一方、彼の留守中、女大王(ひめのおおきみ)となって国を守ることを決意した姪の壹与(いよ)は、占いに不可欠な霊力を失い絶望感に伏していた。
そんな彼女の前に、一人の聡明な少年が現れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる