134 / 188
琥珀の慟哭
琥珀の慟哭55
しおりを挟む
華子はやはり週刊誌スクープ・オンに圧力を掛けていた。
「これまでも、うちの会社の記事書いていたわね?あの時、訴訟を起こさず少ない和解金で終わらせたの覚えているかしら」
どうやら、過去にスクープ・オンで記事を書かれたらしい。
その際、訴訟の準備をしていたようだ。
華子も中々に恐い気がした。
「南田弘一さんの記事を今すぐ取り下げて下さい。さもなくば」
『解りました。柿澤さん。今すぐ取り下げます。すいませんでした』
「解ってくださればいいの。では、失礼するわ」
華子はスクープ・オンの出版社への電話を終えると、スマートフォンを机に置く。
華子はため息をつく。
楠田を裏切った美奈子はどんな人物なのだろうか。
華子は不意に何かに勘づいたのか、再びスマートフォンを取る。
「あ、もしもし。お世話になってます。柿澤華子です。あの、調べてほしいことがあって」
『柿澤様お世話になってます。私立探偵事務所 弓削洋次郎です。調べてほしいこととは?』
日名子への怪文書調査の際とは違うところに依頼するようだ。
華子を敵に廻すと恐いと思えてきた。
「室賀美奈子という女性について調べてほしいの。年齢は多分26歳、閣楼という居酒屋の正社員。南田弘一と付き合っていたらしいのよ。 特別
料金出すので、明日までに回答を下さい」
『了解しました。柿澤様。では、明日の夕方に連絡致します』
華子は美奈子について調べることにしたらしい。
華子の勘は美奈子が祐の 差し金 で動いていると思ったらしい。その予測は当たった。
次の日の夕方、華子は調査の結果を書面で貰った。
華子はそれを険しい表情で見つめた。
書面には次のように書いてあった。
『室賀美奈子の報告書。室賀美奈子 26歳。福岡県出身。『まほろび』という養護施設で育つ。19歳で上京。閣楼に就職する以前はキャバレー【カレイド】で働く。カレイドに居たころは、【レンタル彼女】なるものを、単独で経営。レンタル彼女は名ばかりで、何でも屋をやっいたとのこと。かねを積まれれば汚いことも。昨日の調査で、レンタル彼女で作った人脈で柿澤祐と接触あり。最近、柿澤祐と会っているとこを目撃した人から証言を得た。以上 』
華子はため息を着き、その報告を折り曲げる。
華子の予測は当たっていた。
美奈子は祐の差し金で、楠田に近づいた。
華子は祐に電話を架ける。
「話がある。今いい?」
『あの件ですよね。解りました』
祐は悪びれる素振りもなかった。
電話越しでも解るが、薄笑いを浮かべているのが解った。
「南田君を週刊誌に売ったのはあなた? 」
『もしかして、美奈子の件です?ええ。そうですよ。僕が美奈子にあなたのお気に入りの南田君をたぶらかして、売らせましたよ。傑作でしょう?』
「あなたはどうしてそんなことするの!」
華子は声を荒げる。
『どうしてって?そんなの解ってますよねぇ。南田の存在が邪魔だし、不愉快だからですよ!』
「いい加減にしなさい!あなたとは親子の縁を切ります。あなたを社長から解任します。明日にでもあなたを解任する為の稟議書を制作するわ』
『え?お、お母様?』
「あなたは人の心を学びなさい!」
華子は強い口調で言い、電話を切った。
祐は慌てて、電話を架けるも華子は出なかった。華子はスマートフォンの電源をすぐに切った。
華子は口をつむぎ、涙を流した。
華子は「ごめんね」と呟き、椅子に座り、しばらくうつ向いた。
それにしても祐の性格の悪さに驚いた。
いくら気に入らなくてもそこまでする必要はないはずだ。別の意図があるようにも思えた。
琥珀の慟哭55 了
「これまでも、うちの会社の記事書いていたわね?あの時、訴訟を起こさず少ない和解金で終わらせたの覚えているかしら」
どうやら、過去にスクープ・オンで記事を書かれたらしい。
その際、訴訟の準備をしていたようだ。
華子も中々に恐い気がした。
「南田弘一さんの記事を今すぐ取り下げて下さい。さもなくば」
『解りました。柿澤さん。今すぐ取り下げます。すいませんでした』
「解ってくださればいいの。では、失礼するわ」
華子はスクープ・オンの出版社への電話を終えると、スマートフォンを机に置く。
華子はため息をつく。
楠田を裏切った美奈子はどんな人物なのだろうか。
華子は不意に何かに勘づいたのか、再びスマートフォンを取る。
「あ、もしもし。お世話になってます。柿澤華子です。あの、調べてほしいことがあって」
『柿澤様お世話になってます。私立探偵事務所 弓削洋次郎です。調べてほしいこととは?』
日名子への怪文書調査の際とは違うところに依頼するようだ。
華子を敵に廻すと恐いと思えてきた。
「室賀美奈子という女性について調べてほしいの。年齢は多分26歳、閣楼という居酒屋の正社員。南田弘一と付き合っていたらしいのよ。 特別
料金出すので、明日までに回答を下さい」
『了解しました。柿澤様。では、明日の夕方に連絡致します』
華子は美奈子について調べることにしたらしい。
華子の勘は美奈子が祐の 差し金 で動いていると思ったらしい。その予測は当たった。
次の日の夕方、華子は調査の結果を書面で貰った。
華子はそれを険しい表情で見つめた。
書面には次のように書いてあった。
『室賀美奈子の報告書。室賀美奈子 26歳。福岡県出身。『まほろび』という養護施設で育つ。19歳で上京。閣楼に就職する以前はキャバレー【カレイド】で働く。カレイドに居たころは、【レンタル彼女】なるものを、単独で経営。レンタル彼女は名ばかりで、何でも屋をやっいたとのこと。かねを積まれれば汚いことも。昨日の調査で、レンタル彼女で作った人脈で柿澤祐と接触あり。最近、柿澤祐と会っているとこを目撃した人から証言を得た。以上 』
華子はため息を着き、その報告を折り曲げる。
華子の予測は当たっていた。
美奈子は祐の差し金で、楠田に近づいた。
華子は祐に電話を架ける。
「話がある。今いい?」
『あの件ですよね。解りました』
祐は悪びれる素振りもなかった。
電話越しでも解るが、薄笑いを浮かべているのが解った。
「南田君を週刊誌に売ったのはあなた? 」
『もしかして、美奈子の件です?ええ。そうですよ。僕が美奈子にあなたのお気に入りの南田君をたぶらかして、売らせましたよ。傑作でしょう?』
「あなたはどうしてそんなことするの!」
華子は声を荒げる。
『どうしてって?そんなの解ってますよねぇ。南田の存在が邪魔だし、不愉快だからですよ!』
「いい加減にしなさい!あなたとは親子の縁を切ります。あなたを社長から解任します。明日にでもあなたを解任する為の稟議書を制作するわ』
『え?お、お母様?』
「あなたは人の心を学びなさい!」
華子は強い口調で言い、電話を切った。
祐は慌てて、電話を架けるも華子は出なかった。華子はスマートフォンの電源をすぐに切った。
華子は口をつむぎ、涙を流した。
華子は「ごめんね」と呟き、椅子に座り、しばらくうつ向いた。
それにしても祐の性格の悪さに驚いた。
いくら気に入らなくてもそこまでする必要はないはずだ。別の意図があるようにも思えた。
琥珀の慟哭55 了
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
隘路
重過失
ミステリー
貧困でも裕福でもない、普遍的な一家。
周りの人は皆、一家を幸せそうだと言った。
だけど、一家にはそれぞれの悩みが渦巻いていた。
無分別に振りかざされる、"多数派の正義"という名の差別を相容れない一家は、"少数派の悪者"となるのだろうか?
───
ミステリーというよりも、ヒューマンドラマに近いです。恐らく。
毎週の火曜・土曜日に更新。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる