僕は平凡に生きたい

学園生活

19

「佳乃ちゃん、あいつにも気をつけてね！！」

「へ？あいつ？」

先生をギロリと睨んだかと思えば、バッとこちらを見て俺の肩をガシッと掴んで真面目な顔して言う京くんにきょとんとする俺。

そんな俺を見て、京くんは少し怒ったように「佐原だよ！担任！！」と言った。

え、なんで先生に？でもここでまたなんで？って聞いたら更に怒りそうだ。
わからないけど頷いておこう。

「…わ、わかった…。」

「…佳乃ちゃん、わかってないのバレバレだからね。」

げ、バレてた。なんでわかっちゃったの。
図星を指されて固まった俺にはぁ、とため息をこぼして「まぁ、いいよ。もし何かあったらすぐ言ってね。」と笑った。
なんだかんだで優しい京くんに甘えっぱなしの俺…大丈夫かな。

「あ、あいたみたいだよ。行こう。」

「うん！」

すっと手を差し出されてなんの疑問も抱かずにその手をとる。
お兄ちゃんみたいだ。兄弟いたことないけど、幼い頃遊んでくれてた近所のお兄ちゃんを思い出す。
5歳年上のお兄ちゃんだったけど、大学に入ってから一人暮らしを始めて地元を出て行った。
からかわれて泣いてる俺をいつも慰めてくれてたっけなぁ。今何してるんだろ。

手をひかれるまま黒板の方へとまた歩く。
うーん…図書…保健…風紀…風紀って体力勝負なとこありそうだし俺無理かなぁ…。
ちょっと憧れだったけど。

よし。

「俺、保健にする！」

「そ、じゃあ俺も。」

「本当にいいの？」

「いいよ。俺も特にしたいものなかったし。」

保健選んだ理由なんて、保健室の先生が優しそうだったからっていう雑なものなんだけど、いいのかな。
誰も選んでる人いなかったし、人気ないのかな。

席に戻って全て埋まったのを確認した先生が「よーし、じゃあかいさーん。」と声をあげた。
えぇ、もういいの？初日からなんて楽な学園。

「佳乃ちゃん、帰ろう。」

「そう、だね。特に用事もないし…。」

ぐいっと腕をひかれて教室をでる。歩き始めると京くんが引いている方とは反対の腕を掴まれて、俺は「うわっ。」と声をあげた。

「な、なに？」

振り向くとそこには入学式の日絡んできた群青くんがいた。
わぁ、お久しぶりですね。って言ってもそんなに経ってないけど。



***
やっと他の人出せた…。