僕は平凡に生きたい

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あなたの名前を呼んで

群青 碧 3-3

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会いたいと思っていても、やっぱり気まずくて避ける日々が続いていた。
それに、なんだかあっくんからも避けられているような気がして…。
…この間手を振り払っちゃったし、もう嫌われちゃったのかな…。
嫌われてしまったのなら、それでいい。その方が、いい。
わかっているのに、胸が痛くて痛くて死んでしまいそうだ。

「…どうしたら、痛くなくなるんだろう…」

ぎゅっと胸を押さえて必死に考えた。
だけど、解決策は1つも出てくることはなくただただ、痛みは増すばかりだった。

いつもの階段で同じように蹲っていると「…やっぱり、ここにいた」と不意に声が響いた。
その声に驚いて顔を上げればずっと会いたくて仕方なかったあっくんが泣きそうな顔をして立っていた。

「…な、で…」

「……なんでだろうな。ただ、佳乃が泣いてる気がして気がついたらここに来ていた」

「…だいじょうぶ、だよ。泣いてないよ」

ああ、もう。どうしてこんな事言っちゃうんだろう。
会いたかったって。言いたいのに。
ぐっと唇を噛んで耐えているとあっくんの手が伸びてきて「強く噛むな。傷になるぞ」と優しく唇をなぞった。
それに気持ちが思わず緩んで、堪えていた涙が頬を伝った。

「…どうして、泣く?そんなに俺が嫌いか?」

「ち、違くてっ…なんで、なんでっ…俺、あっくんの事避けてたのに!…なんで、こんなに優しくするの…っ…」

一度流れ始めた涙は止まる事を知らず、嗚咽をあげながら言う。
この優しさは今だけなんだよね?それなら、そんな優しさなんて知りたくない。
そんな目で、仕草で、俺を見ないで。

必死に声を抑えようと手で口を覆う。
早く、早く、止まってよ。

「…佳乃、ダメだ。そんな事をしたら、キツいだろう」

俺の手を外そうと触れてくるけど俺はそれをいやいやと振り払う。
俺なんてもう放っておいてほしい。涙なんてひとりで止められるから。
そうやって、生きてきたんだから。

「くそっ…」

不意に、痛いほど強く抱きしめられ踠いても踠いてもその腕が外れることはなかった。
大丈夫だ。そう繰り返し言われて何が大丈夫なのと声を荒げた。
そして、お前はどうしてそうやって一人で生きようとするんだと言われて俺は思わず。

「どうしてって…そうやって生きるしか、なかったからだよ!」

と、泣きながらあっくんを押しのけた。


***
久しぶりに書いたら中々まとまらず…もう少しだけお付き合い願います。
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