僕は平凡に生きたい

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体育祭

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気づけば実況さんもいないし、とっくにみんなもゴールしてて俺も一応頑張ったけどほぼ最下位みたいなものだった。
最下位じゃない理由は、ゆるふわくんなんだけど…「先にゴールどうぞぉ」とゴール手前で突然立ち止まって「え?」と聞き返した俺の背中をとんっと押して先にゴールさせてくれた。
ここまで頑張れたのは途中からずっと引っ張ってくれてたゆるふわくんのおかげなのに…。
そう思うと涙がまた止まらなくなって、思わずゆるふわくんに抱きつきながら泣いてしまった。
なんて弱い自分…。

「あはは、本当に泣き虫さんだぁ~」

「泣き虫でいいです…ありがとう、ございます…」

「てかぁ今更だけどなんでずっと敬語なのぉ~?タメなのにうける~」

「えぇ!?同い年なんですか!?…てっきり先輩かと…」

「君やっぱ面白いねぇ~気に入っちゃったぁ」

「へ?」

よしよしと撫でてくれていた手が俺の頬に移動して上を向かせられ、次の瞬間にはちゅ、と唇に何かが当たる感触がした。
…何が当たったかなんて流石に目の前でされてわからないわけがないんだけどさぁ。

「な、な、なな…!?」

「えぇ、なぁに~?んふふ~かわいいから思わずしちゃったぁ~」

「かわ、んむっ…んっ…ぁ…ゃめッ…!」

「…は、これ以上しちゃうとそこにいる子が怖いからここまでねぇ~」

ゆるふわくんのその言葉と同時にぐいっと何かに引き寄せられて、そちらを向くと京くんがいた。
た、助かった…!
よく見ると京くんは何故か汗だくで、息があがっていた。どうしたんだろう?

「きょ、うくん…?」

「…ん?なぁに?」

「…ううん…なんでも…あ!京くん、さっきはありがとう!おれっ京くんが応援してくれたから頑張れたよ!」

「ぐっ…そ、そっかぁ!それはよかった!でも、頑張ったのは佳乃ちゃんが諦めなかったからだよ。それじゃ、席に戻ろう」

「あ、うん…!ゆるふわくんありがとう!また会えたらいいね!」

「ゆるふわくんって何さぁ~じゃあねぇ~」

あ、ゆるふわくんって呼んじゃった。けらけら笑いながら手を振り返してくれたゆるふわくん。
…今度謝っとこう。


***
久しぶりに京が出てきたようなそうでもないような。
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