33 / 62
第二章
その十六 ソドム:国歌
しおりを挟む
ハインリヒ・フィーグラーはうろうろとジャンの部屋を歩き回っていた。
まねきを出た、という報告が見張りから来たが、待てど暮らせど二人は帰ってこない。凶悪犯だからと無理に説得して連れてきた同僚達からは不満の声が漏れ始め、仕方なく四人を残し帰した。その四人ですら、ハインツを胡散臭い目つきで見始めていた。
壁に寄り掛かった一人があくびをした。
「ふぁ……なあ、ハインツ、俺非番なんだけど帰っていいか?」
「駄目だ! あいつらが帰ってきたら、即座に捕まえる。連中は危険分子なんだ! 昨日のフランスでの列車爆破事件の犯人だぞ!」
「でもなあ……空調の所為か、ここ少し寒いしさ、俺はポーカー仲間とウィスキーのソーダ割りで楽しく過ごす予定だったんだぜ」
ハインツのこめかみの血管が大きく脈打った。
「お前らそれでも、誇り高き階層警察――」
ドアの近くにいた一人が、鼻で笑った。
「おい、ハインツ。休んでばかりのお前が何を言ってんだ?」
「そ、それは、俺は、色々と仕事があってだな――」
「なあハインツ、下のロビーにいようぜ。あそこを通らなければ、ここには来れないだろ? 連中の外見だって、豚みたいな巨漢に、眼鏡をかけた胸のでかい小娘とくれば、見逃さないだろうしな。じゃあ、先に行ってるぞ」
四人は談笑しながら部屋を出ていってしまった。ハインツは壁に拳を叩きつけ、爪でぎりぎりと引っ掻いた。
――くそっ! 俺は偉大なるアーリア人だぞ! 上も上だ。あれが欲しいなら、民間人ごと、この船を拿捕すればいい。騒ぐ奴らは、残酷大公も含めて全員殺せばいい――
ハインツは、しばらくうろうろと部屋を歩き回っていたが、勢いよくクローゼットの扉に蹴りを入れると、部屋から出ていった。
しばらく後、天井にあった格子がゆっくりと引き上げられた。通風孔から逆さになったジャンの顔が覗いた。
ジャンはゆっくりと部屋を見回すと、さっと通風孔に素早く引っ込んだ。今度はマヤの裸足の足が突き出される。しばらく揺れていたそれは、かたりという物音に、またも素早く引っ込んだ。
「戻ってきた?」
囁くマヤにジャンは頭を振った。そして後ろを向いて、耳を指差した。
マヤは耳を澄ました。
二人がいる通風管は各部屋に繋がっていた。暖房はお湯を使ったセントラルヒーティングなのだが、冷房は最新機器のフロンガスなるものを使ったクーラーで、それを客室棟ごとに設置し冷気を送っているのだ。それ故、ロビーや各客室の音は、通風管で耳を澄ませば聞こえるのである。大きな笑い声が上がり、ついで――
『お前ら! ちゃんと見張れ! なんで酒を飲んでるんだ!』
ハインツの声が遠くから響く。どうやらロビーで大騒ぎらしい。
ジャンはほらな、とマヤに向き直ると、彼女は既にいなかった。ジャンが通風孔から覗くと、マヤは丁度着地したところだった。すぐさま、クローゼットに走った。扉を開けると、奥の金庫を鍵で開け、ジャンの荷物、何枚もの旅券や様々な紙幣を取り出した。
と、奇妙な事に気が付いた。
奥にかけてある一着の服。それがジャンのサイズにしては小さいのである。引き寄せてみると、夜会用の上等なスーツだった。
……前の宿泊客が忘れていったのだろうか?
その服にぼんやりと手を滑らせ、仄かな匂いに気が付いた時に、足音が聞こえてきた。バタバタと走る、大勢の足音!
あっと思った時には、足音はもう扉の前まで来ていた。
通風孔は部屋の中心にある。
マヤはクローゼットに飛び込むと、扉を閉めた。と、同時に部屋の扉が開き、一団が入ってきた。
ハインツ以外の四人の顔はかなり赤い。
「ほら、やっぱり誰もいないじゃないか。考え過ぎだぞ。俺達だって馬鹿じゃないんだ」
「うるさい! そんなに酔ってたら、わからんだろうが!」
四人のうち一人が頭を掻きながら前に出る。先ほどの非番の男だった。栗毛が乱れているのは、酒宴の所為だった。
「なんだって、そんなに執着するんだ? 大体、その報告ってのは本当なのか?」
「あいつらを捕まえろ、との残酷大公様の命令なんだ! 部屋をもう一回調べるぞ!」
「そんなことを言ったって、調べる所はバスルームとクローゼットしか――」
栗毛の男はクローゼットに歩み寄ると、扉に手をかけた。
天井裏でジャンが身を固くする。
栗毛がにやりと笑った。
「そういや、さっきロビーにいた作家に聞いたんだけどさ、お前、その眼鏡の女にこっぴどくフラれたんだって? もしかしてこれって、個人的な仕返しで――残酷大公様の命令は出てないんじゃないのか? 指示書を見せてみろよ」
ハインツはぎょっとして同僚達を見た。
既に話は伝わっているという顔だった。ハインツは下唇を噛むと、速足で部屋を出ていった。
残された四人は赤ら顔を見合わせた。
「おいおい、ホントにそうなのかよ」
「アホ臭い……あ、俺も非番の時間だな」
「じゃあ、飲みなおそうぜ。どこがいい?」
「フェネリの店にしようや。トーキョーって名の酒が美味いらしい! オスカー行こうぜ」
オスカーと呼ばれた栗毛の男は、クローゼットの取っ手に手をかけた。
「まあ、ここだけ調べていこうや。ハインツの野郎、うるせえから――おい!?」
体をこわばらせたマヤ。だが、クローゼットの扉は開けられなかった。
遠くから、ひび割れた音楽が聞こえてきた。惚けたような調子の曲だったが、荘厳な感じがあった。ドアが乱暴に閉められる音がし、足音が遠ざかっていく。
マヤは恐る恐る、クローゼットから顔を出した。
ジャンが通風管から飛び降りてくる。
「え? なに? それにこの音楽は……」
「ロビーに行こう。俺達がいないと、人が死ぬかもしれん」
「なにそれ!?」
ジャンが眉を曇らせた。
「残酷大公が何かをするんだ。この音楽はソドムの国歌だ。歌詞は聞いた事が無いがな。これが鳴ったら、全員が回廊に出るって法律だ」
「破ったら?」
「関係者一同全員処刑だ。まあ、守らない奴もいるが、今の状況だと、バカンツがこの機に乗じて俺達を探すに違いない。で、いなけりゃ腹いせに、そう……ヨハン辺りがやばい」
二人が階段を駆け下りると、すでに大勢の人がロビーに集まっていた。入り口に整列している従業員達が一斉に深く礼をする。
あの石像の男が胸をそらしながら、夜会服を着た一団を後ろに従えて大股で入ってきた。
まねきを出た、という報告が見張りから来たが、待てど暮らせど二人は帰ってこない。凶悪犯だからと無理に説得して連れてきた同僚達からは不満の声が漏れ始め、仕方なく四人を残し帰した。その四人ですら、ハインツを胡散臭い目つきで見始めていた。
壁に寄り掛かった一人があくびをした。
「ふぁ……なあ、ハインツ、俺非番なんだけど帰っていいか?」
「駄目だ! あいつらが帰ってきたら、即座に捕まえる。連中は危険分子なんだ! 昨日のフランスでの列車爆破事件の犯人だぞ!」
「でもなあ……空調の所為か、ここ少し寒いしさ、俺はポーカー仲間とウィスキーのソーダ割りで楽しく過ごす予定だったんだぜ」
ハインツのこめかみの血管が大きく脈打った。
「お前らそれでも、誇り高き階層警察――」
ドアの近くにいた一人が、鼻で笑った。
「おい、ハインツ。休んでばかりのお前が何を言ってんだ?」
「そ、それは、俺は、色々と仕事があってだな――」
「なあハインツ、下のロビーにいようぜ。あそこを通らなければ、ここには来れないだろ? 連中の外見だって、豚みたいな巨漢に、眼鏡をかけた胸のでかい小娘とくれば、見逃さないだろうしな。じゃあ、先に行ってるぞ」
四人は談笑しながら部屋を出ていってしまった。ハインツは壁に拳を叩きつけ、爪でぎりぎりと引っ掻いた。
――くそっ! 俺は偉大なるアーリア人だぞ! 上も上だ。あれが欲しいなら、民間人ごと、この船を拿捕すればいい。騒ぐ奴らは、残酷大公も含めて全員殺せばいい――
ハインツは、しばらくうろうろと部屋を歩き回っていたが、勢いよくクローゼットの扉に蹴りを入れると、部屋から出ていった。
しばらく後、天井にあった格子がゆっくりと引き上げられた。通風孔から逆さになったジャンの顔が覗いた。
ジャンはゆっくりと部屋を見回すと、さっと通風孔に素早く引っ込んだ。今度はマヤの裸足の足が突き出される。しばらく揺れていたそれは、かたりという物音に、またも素早く引っ込んだ。
「戻ってきた?」
囁くマヤにジャンは頭を振った。そして後ろを向いて、耳を指差した。
マヤは耳を澄ました。
二人がいる通風管は各部屋に繋がっていた。暖房はお湯を使ったセントラルヒーティングなのだが、冷房は最新機器のフロンガスなるものを使ったクーラーで、それを客室棟ごとに設置し冷気を送っているのだ。それ故、ロビーや各客室の音は、通風管で耳を澄ませば聞こえるのである。大きな笑い声が上がり、ついで――
『お前ら! ちゃんと見張れ! なんで酒を飲んでるんだ!』
ハインツの声が遠くから響く。どうやらロビーで大騒ぎらしい。
ジャンはほらな、とマヤに向き直ると、彼女は既にいなかった。ジャンが通風孔から覗くと、マヤは丁度着地したところだった。すぐさま、クローゼットに走った。扉を開けると、奥の金庫を鍵で開け、ジャンの荷物、何枚もの旅券や様々な紙幣を取り出した。
と、奇妙な事に気が付いた。
奥にかけてある一着の服。それがジャンのサイズにしては小さいのである。引き寄せてみると、夜会用の上等なスーツだった。
……前の宿泊客が忘れていったのだろうか?
その服にぼんやりと手を滑らせ、仄かな匂いに気が付いた時に、足音が聞こえてきた。バタバタと走る、大勢の足音!
あっと思った時には、足音はもう扉の前まで来ていた。
通風孔は部屋の中心にある。
マヤはクローゼットに飛び込むと、扉を閉めた。と、同時に部屋の扉が開き、一団が入ってきた。
ハインツ以外の四人の顔はかなり赤い。
「ほら、やっぱり誰もいないじゃないか。考え過ぎだぞ。俺達だって馬鹿じゃないんだ」
「うるさい! そんなに酔ってたら、わからんだろうが!」
四人のうち一人が頭を掻きながら前に出る。先ほどの非番の男だった。栗毛が乱れているのは、酒宴の所為だった。
「なんだって、そんなに執着するんだ? 大体、その報告ってのは本当なのか?」
「あいつらを捕まえろ、との残酷大公様の命令なんだ! 部屋をもう一回調べるぞ!」
「そんなことを言ったって、調べる所はバスルームとクローゼットしか――」
栗毛の男はクローゼットに歩み寄ると、扉に手をかけた。
天井裏でジャンが身を固くする。
栗毛がにやりと笑った。
「そういや、さっきロビーにいた作家に聞いたんだけどさ、お前、その眼鏡の女にこっぴどくフラれたんだって? もしかしてこれって、個人的な仕返しで――残酷大公様の命令は出てないんじゃないのか? 指示書を見せてみろよ」
ハインツはぎょっとして同僚達を見た。
既に話は伝わっているという顔だった。ハインツは下唇を噛むと、速足で部屋を出ていった。
残された四人は赤ら顔を見合わせた。
「おいおい、ホントにそうなのかよ」
「アホ臭い……あ、俺も非番の時間だな」
「じゃあ、飲みなおそうぜ。どこがいい?」
「フェネリの店にしようや。トーキョーって名の酒が美味いらしい! オスカー行こうぜ」
オスカーと呼ばれた栗毛の男は、クローゼットの取っ手に手をかけた。
「まあ、ここだけ調べていこうや。ハインツの野郎、うるせえから――おい!?」
体をこわばらせたマヤ。だが、クローゼットの扉は開けられなかった。
遠くから、ひび割れた音楽が聞こえてきた。惚けたような調子の曲だったが、荘厳な感じがあった。ドアが乱暴に閉められる音がし、足音が遠ざかっていく。
マヤは恐る恐る、クローゼットから顔を出した。
ジャンが通風管から飛び降りてくる。
「え? なに? それにこの音楽は……」
「ロビーに行こう。俺達がいないと、人が死ぬかもしれん」
「なにそれ!?」
ジャンが眉を曇らせた。
「残酷大公が何かをするんだ。この音楽はソドムの国歌だ。歌詞は聞いた事が無いがな。これが鳴ったら、全員が回廊に出るって法律だ」
「破ったら?」
「関係者一同全員処刑だ。まあ、守らない奴もいるが、今の状況だと、バカンツがこの機に乗じて俺達を探すに違いない。で、いなけりゃ腹いせに、そう……ヨハン辺りがやばい」
二人が階段を駆け下りると、すでに大勢の人がロビーに集まっていた。入り口に整列している従業員達が一斉に深く礼をする。
あの石像の男が胸をそらしながら、夜会服を着た一団を後ろに従えて大股で入ってきた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
地縛霊に憑りつかれた武士(もののふ))【備中高松城攻め奇譚】
野松 彦秋
歴史・時代
1575年、備中の国にて戦国大名の一族が滅亡しようとしていた。
一族郎党が覚悟を決め、最期の時を迎えようとしていた時に、鶴姫はひとり甲冑を着て槍を持ち、敵毛利軍へ独り突撃をかけようとする。老臣より、『女が戦に出れば成仏できない。』と諫められたが、彼女は聞かず、部屋を後にする。
生を終えた筈の彼女が、仏の情けか、はたまた、罰か、成仏できず、戦国の世を駆け巡る。
優しき男達との交流の末、彼女が新しい居場所をみつけるまでの日々を描く。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
楽将伝
九情承太郎
歴史・時代
三人の天下人と、最も遊んだ楽将・金森長近(ながちか)のスチャラカ戦国物語
織田信長の親衛隊は
気楽な稼業と
きたもんだ(嘘)
戦国史上、最もブラックな職場
「織田信長の親衛隊」
そこで働きながらも、マイペースを貫く、趣味の人がいた
金森可近(ありちか)、後の長近(ながちか)
天下人さえ遊びに来る、趣味の達人の物語を、ご賞味ください!!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる