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1:端緒
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さて、現在、多い時には日に十数件の『618』情報が送られてくる。私としては嬉しい反面、仕事の都合もあり、情報の精査が捗らず眉間に皺をよせる日々が続いている。
そんな数週間前の事である。
以前『うちカラ』を執筆した際にやり取りをした、某ブログ管理人のBOUT氏からメールが届いた。
BOUT氏は『BOUT!』というブログを運営しているブロガーである。(HNが先か、ブログ名が先かは最初の記事を読んでも判らない)
氏は『618』後、『三大ゾンビ 史上最大の決戦』という記事をブログに掲載した。
『三大ゾンビ 史上最大の決戦』(以下『三大』)は、六月二十一日から、六月二十二日、午前一時二十五分までの、五大都市の幹線道路を使って遂行された『封じ込め作戦』を扱った記事である。
様々な匿名の関係者のインタビューが、時系列順に簡潔にまとめられた状況説明の合間に挿入されたこの記事は、凄まじい反響を呼び、記事内容の真偽、タイトルの『三大ゾンビ』とは何なのか? は今も議論が尽きない程だ。
それ故か、『BOUT!』はアクセスが殺到。膨大な量のコメント、誹謗中傷等が寄せられる。
『BOUT!』はコメント欄、アクセスカウンター等を撤去。
以降、自衛隊と警察による各都市の掃討戦の記事などを、他サイトからの引用で時々取り上げる程度に活動を縮小する。
さて、本題に戻るが、BOUT氏からのメールは、諸事情により近日中に『BOUT!』は閉鎖しなければならなくなった、というものだった。
私を追ってくれている、また勘の鋭い読者諸君なら、察するところがあるだろうと思う。実際私も『ただならぬ予感』を感じた。
果たして、メールの最後で氏は私に対談を望んできた。
私は嫌な予感に囚われつつも――自分の性には逆らえなかった、と言えばどうなったかは理解してくれるだろう。
こうして四日後、私とBOUT氏は約四時間の対談をすることになった。
私とBOUT氏の対談で何が話し合われたか、は残念ながら公表することはできない。
氏は――いや、これは言っても良いという許可を得ているので書いてしまうが――BOUT氏は『一人』ではなかった。
対談は『通話ソフト』で、しかも音声のみ。しかもボイスチェンジャーアプリを通して行われたのだ。
何故そこまでしなければならないのか?
『彼ら彼女ら』は(話した感触では、最低でも四人以上だった)相当拙い領域まで足を踏み込んでしまったようなのである。
故に私である。
それなりに生きてきて、それなりにコネがあると、私は何度も書いてきた。
だからといって、私がBOUT氏が危険と判断している人種の仲間ではないと言いきれないのではないか?
そう質問した私に、『彼ら彼女ら』は声を大にして笑った。
『あなたほど、純粋に618を楽しんでいる人はいないでしょう。それが文章から滲み出てますよ』
名誉なのか不名誉なのか――まあ、それはこの際置いておく。
ともかく、始めようと思う。
この作品が公開される頃には、『BOUT!』は閉鎖されているはずである。
よって、氏の許可の元、『三大』の一部を引用して掲載する。
読者諸氏も疑問に思っているであろう『三大ゾンビ』の謎、そしてBOUT氏は『何に近づいて』しまったのかには察していただけると思う。
ただし、私にその手段が無いのでそれが『真実である』かどうかは、明言しないものとする。
また、記事にされなかったある音声データをBOUT氏からいただいた。記事にするかどうかは自己判断で、という事であったので、最後に注意書きを添えて掲載する。
ブログ掲載時通り、社会的かつ道徳的に相応しくないと思われ場所は伏せ字にする。
ご注意されたし。
そんな数週間前の事である。
以前『うちカラ』を執筆した際にやり取りをした、某ブログ管理人のBOUT氏からメールが届いた。
BOUT氏は『BOUT!』というブログを運営しているブロガーである。(HNが先か、ブログ名が先かは最初の記事を読んでも判らない)
氏は『618』後、『三大ゾンビ 史上最大の決戦』という記事をブログに掲載した。
『三大ゾンビ 史上最大の決戦』(以下『三大』)は、六月二十一日から、六月二十二日、午前一時二十五分までの、五大都市の幹線道路を使って遂行された『封じ込め作戦』を扱った記事である。
様々な匿名の関係者のインタビューが、時系列順に簡潔にまとめられた状況説明の合間に挿入されたこの記事は、凄まじい反響を呼び、記事内容の真偽、タイトルの『三大ゾンビ』とは何なのか? は今も議論が尽きない程だ。
それ故か、『BOUT!』はアクセスが殺到。膨大な量のコメント、誹謗中傷等が寄せられる。
『BOUT!』はコメント欄、アクセスカウンター等を撤去。
以降、自衛隊と警察による各都市の掃討戦の記事などを、他サイトからの引用で時々取り上げる程度に活動を縮小する。
さて、本題に戻るが、BOUT氏からのメールは、諸事情により近日中に『BOUT!』は閉鎖しなければならなくなった、というものだった。
私を追ってくれている、また勘の鋭い読者諸君なら、察するところがあるだろうと思う。実際私も『ただならぬ予感』を感じた。
果たして、メールの最後で氏は私に対談を望んできた。
私は嫌な予感に囚われつつも――自分の性には逆らえなかった、と言えばどうなったかは理解してくれるだろう。
こうして四日後、私とBOUT氏は約四時間の対談をすることになった。
私とBOUT氏の対談で何が話し合われたか、は残念ながら公表することはできない。
氏は――いや、これは言っても良いという許可を得ているので書いてしまうが――BOUT氏は『一人』ではなかった。
対談は『通話ソフト』で、しかも音声のみ。しかもボイスチェンジャーアプリを通して行われたのだ。
何故そこまでしなければならないのか?
『彼ら彼女ら』は(話した感触では、最低でも四人以上だった)相当拙い領域まで足を踏み込んでしまったようなのである。
故に私である。
それなりに生きてきて、それなりにコネがあると、私は何度も書いてきた。
だからといって、私がBOUT氏が危険と判断している人種の仲間ではないと言いきれないのではないか?
そう質問した私に、『彼ら彼女ら』は声を大にして笑った。
『あなたほど、純粋に618を楽しんでいる人はいないでしょう。それが文章から滲み出てますよ』
名誉なのか不名誉なのか――まあ、それはこの際置いておく。
ともかく、始めようと思う。
この作品が公開される頃には、『BOUT!』は閉鎖されているはずである。
よって、氏の許可の元、『三大』の一部を引用して掲載する。
読者諸氏も疑問に思っているであろう『三大ゾンビ』の謎、そしてBOUT氏は『何に近づいて』しまったのかには察していただけると思う。
ただし、私にその手段が無いのでそれが『真実である』かどうかは、明言しないものとする。
また、記事にされなかったある音声データをBOUT氏からいただいた。記事にするかどうかは自己判断で、という事であったので、最後に注意書きを添えて掲載する。
ブログ掲載時通り、社会的かつ道徳的に相応しくないと思われ場所は伏せ字にする。
ご注意されたし。
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