5 / 8
それでも、
しおりを挟む
それから何度も俺はめげずに秋良さんを追いかけては話しかけていた。
そんな俺をうざったそうに追い払う秋良さんに何度も心が折れそうになったけど、秋良さんには笑った顔が似合うんだ。それに……好きな人には笑っていてほしい、から。
「先生!ちゃんとご飯食べましたか!?」
「…またお前か。関係ないから、戻りなさい」
「っ…か、関係なくなんか…!」
冷たい目、冷たい態度。そんなに俺なんか視界にいれたくないのか。
…そう、だよね。兄さんの事嫌でも思い出してしまうだろうし。…でも、それでも諦めたくない。
「いいから、帰れ」
「…もっ…もー!そんなひどい事言わないでくださいよー!ほら、これっ美味しそうで「うるさい!」…ぇ…」
ごそごそと鞄の中からお弁当を出して差し出せば、その手を払われてお弁当はガシャンッと音を立て地べたに落ちる。
それもショックだけど、今まで決して大声をあげなかった秋良さんに一番ショックを受けていた。
あ…俺、すごく、惨めだ。
おしつけがましい。最悪だ。
「す、すまな「ごめんなさい!すぐ片付けますね!ごめんなさい!」…おい…」
震える手を伸ばして落ちたおかずを拾う。泣くな、泣くな。
俺に泣く資格なんてない。
おかずを拾い終わって顔をうつ向けたまま秋良さんに頭を下げて再度ごめんなさいと謝る。
…あーあ。これで、最後のつもりだったのに。大失敗だ。
「…先生、さよなら」
「…あぁ」
また来ます、はもう言えない。
最後まで、俺は秋良さんにとって邪魔な存在だ。
早く消えてしまいたい。
ぐちゃぐちゃになったおかずが入ったお弁当箱をその辺にあったゴミ箱の中に放り込む。
…本当はダメだってわかってるけど、許して。
「この気持ちも、こうやって捨てられたら、よかったのになぁ…」
ぼろぼろと止まることのない涙が溢れ出ていつもの景色もなんだか違って見えた。
そんな俺をうざったそうに追い払う秋良さんに何度も心が折れそうになったけど、秋良さんには笑った顔が似合うんだ。それに……好きな人には笑っていてほしい、から。
「先生!ちゃんとご飯食べましたか!?」
「…またお前か。関係ないから、戻りなさい」
「っ…か、関係なくなんか…!」
冷たい目、冷たい態度。そんなに俺なんか視界にいれたくないのか。
…そう、だよね。兄さんの事嫌でも思い出してしまうだろうし。…でも、それでも諦めたくない。
「いいから、帰れ」
「…もっ…もー!そんなひどい事言わないでくださいよー!ほら、これっ美味しそうで「うるさい!」…ぇ…」
ごそごそと鞄の中からお弁当を出して差し出せば、その手を払われてお弁当はガシャンッと音を立て地べたに落ちる。
それもショックだけど、今まで決して大声をあげなかった秋良さんに一番ショックを受けていた。
あ…俺、すごく、惨めだ。
おしつけがましい。最悪だ。
「す、すまな「ごめんなさい!すぐ片付けますね!ごめんなさい!」…おい…」
震える手を伸ばして落ちたおかずを拾う。泣くな、泣くな。
俺に泣く資格なんてない。
おかずを拾い終わって顔をうつ向けたまま秋良さんに頭を下げて再度ごめんなさいと謝る。
…あーあ。これで、最後のつもりだったのに。大失敗だ。
「…先生、さよなら」
「…あぁ」
また来ます、はもう言えない。
最後まで、俺は秋良さんにとって邪魔な存在だ。
早く消えてしまいたい。
ぐちゃぐちゃになったおかずが入ったお弁当箱をその辺にあったゴミ箱の中に放り込む。
…本当はダメだってわかってるけど、許して。
「この気持ちも、こうやって捨てられたら、よかったのになぁ…」
ぼろぼろと止まることのない涙が溢れ出ていつもの景色もなんだか違って見えた。
110
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
チョコは告白じゃありませんでした
佐倉真稀
BL
俺は片桐哲哉。大学生で20歳の恋人いない歴が年齢の男だ。寂しくバレンタインデ―にチョコの販売をしていた俺は売れ残りのチョコを買った。たまたま知り合ったイケメンにそのチョコをプレゼントして…。
残念美人と残念イケメンの恋の話。
他サイトにも掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
息の仕方を教えてよ。
15
BL
コポコポ、コポコポ。
海の中から空を見上げる。
ああ、やっと終わるんだと思っていた。
人間は酸素がないと生きていけないのに、どうしてか僕はこの海の中にいる方が苦しくない。
そうか、もしかしたら僕は人魚だったのかもしれない。
いや、人魚なんて大それたものではなくただの魚?
そんなことを沈みながら考えていた。
そしてそのまま目を閉じる。
次に目が覚めた時、そこはふわふわのベッドの上だった。
話自体は書き終えています。
12日まで一日一話短いですが更新されます。
ぎゅっと詰め込んでしまったので駆け足です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる