僕は平凡に生きたい

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体育祭

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「…俺からは1つだけ。後悔だけはしないように、頑張ってくれ。」

そう一息で言うとすぐに副会長さんにマイクを渡す会長さん。
それを受け取って副会長さんは何か直接会長さんに言ってるみたいだったけど俺の場所からは聞こえなかった。
ため息をこぼしたように見える副会長さんは改めてこちらに向き直るとにこりと笑顔を浮かべる。

「今日が皆さんの記憶に少しでも残れば私たちも嬉しいです。頑張りましょうね。」

これまでの準備は生徒会のひとたちもたくさん手伝ってきたって聞いた。
生徒もそんなことするんだってびっくりしたのは記憶に新しい。

そして次は会計さん。

「やっほ~!みんな怪我しないように頑張ってねぇ~!応援してるよぉ~!」

ゆるゆるとした喋り方で元気に言うとすぐに書記さんにマイクを渡した。
というか生徒会さんはいつもイベントがあるとこうやって一言言わないといけないのかなぁ。大変だ。
人気者だからみんなの士気をあげる目的?とか?
いやでも興味なさそうにしてる人もいるし…未だによくわからないなぁこの学校。

「…がんばれ。」

…うん、書記さん興味ないんだね。結構考えてるそぶり見せてたけど思いつかなかったんだね。

生徒会さんが全員喋ったところで注意事項や流れの説明があっていよいよ競技開始となった。
自分の競技はまだ先だなぁ。

「佳乃ちゃん、向こうの日陰にいないとバテちゃうよ?」

「あ、京くん!そうだね、向こうでみんなのこと応援しよ~!」

今日は日差しも強いし競技始まる前にバテちゃったら迷惑かけちゃうもんね。
せっかく頑張ったし、後悔したくない!

むん、と一人意気込んでいるとそういえばと京くんが俺の腕を持って聞いてきた。

「…佳乃ちゃん、日焼け止め塗った?」

「日焼け止め?ううん、塗ってないよ?」

「えぇ!?ダメだよ、ちゃんと塗らないと!俺が塗ったげるから早く向こう行こう!」

「え~大丈夫だよぅ…俺今まで塗ったことないし…。」

「ダメダメ!焼けるの防止っていうのもあるけど塗るだけで熱の感じ方が違うんだからね!」

「へぇ…。」

京くんすごく詳しいなぁ。俺そういうの疎いから全然わかんないや。
最近のお日様は怖いっていうもんねー。ちゃんと塗らなきゃだねぇ。

***
ほらほら、と急かされて日陰に移動して京くんに隅々まで日焼け止めを塗られる。
自分でやるよと言ったけど「適当にやりそうだからダメ」と真顔で拒否された。うぅ、言い返せない…。
だから全部任せたんだけど、ふふ、くすぐったい。

「ん…ふふ、くすぐったい…っ…ぅ…。」

「…佳乃ちゃん俺のこと試してるの?」

「へ…?…んふ、だって…ぇ…んっ…。」

加減が絶妙で体をよじってしまう。早く終わって~くすぐったくて死んでしまいそう。

「くそ…かじりつきてぇ…。」

「きょ、うくん?何か言った…?」

「ん?ううん~ほら、もう少しだから我慢我慢!」

「うぅ…ぅひっ…。」

何か言ったような気がしたけど気のせいなのかな?
これからはもし日焼け止め塗ることがあったら自分で塗ろうと心に誓う俺だった。

というか周りの視線が痛い。


***
日焼け止め塗るの面倒だし忘れちゃいますね。
でも将来を考えると…。
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