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人と人形
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中学生にとって、一番の苦悩、それは受験。
命音等が通う国立の中学は、学力よりも模擬戦の結果を重視している高校に多く進学させている。
それを可能としているのは、成績非優秀者を別の中学に強制転校させているためだ。
命音は、模擬戦の成績はさることながら、学力も問題無い。
寧々は、戦闘には出ない、サポーターとして優秀であり、自分の能力のために日々勉強して、校内でも屈指の学力を持つ。
しかし、今の戦闘スタイルである、分隊戦闘と呼ばれる、チームで対戦し、その勝利数を競う、いわば、チームの人数が多ければ有利なルールのため、二人の勝利数は数あるチームの中で、最少となっている。
「命音ちゃ~ん。うちたちの勝利数少ないやね。どうしよ~」
と、残り試合数も少なくなってきた時期に、寧々が命音に背後から抱きつきながら、そう言う。
「部分否定。私たちは勝利数は少ないけど、勝率はどこにも負けていない」
「だけどさ~……、むぅ。あっ、そういえば高校どこ行くかきめとる?」
「回答。貴女が付いてきてくれるところです。高校に入っても貴女とチームを組むつもりですから」
「それを言うなら、奏も、でしょ。貴女が必ずチームメンバーの名前に奏って書いているの知っているんやからね」
(そう、うちだけが知っとる命音のこと……)
命音との出会いは、うちの友達の奏が、連れてきたのがきっかけだった。
最初は笑顔が可愛い娘やな~、としか思っとらんかった。
……せやけど、その笑顔が奏だけにしか向かんことに、面白うない、と段々思ってきた。その頃からうちは、命音と二人で遊ぼうとして、結果家で二人で遊ぶ話になった。
うちの能力は万物創造やから、彼女が好きそうな物を作って見せた。
西洋のお城や、着物を着たお人形。そんな物を作っては、二人で遊具として使い、彼女の一番とは言えないけど、大切な友達だと自分は思い上がった。
でも、
「奏がいないの。奏がいないの」
奏が政府のお役人に連れていかれてから、彼女は壊れた。いや、自我を失くした、と言うべきやね。私はそれが悔しかった。
奏だけやない。うちもおるんよ、と言いたかった。
奏がいなくなってから、数日経ち、命音はまるで人形のようになり果てた。
奏を恨んだ。政府を恨んだ。彼女を本当は明るくて可愛い彼女をこんなにした全ての人が憎かった。
そんな彼女から、クラスメイトはうちを除いて、関わりを持たないようにしていた。
それでも、何も感じなかったんやろ。うち以外の誰にも話さなくても何事も無いかのように生活してたもんね。
うちに救いが出来たのは、中学に入ってから模擬戦が行われるようになったことだ。
他の生徒は、仲のいい人や、実力者とチームを組だけど、命音はうちを誘うてくれた。
彼女の能力にあった物をうちが作り、それを使い、一人で何人もの生徒を圧倒する。
いつの間にか、うち等二人は機械仕掛けの戦姫って呼ばれるようになったんやけど、ちょっと恥ずかしいのが本音。
うちが彼女に始めて作った人形は、四肢を鋼の諸刃の剣で出来た戦闘用の物。そんなものを今でもずっと使い続けてくれている。嬉しかった。単純な人間だと自分で分かっている。でも、そんな彼女の為に私は誰にも負けない物を作る。
「明日はどこと模擬戦?」
「回答。戦闘員15人と、サポーター5人のチーム。名前は傭兵の集い」
傭兵の集い。それは、二人が通う中学にあるチームの中でも、一番の勝率を誇る中規模チームだ。普段なら、戦闘員3人に、サポーター1人の4人一組で模擬戦を行うはずなのだが……、
「まさか全員フルで参加するやとは思わんかったね」
そう、二人を倒すためだけに、二十人総出で出場するとのこと。さらに、模擬戦会場は、団体同士の模擬戦で使われている、森林地帯。 見晴らしが悪く、このステージは、探索系の能力、又は、範囲殲滅系の能力がある者がいるチームが勝つとまで言われている、命音達にとって最悪なステージだった。
「圧倒的な人数差に、うち等にとって最悪なステージ。僑軍孤進、孤軍奮闘。うち等二人で戦って負けたことあるん?たとえ相手が千の兵でも絶対負けへん。そうやろ?」
「衝撃。貴女がそんなことを言うなんて。……言われなくても。奏に黒星は似合わない」
そして、寧々の手を取り、
「まして、貴女の作った物が負ける筈が無い。それを使うのだから、私に敗北は有り得ない」
と、いつもより、数段強い口調でそう言った。
それはまるで、戦の勝利を女王に誓う、騎士の様であった。
命音等が通う国立の中学は、学力よりも模擬戦の結果を重視している高校に多く進学させている。
それを可能としているのは、成績非優秀者を別の中学に強制転校させているためだ。
命音は、模擬戦の成績はさることながら、学力も問題無い。
寧々は、戦闘には出ない、サポーターとして優秀であり、自分の能力のために日々勉強して、校内でも屈指の学力を持つ。
しかし、今の戦闘スタイルである、分隊戦闘と呼ばれる、チームで対戦し、その勝利数を競う、いわば、チームの人数が多ければ有利なルールのため、二人の勝利数は数あるチームの中で、最少となっている。
「命音ちゃ~ん。うちたちの勝利数少ないやね。どうしよ~」
と、残り試合数も少なくなってきた時期に、寧々が命音に背後から抱きつきながら、そう言う。
「部分否定。私たちは勝利数は少ないけど、勝率はどこにも負けていない」
「だけどさ~……、むぅ。あっ、そういえば高校どこ行くかきめとる?」
「回答。貴女が付いてきてくれるところです。高校に入っても貴女とチームを組むつもりですから」
「それを言うなら、奏も、でしょ。貴女が必ずチームメンバーの名前に奏って書いているの知っているんやからね」
(そう、うちだけが知っとる命音のこと……)
命音との出会いは、うちの友達の奏が、連れてきたのがきっかけだった。
最初は笑顔が可愛い娘やな~、としか思っとらんかった。
……せやけど、その笑顔が奏だけにしか向かんことに、面白うない、と段々思ってきた。その頃からうちは、命音と二人で遊ぼうとして、結果家で二人で遊ぶ話になった。
うちの能力は万物創造やから、彼女が好きそうな物を作って見せた。
西洋のお城や、着物を着たお人形。そんな物を作っては、二人で遊具として使い、彼女の一番とは言えないけど、大切な友達だと自分は思い上がった。
でも、
「奏がいないの。奏がいないの」
奏が政府のお役人に連れていかれてから、彼女は壊れた。いや、自我を失くした、と言うべきやね。私はそれが悔しかった。
奏だけやない。うちもおるんよ、と言いたかった。
奏がいなくなってから、数日経ち、命音はまるで人形のようになり果てた。
奏を恨んだ。政府を恨んだ。彼女を本当は明るくて可愛い彼女をこんなにした全ての人が憎かった。
そんな彼女から、クラスメイトはうちを除いて、関わりを持たないようにしていた。
それでも、何も感じなかったんやろ。うち以外の誰にも話さなくても何事も無いかのように生活してたもんね。
うちに救いが出来たのは、中学に入ってから模擬戦が行われるようになったことだ。
他の生徒は、仲のいい人や、実力者とチームを組だけど、命音はうちを誘うてくれた。
彼女の能力にあった物をうちが作り、それを使い、一人で何人もの生徒を圧倒する。
いつの間にか、うち等二人は機械仕掛けの戦姫って呼ばれるようになったんやけど、ちょっと恥ずかしいのが本音。
うちが彼女に始めて作った人形は、四肢を鋼の諸刃の剣で出来た戦闘用の物。そんなものを今でもずっと使い続けてくれている。嬉しかった。単純な人間だと自分で分かっている。でも、そんな彼女の為に私は誰にも負けない物を作る。
「明日はどこと模擬戦?」
「回答。戦闘員15人と、サポーター5人のチーム。名前は傭兵の集い」
傭兵の集い。それは、二人が通う中学にあるチームの中でも、一番の勝率を誇る中規模チームだ。普段なら、戦闘員3人に、サポーター1人の4人一組で模擬戦を行うはずなのだが……、
「まさか全員フルで参加するやとは思わんかったね」
そう、二人を倒すためだけに、二十人総出で出場するとのこと。さらに、模擬戦会場は、団体同士の模擬戦で使われている、森林地帯。 見晴らしが悪く、このステージは、探索系の能力、又は、範囲殲滅系の能力がある者がいるチームが勝つとまで言われている、命音達にとって最悪なステージだった。
「圧倒的な人数差に、うち等にとって最悪なステージ。僑軍孤進、孤軍奮闘。うち等二人で戦って負けたことあるん?たとえ相手が千の兵でも絶対負けへん。そうやろ?」
「衝撃。貴女がそんなことを言うなんて。……言われなくても。奏に黒星は似合わない」
そして、寧々の手を取り、
「まして、貴女の作った物が負ける筈が無い。それを使うのだから、私に敗北は有り得ない」
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