僕は平凡に生きたい

学園生活

21

あれからずっと腕を引かれて進んだ先は、空き教室だった。
え、勝手に入っていいの…？

「…ここなら誰もいないしゆっくり話ができるな。」

「…あんまり長くは話せないけど…。」

「いや、いい。聞きたいことがあるだけだから。」

「そう、それ。聞きたいことってなに？」

「…答えたくないなら、答えなくていいんだがな。」

聞きたいと自分が言ったのに中々しぶって口に出してくれない。
何も口を挟まずただただ、群青君を見つめる。

そして、意を決したようにバッと俺をみて群青君が

「お前、男に襲われそうになったのか…？」

と聞いてきた。

もちろん俺は

「は？」

と、ぽかんと口を開いてしまった。
全く心当たりがなくて困惑してしまう。
群青君、どうしたの？なんでそうなったの？

そんな俺の反応なんて気にもせず群青君は続けた。

「いや、いいんだ。言いづらいよな、たとえ周りに人がいなくても…。」

「待って待って待って！俺、襲われてなんかないよ！？」

「…隠さなくたって俺は嫌いになんかならないぞ？」

「隠すも何も…そんな事起こってないし…。」

「……分かった。そういうことにしとく。」

たはーこの人何にも分かってないよ。絶対に。
もうどうしたらいいんだよぅ…。
こんな人に出会ったことないから対処の仕方が分からない…。

あまりにも思い込みが激しい群青君に半泣きになる俺。
側から見たら俺いじめられてるみたいじゃん…。

「…というか、何でそう思ったの？」

「…入学式の時、人に近づかれるのが苦手とか、あいつに助けられたとか言ってただろう。」

それだけぇ！？


***
これだけぇ！？！？